高齢者の体調管理~全身観察と生理的特徴~

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高齢者の体調管理~全身観察と生理的特徴~

看護職員から「利用者をよく観察しましょう」と言われることはありませんか?私が介護職として施設に働いていた時によく言われていましたが、実際に対応しようとすると、具体的な観察ポイントが分かりません。一元化して管理するためにも、どの部分をどう観察すべきなのか覚えておきましょう

今回は、『高齢者の体調管理~全身観察と生理的特徴~』についてご紹介しますので施設や事業所のサービスの質の向上にご活用頂けたら幸いです。


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全身観察

健康な若い人と異なり、高齢者の体調の変化は見落としやすく、気づかないまま病状が悪化していることがあります。

下記を参考に、日々の観察をしっかり行い、体調変化を見逃さないようにしましょう。

高齢者の観察ポイント

高齢者の生理的特徴

介護サービスを提供する際に全ての方に向けて基本となることは、利用者の『体調を管理する』ことと『廃用症候群(過度な安静などによっておこる身体的な状態)を予防する』ということです。

介護の基本を実践するためには水分・栄養・排便・運動の確認を徹底することが絶対条件ですが、それ以外にも、高齢者の生理的な特徴(※)や高齢者が陥りやすい主な疾患についても知識として知らなければいけません

高齢になると、疾患の症状の現れ方が若年期とは異なってきます。

※人間が生きていくために起こる様々な現象や機能(呼吸、消化、排泄、血液循環、代謝など)

廃用症候群が表れやすい

廃用症候群とは

病気や障がいそのものが直接の原因ではなく、寝たきり状態など活動の低下によって生じる人の身体的・精神的機能の低下のことです。

身体機能の予備力が少ない高齢者は、短期間でも様々な障がいが表れてしまいます。心肺機能は3週間寝たきりで約30%低下するといわれています。

対策

寝たきりの方はまず離床を試みる

『寝たきり』といわれる状態の高齢者のうち、9割以上の人が「寝かせきり」だと言われています

例えば、食事の時イスに座ってテーブルで食べるようにする。排泄、特に排便の時はポータブルトイレで座ってするなどを心がけることで、完全に寝たきりという状況ではなくなります。

閉じこってしまう方には外出の原因究明ときっかけ探し

閉じこもりになっている理由はさまざまです。まずはその原因を究明し、外出のきっかけ探しをすることが大切です。できるだけ通所利用など外出の機会を増やすことができるよう、工夫をしましょう。

恒常性を維持しにくい

恒常性とは

細胞の代謝と機能を維持するために、身体の内部環境(体温・血圧・血糖など)を一定に保とうとする働きのことです。別名ホメオスタシスとも言われています。

高齢者は、体内の機能が低下してきているため、内部環境を一定に維持しにくくなります。体温の中枢が働きにくくなり、体温調節が上手くいかなくなります。代謝の関係で平熱が低く、35℃台という人がほとんどになります。仮に平熱が36℃としても、36.5℃は「微熱」と考えてよいと言われています。

血圧調整機能が低下するため、血圧の変動が大きくなったり、筋肉の減少や、腎機能の低下、感覚機能低下から、脱水症になりやすくなります

対策

下記をチェックしましょう。

  • 脱水症の症状がないか?(微熱がある、元気がないなど)
  • 室内の温度が適切か?
  • 着用している衣服が適切か?(着膨れになっていないか)

定型的な症状を示さない

痛覚が鈍くなっていることや、刺激に反応する機能が低下していることから、例えば骨折をしても痛みを訴えないために職員が気づくことができないといったことも起こりえるのです

また、症状を訴えても「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と片付けられてしまうことも多くあります。

気づかないまま病状が悪化していることがありますので、日々利用者の観察をしっかりと行うことが大切です。

病気にかかりやすく、複数の病気にかかっている傾向がある

65歳以上の高齢者は、1つの障がいがもう1つの障がいにつながることが多いため、複数の病気(平均3つ)の疾患を持つと言われています

(例)

動脈硬化によって、高血圧症、高脂血症、心臓病などを併発

意識障がい、精神障がいを起こしやすい

高齢者は、基礎疾患の症状として「意識障がい」や「精神障がい」を起こしやすいと言われています。

(例)

  • 意識レベルが低下し、ウトウトと昏睡状態になる
  • 幻覚、妄想を伴って錯乱状態になる

例のような症状は『脱水時は症状が進む』『便秘が続いている』などの場合に現れることがあります。水・栄養・排便・運動の確認を徹底的に実践していきましょう。

原疾患と関係のない合併症をおこしやすい

高齢者は、病気で入院したり寝込んだりしただけで合併症をおこしやすく、また、病気(原疾患)と直接関連しない合併症も起こしやすいと言われています

(例)

  • 脳梗塞によって、褥創、失禁、尿路感染症などの合併症を起こす
  • 骨折をしたことによって、様々な機能の低下を招く(廃用症候群)

病気が慢性的になることが多い

若年期であれば短期間で完治することも多くありますが、高齢者の場合は治りが遅く、治療によりコントロールを続けると慢性になってしまうことが多くあります。高血圧・糖尿病・腎不全などの慢性の経過をたどる病気は、「慢性疾患(※)」となります。

※自覚症状は乏しいが放置すると合併症を引き起こす病気のこと

病気による「老人の心理的反応」がある

高齢者は「老い」を心身の衰えから自覚することが多く、また、病気をする事によってその気持ちは一層助長されます。その影響によって、様々な心理的反応が出てくる場合があります

(例)

  • 日常生活機能が自立できなくなったために自信を喪失する
  • 病気の回復に対するあきらめから「死」を意識する
  • 社会的役割の喪失(退職や主婦の立場の交代など)から自信がなくなる
  • 感情は過敏で傷つきやすく「神経症状態」になることもある

利用者の心理を理解して適切なケアを

高齢者は、様々な人生経験からくる「自信と自尊心」と、退職・社会的地位や交流の減少、経済力の低下、家族や友人知人の死、自分自身の老化からくる「喪失感」が同居して、複雑な心理状態になっていることがあります

利用者が快適と感じるような対応を行うために、複雑な高齢者心理の特徴を理解し、適切なケアに施設や事業所全体で取り組んでいきましょう。

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