お客様が健康的な生活を送るためには、日常生活を送る場所(居室・台所・お風呂・トイレなど)を掃除し、清潔の保持(感染症の予防)・整理整頓(転倒など事故を防ぐ)などをすることが重要です。
掃除の方法は、お客様宅によって異なりますので、必ず進め方や道具などの確認を行い、訪問介護計画書に留意点を記載の上、手順書に沿ってサービスに入るようにしましょう。皆さんの事業所のサービスの質の向上にご活用いただければ幸いです。
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目次
掃除をするときの原則
整理整頓
掃除をする前に、小物類をあらかじめ片付けておきましょう(掃除が終わったら、元の位置に戻すことを忘れないようにしましょう)。
また、物を置く場所を決めることで何処にあるのかすぐ分かり、取り出しやすくなります。
上から下へ、奥から手前へ
ホコリは高いところ(上)から低いところ(下)へ落ちていきます。
たとえば、床の掃除をしたあとではたきをかけると、せっかくきれいにした床がまたホコリで汚れてしまうので、掃除をするときには、窓拭きやテーブル拭きなど部屋の上のほうから行うと効率的です。
一定方向へ掃除する
部屋の造りにもよりますが、たとえば「手前から奥へ」「時計回りで」などと決めておきましょう。あっちこっちととりとめもなく動いていると、なかなか前に進んでいる気もしません。一定方向に決めておけば、同じ場所を何度も掃除することなくスムーズに片付けられます。
主な道具
居室 | 掃除機、ほうき、ちりとり、はたき、雑巾、 クイックルワイパー など |
台所 | ふきん、スポンジ(硬質・軟質)、たわし(亀の子・金)、ぞうきん、台所用洗剤 など |
風呂 | スポンジ、風呂用ブラシ、たわし、タオル、風呂用洗剤 など |
トイレ | トイレブラシ、使い捨てウェットペーパー、雑巾、トイレ洗剤 など |
掃除用具の使い方
雑巾のしぼり方の例
- 縦にした雑巾の下半分を左手で持つ
- 右手を残り上半分に雑巾を包みこむような感じで持つ
- このとき、右手の甲は向こう正面を向いている
- 一気に両手を内側にむけ同時に絞る
※雑巾を縦に持つことが、力を入れやすくするためのコツ
《ポイント》
雑巾を絞るときは、固く絞り、絞り終えたら手を拭きましょう。よく絞れていないと、水を十分にふき取れません。床が濡れたままだと、床材を傷めたり、転倒につながり危険です!
今回紹介した方法以外にも、さまざまな方法があります。実際には『どの方法が正解』というのはありません。自分が行いやすい方法をみつけて、掃除を行いましょう。
はたきのかけ方
- 障子や窓の桟などのほこりを取るために、はたきを使います。
- 桟の上面1本ずつを横から払うようにしてほこりを落としましょう。
※パタパタとたたくと、ほこりが舞い上がってしまいます。また、障子紙を傷めないよう注意しましょう!
《ポイント》
はたきは上から払うようにかけましょう。
ほうきの使い方
畳 | できるだけ畳の目にそって掃き、隅はほうきの先を使い、かき出します。 |
フロー リング | 木の目に沿って掃くようにしましょう。 |
《ポイント》
ほうきで掃くときは、勢いにまかせて掃くのではなく、ほうきの先を止めて、ほこりを寄せるように掃きましょう。
掃除機のかけ方
掃除機は、掃除する場所によってかけ方が変わります。
畳 | 畳の目に沿ってほこりを吸い取りましょう。畳の目に沿わずに掃除機をかけても、細かいほこりを吸い取ることができません。 |
じゅうたん カーペット | 掃除機を「押し引き」掛けをすると、ほこりをよく吸い取ります。 |
フロー リング | 溝にほこりがたまりやすいので、特に注意して掃除機をかけましょう。 |
《ポイント》
ノズルを動かす速度が早いと掃除機の吸引力が落ちてしまうので、掃除機はじっくり丁寧にかけましょう。風でほこりが舞うのを防げますので、キレイにした方向に排気口を向けましょう。
場所別の掃除方法
室内の掃除をする際、掃除用具の保管場所を確認し、使用後は元通りの場所に片付けましょう。また、お客様へ掃除を始めることを必ず伝えてから行うことが大切です。
居室の掃除
照明、棚、テーブルなどの高いところからほこりを落とし、次に床などを掃除します。
台所の掃除
- スポンジ・たわしが複数ある場合、必ずそれぞれの用途を確認してから使用しましょう。食器洗い用・シンク用などあるため、勝手に判断せず、お客様に確認をすることが大切です。
- 台所のシンクまわりに水気を残さないようにしましょう。食器洗いなど片付けが終わったら、ふきんで水気をふき取りましょう。
- ガスレンジ使用後に、固く絞ったふきんで全体の汚れをふき取りましょう。油汚れは、こまめに掃除することが大切です。
台所洗剤について注意すること
- 研磨剤が入っている洗剤は、食器などの材質によって傷をつけてしまうことがあります。
- 漂白剤使用時は、容器に記載のある注意事項を確認のうえ使用すること。素手で触った場合は、ぬめりが取れるまで良く手洗いをしましょう。
風呂の掃除
- 風呂の材質と洗剤の使用上の注意を必ずチェックしましょう(材質によって変色の恐れがあります)。
- 掃除の際、風呂用ブーツを使用してよいかを必ず確認しましょう(使用後はブーツの水気を拭き取ること)。
- 掃除後は、しっかり洗剤を流しましょう。シャンプー・石鹸類は、必ず元の場所に戻しましょう。
トイレの掃除
- 床用・便器用と雑巾を使い分けている場合があるため、必ず確認しましょう。
- 汚物の付着がひどい場合は手袋を着用しましょう。
- 掃除の際には、トイレマットや便座カバーを交換するか確認しましょう。その際、トイレマットの位置を確認することで転倒防止につながります。
まとめ
今回ご紹介した内容は、あくまでも基本です。
平成30年介護報酬改定からは「老計10号」の改正により、見守り的援助、身体介護の範囲が明確化され、単に「やってあげる」のではなく、利用者の自立を後押しする観点から安全に配慮しつつ寄り添って「ともに行う」支援を指すことが、さらに求められるようになりました。掃除の際もそのようなことをケアプランや訪問介護計画書に位置付け、行うことが必要です。事業所全体で周知徹底を行うようにしてください。
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