高齢者が増える一方で介護職員は採用難です。リソースを確保するためには、増やすだけではなく今いる人材に定着してもらうことも重要です。他事業所よりも働きやすい職場であると思ってもらうために、職場環境の改善を検討しましょう。
この記事では介護事業所が利用できる人材確保等支援助成金の情報をまとめ、補助金額まで詳しくご紹介しています。
また、記事後半では関連する補助金を一覧にまとめております。ぜひブックマークをしてご活用ください。
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目次
人材確保等支援助成金
魅力ある雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的とした助成金です。
合わせて9つのコースが設立されています。その中で、介護事業所でも取り入れやすい下記のコースをご紹介します。これ以外では、テレワークの導入助成や建設業向けの助成コースが設立されています。
- 雇用管理制度助成コース
- 介護福祉機器助成コース
- 人事評価改善等助成コース
- 外国人労働者就労環境整備助成コース
※雇用管理制度助成コース、人事評価改善等助成コースに関しては現在新規受付停止中
▶雇用管理制度助成コース
事業主が、雇用管理制度の導入などによる雇用管理改善を行い、離職率の低下に取り組むことを支援することを目的としています。
補助金額
目標達成助成57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)
申請期間(期日)
算定期間(計画期間終了後12か月間)終了後2か月以内
※現在新規受付停止中
▶介護福祉機器助成コース
介護福祉機器の導入などを通じて介護労働者の離職率の低下改善に取り組む事業主に対して助成される制度です。
対象の事業主は下記です。
- 介護事業主であること
- 過去3年以内に、人材確保等支援助成金・職場定着支援助成金・中小企業労働環境向上助成金の介護福祉機器助成コースの支給決定歴がないこと
- 離職率の目標を達成すること 他
詳しくは制度の公式ページでご確認ください。
助成対象となるもの
介護福祉機器を設置または整備費用
※介護福祉機器の設置に係る費用(工事費など)は支給対象に含まれません
【助成金の対象となる介護福祉機器の範囲】
下記に該当する1点10万円以上のもの
- 移動・昇降用リフト
- 装着型移乗介助機器
- 体位変換支援機器
- 特殊浴槽
補助金額
介護福祉機器の導入費用の20%(生産性要件を満たした場合35%)
<上限150万円>
申請期間(期日)
算定期間終了後2ヶ月以内
助成を受けるためにクリアすべき条件
- 介護労働者の労働環境向上のための介護福祉機器の導入・運用計画を作成し、管轄の労働局長の認定を受けること。
- 認定された導入・運用計画に基づき機器を導入し、介護労働者の雇用管理改善に努めること
- 雇用管理責任者を選任していること
- 離職率を目標値以上に低下させること
対象事業所における雇用保険一般被保険者の人数区分 1~9人 10~29人 30~99人 100~299人 300人以上 低下させる離職率(目標値) 15% 10% 7% 5% 3% - 離職率が30%以下となること
▶人事評価改善等助成コース
生産性向上に資する人事評価制度を整備し、定期昇給などのみによらない賃金制度を設けることを通じて、生産性の向上、賃金アップおよび離職率の低下を図る事業主に対して助成するものであり、人材不足を解消することを目的としています。
補助金額
目標達成助成 80万円
申請期間(期日)
評価時離職率算定期間の末日の翌日から起算して2か月以内
※現在新規申請受付停止中
▶外国人労働者就労環境整備助成コース
「言語の違いからトラブルが起こりやすい」など、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して、その経費の一部を助成する制度です。
助成対象となるもの
- 通訳費
- 翻訳機器導入費(上限10万円)
- 翻訳料
- 弁護士、社会保険労務士などへの委託料(外国人労働者の就労環境整備措置に要する委託料に限る)
- 社内標識類の設置・改修費(多言語の標識類に限る)
補助金額
支給対象経費の合計額に助成率を乗じた下表の額が支給されます。
区分 | 支給額(上限額) |
---|---|
生産性要件を満たしていない場合 | 支給対象経費の1/2(上限額57万円) |
生産性要件を満たす場合 | 支給対象経費の2/3(上限額72万円) |
参照:人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)|厚生労働省
※生産性要件についてはこちらからご確認ください。
申請期間(期日)
算定期間が終了して2か月以内
助成を受けるためにクリアすべき条件
- 計画を作成し、労働局長の認定を受けること
- 認定を受けた就労環境整備計画に基づき、外国人労働者に対する就労環境整備措置を新たに導入し、外国人労働者に対して実施すること(1・2は必須、その他3~5はいずれかを選択)
- 雇用労務責任者の選任
- 就業規則などの社内規程の多言語化
- 苦情・相談体制の整備
- 一時帰国のための休暇制度の整備
- 社内マニュアル・標識類などの多言語化
- 定められている「外国人労働者離職率」と「日本人労働者離職率」を目標を達成する事
介護事業所で使える助成金・補助金制度一覧
その他使える補助金を以下の記事で紹介しています。
各補助金と概要の一覧
制度名称 | 制度の概要 |
---|---|
業務改善助成金 | 中小企業・小規模事業主の生産性向上を支援し、事業場内でもっとも低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図ることを目的とした助成金 |
働き方改革推進支援助成金 | 生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を助成する |
雇用調整助成金 | 経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るため休業手当に要した費用を助成する |
キャリアアップ助成金 | 派遣労働者含む有期雇用労働者や、短時間労働者の企業内でのキャリアアップ促進を目的とした助成金 |
両立支援等助成金 | 職業生活と家庭生活が両立できる“職場環境づくり”を推進する目的とした助成金 |
人材開発支援助成金 | 労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を促進することを目的とした助成金 |
トライアル雇用助成金 | 職業経験の不足などから就職が困難な求職者などを3か月間程度試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとしてもらうことを目的とした助成金 |
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース) | 新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成する |
労働移動支援助成金 | 事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされる労働者などに対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇の付与や再就職のための訓練を教育訓練施設などに委託して実施した事業主に対して助成 |
中途採用等支援助成金 | 中途採用、UIJターンの採用拡大を図る事業主へ助成 |
人材確保等支援助成金 | 雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的とした助成金 |
特定求職者雇用開発助成金 | 高年齢者や障がい者などの就職困難者をハローワークなどの紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成 |
65歳超雇用推進助成金 | 高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現する支援をする助成金 |
介護ロボット導入活用支援事業補助金 | 介護ロボットの使用による介護従事者の負担の軽減を図るとともに、介護ロボットの普及による働きやすい職場環境の整備を図り、介護従事者の確保に資することを目的とした助成金 |
ICT導入支援事業補助金 | 介護事業所などにおける介護ソフト、タブレット端末などの導入支援を行うことにより、介護記録・情報共有・報酬請求などの業務の効率化を図り、介護従事者の負担軽減による雇用環境の改善、離職防止および定着促進に資することを目的とした助成金 |
IT導入補助金 | デジタル化により、業務効率・売上アップなどをサポートする目的の助成金 |
小規模事業者持続化補助金<一般型> | 小規模事業主および一定要件を満たす特定非営利活動法人が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更に対応するため、小規模事業主などが取り組む販路開拓などの取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業主などの生産性向上と持続的発展を図ることを目的とした助成金 |
創業助成事業 | 創業予定者または創業から間もない中小企業者に対して、創業期に必要な経費の一部を助成することで東京都における創業のモデルケースを創出し、新たな雇用を生み出すなど東京の産業活力の向上が目的となっている助成金 |
事業再構築補助金 | 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、需要や売上の回復が期待しにくいなかで、経済社会の変化に対応するために新しい分野の展開、業態転換、業種転換などによって規模の拡大、事業再構築を目指す中小企業などの挑戦を支援する目的の助成金 |
事業継承・新規開業支援補助金 | 主に小規模事業主の事業継続や、新規開業によって地域の活性化や雇用機会の拡大が目的の助成金 |
【助成金制度で使われる主な用語の解説】
各助成金(補助金)の多くは、特定の概念を下記のとおり定義しています。
場合によっては下記に限らない場合もありますので、詳しくは各制度のページでご確認ください。
「中小企業」とは
以下のAまたはBの要件を満たす企業となります。
業種 | A資本または出資額 | B常時雇用する労働者 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
「事業場」とは
労働基準法における考え方と同一です。同一の場所で、相関しかつ組織的な業務を行える場所のことを指します。
生産性の向上とは
助成金を申請する事業所において、生産性要件算定シートを用いて計算された生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合は助成額が割り増しされるなどの措置があります。
各助成金の項目で「生産性の向上が認められる場合」と記載がある場合、こちらの制度が適用になる可能性があります。
詳しくはこちらのページでご確認ください。
助成金・補助金制度を使って環境改善を行いましょう
介護現場の環境が改善されることは、職員のメリットだけではなく、ケアにより時間をかけることができるようになるといった利用者へのメリットにもなります。利用者への還元が増えれば、満足度に繋がり、施設運営にもよい影響をもたらすのではないでしょうか。