
近年、採用の新しい形式・方法として「リファラル採用」が注目を浴びています。特に、従来の求人方法では応募者が少なく、採用に苦慮している介護業界にとっては人材不足解消の切り札ともいわれているものです。
介護職におけるリファラル採用の実態と、その実践法(方法論)を紹介します。
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リファラル採用とは
近年、急速に増加しつつある新しい採用方法が「リファラル採用」です。
簡単に言うと、会社の社員が友人や知人を自社の新規採用候補者として会社の人事担当者に紹介する採用方法です。昔からある「縁故採用」に似ていますが、会社の採用方法として明確にシステム化して運用される点が大きな違いです。
「リファラル採用」を導入すると、従来の求人や採用方法のマイナス面が払拭されるといわれています。特に人材不足という深刻な問題を抱えている企業にとっては、適任者を効率よく採用できるうえに、採用のミスマッチが減って定着率のアップも期待できる採用方法でしょう。そのため、リファラル採用を導入する企業が徐々に増えてきています。
リファラル採用を導入するには
求人の方法としてリファラル採用を導入するために最も大切なのは、リファラル採用の工程を制度として構築(制度設計)することです。その上で会社の方針として取り組むことを社員に周知徹底し、計画に沿って有機的に遅滞なく業務を進行させることが必要になります。さらに、業務の進捗状況をチェックし、問題点があればすぐに改めることが重要です。
以下に、リファラル採用制度の工程表を示します。
社員へのヒアリング調査
まずは、社員全員に対し、実際に紹介できそうな人材がいるかどうかをヒアリングします。
その上で、リファラル採用が実際に運用できるかを調査し、報告書にまとめます。
フィー(インセンティブ)の設定
人材紹介および採用決定の際、紹介者である社員に支払うフィー(インセンティブ)を決定します。
社内告知
決定したリファラル採用制度の内容を社内に告知し、必要に応じて説明会を実施します。
課題点解決のための意見出し
リファラル採用制度導入前に、採用実施後に起こりうる事態を予測し、その対策を練る目的で、人事・採用に関わる社員全員で、自由に意見を出し合います。
定例ミーティングの実施
リファラル採用制度の責任者は、工程の項目ごとに起きた問題点をチェックします。必要に応じて定例ミーティングまたは緊急ミーティングを開催して問題点の解決にあたります。
リファラル採用の成果を定期的に社員へ発信
リファラル採用制度を活発化させ、定着させていくために、リファラル採用によって何名の採用が実現しているか、どの社員が多く紹介してくれているか等の情報を発信することも効果的です。
これまで紹介実績がない社員でも「まずは紹介してみよう」という気持ちになり、活発な紹介が期待できます。
リファラル採用のメリットとデメリット

リファラル採用には企業にとってプラスの面が多いものの、制度自体がまだ日の浅いシステムであることから、場合によってはマイナスに作用することもあります。採用担当者は、リファラル採用のプラスとマイナスの両面を熟知しておかねばなりません。
リファラル採用制度の運用において万一マイナスの状況が発生した場合でも、すぐにその対策を講じられる事前準備が大切です。
リファラル採用のメリットその1 採用コストを抑えられる
リファラル採用は、社員を通じて行う採用方法なので、人材紹介(派遣)会社や求人媒体にかかるコストを削減できます。リファラル採用にかかる費用は、人材を紹介した従業員に支払うフィー(報酬)だけです。加えて社員の満足度が高まるメリットが得られ、その費用対効果は絶大であるといえます。
リファラル採用のメリットその2 自社が求める人材とマッチしやすい
求人媒体などからの応募の場合、その企業に適した人材が応募してくるとは限りません。また、人材紹介(派遣)会社を利用して良い結果が得られるケースはありますが、なかなか自社が求める候補者を紹介してもらえず、マッチングが難しいケースもあるでしょう。
その点、社員の紹介によるリファラル採用ならば、社員は「この人だったら自社の社風や介護観に合うだろう」「この人だったらきっと活躍できるだろう」と考え、知人に声をかけるでしょう。そして、紹介される側も内部の情報について気になる点を確認したうえで話が進み、応募のタイミングである程度お互いを理解できているので、採用の可能性が高くなります。
リファラル採用のメリットその3 潜在層へのアプローチが可能
現在、既存の求人サイトでは、全ての人材が網羅されているわけではありません。求人サイト未登録者の中に、介護事業所にとって未知の適格者がいる可能性があります。リファラル採用には、そのような潜在的適格者を顕在化するメリットがあるといえるでしょう。
「介護職に関心はあるが、自分に務まるのか不安」、「介護職に就きたい気持ちはあるが、今の職場が多忙で転職のきっかけがない」という人材を、社員全員の努力で見出していく人材発掘プロジェクトがリファラル採用なのです。
リファラル採用のメリットその4 離職率を下げられる
リファラル採用では、必然的に社員の友人や知人が対象となるので、離職率が低くなる傾向にあります。離職率が下がればコスト削減にもなるので、会社にとっては大きなメリットです。
採用された側としても、社内に知人がいれば仕事や人間関係の悩みを相談できることになり、安心感を持って仕事ができるのはメリットといえるでしょう。従来の方法で採用した場合よりも、入社後のケアが容易であるといえます。
リファラル採用のデメリットその2 採用までに時間がかかる
リファラル採用では、どうしても社員からの「紹介待ち」の状態となるため、実際の採用までに時間がかかることが難点といえます。
リファラル採用のデメリットその3 紹介者の理解不足によるミスマッチ
通常は人事担当者が行うべき会社の方針や業務内容の説明などを、紹介者である社員に任せがちにもなることも少なくないでしょう。そうなれば、会社の意図とは異なる人材や会社の方針を理解しない人材を採用してしまうリスクがあることを人事担当者は知っておくべきです。
リファラル採用のデメリットその1 不採用時の配慮が必要
リファラル採用は紹介といっても通常の採用ステップ踏むので、不採用となった場合に紹介者と非紹介者の関係性が悪化しない様に配慮が必要です。
リファラル採用の場合は、非紹介者に対して事前に不採用になる可能性を伝えておくことが大切です。
介護職におけるリファラル採用

介護職では、病気や体力の低下で弱気になったり逆に攻撃的になったりする利用者さんに対応することも多く、ほかの仕事よりもコミュニケーションが重要視されます。人事担当者にとっては、可能な限り入社前の段階で性格や仕事に対する適性を把握できることが望ましいでしょう。その点において、リファラル採用は従来の採用よりも有効です。
介護の現場にリファラル採用で新たな人材を受け入れるためには、以下のような準備体制を構築しておくことが求められます。
リファラル採用後のシステム構築その1
リファラル採用を成功に導くには、次のように全社的な環境を整える必要があります。
リファラル採用の意義について既存の社員から合意を得ること
リファラル採用を導入する意味を社員に深く理解させることを目的として、テーマ別に各部署でブレーンストーミングを実施します。
職場見学会や仕事体験などの実施
採用予定者の不安を完全に払拭するため、実際に職場を訪問する見学会を開催します。1週間程度の期間を設けて、実際に仕事を体験する機会を作るのもよいでしょう。
リファラル採用制度のシステム構築
「紹介カード」などをフルに活用し、日頃からリファラル採用の重要性を社員にアピールします。紹介者や被紹介者に贈る記念品などを用意したり、紹介した社員へフィー(報酬)を支給したりするシステムを明確に制度化することも必要です。
魅力ある職場環境作り
リファラル採用制度を有機的に運用していくためには、「社員が誰も紹介しない」という状況を回避しなければなりません。「自分の職場を知人にすすめたくない」と思う社員が多くいる場合、いくらインセンティブ制度を作っても逆効果です。
リファラル採用で成功している企業の多くは、社員が自分の仕事に誇りを持てるような職場環境を構築しています。人事責任者は、そのことを肝に銘じておきましょう。
リファラル採用後のシステム構築その2
リファラル採用では、採用前の準備に気をとられがちですが、大切なのはむしろ採用後です。従来の方法で採用した社員とリファラル採用社員との不調和を防ぐ策を事前に講じておくことが重要になります。以下に挙げる対応策を参考にして、自社なりのシステムを構築してみてください。
- 紹介者へのフィー(報酬)以外の人事考課制度を構築し、それを全社員に周知徹底する。
- 社員間の不調和解消のために、リファラル採用社員専任のチューター(指導員)制度を導入し、研修制度を構築する。
- 社外の人材コンサルタントを登用し、不安や問題点を相談しやすい環境を整備する。
介護職の求人にリファラル採用を!
企業の採用担当者は、既存の求人媒体を利用するという固定観念にとらわれ過ぎていては発展が望めません。慢性的な人材不足に悩む介護業界は、今こそ発想を転換し、多くの企業でよい効果を生んでいるリファラル採用制度を積極的に導入してみてはいかがでしょうか。