介護士に必要な非言語コミュニケーションとは?種類やポイントを解説

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高齢者を介護する介護士には、言葉を用いない「非言語コミュニケーション」が大切だと言われています。認知症患者にも有効的とされる非言語コミュニケーションには、どのような種類があるのでしょうか?

介護職が身につけたい具体的な内容やポイントについて、わかりやすく解説していきます。

介護士に大切な非言語コミュニケーションとは?

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介護職員にとって、利用者さんとのコミュニケーションは欠かすことのできないものです。基本的なあいさつだけでなく、動作をうながすための声かけや相手の心に寄り添う言葉など、さまざまな場面で言語コミュニケーションが必要になります。

また、人と人との間で交わされるコミュニケーションは、言葉を介したものだけではありません。「目は口ほどにものを言う」ということわざがあるように、視線や表情も意思の伝達手段になると言われています。

アメリカの心理学者メラビアンによると、見た目やしぐさといった視覚情報がコミュニケーションに与える影響は55%。次いで聴覚情報が38%、言葉を用いた言語情報が与える影響は全体の7%ほどだとされています。

特に、介護施設を利用する高齢者の中には、耳が不自由になり会話が難しい方も少なくありません。そのため、介護士と利用者さんの間では、言語を介さない非言語コミュニケーションがより求められることになります。

介護現場に非言語コミュニケーションが必要な理由

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介護者と要介護者に、さまざまなメリットを生み出す非言語コミュニケーション。介護現場における必要性を、さらに掘り下げて確認していきましょう。

利用者さんやご家族に安心感を与える

非言語コミュニケーションを介した対話は、言葉を用いるコミュニケーション以上に相手に意識を傾ける必要があります。視線や表情で意思疎通を図ろうという姿勢は、「あなたのことを受け入れます」という思いを言葉以上に伝えることができるのです。

非言語コミュニケーションが伝える「あなたの話を聴いています」というメッセージは、利用者さんだけでなくご家族にも安心感を与えます。結果的に、介護士と利用者さん、ご家族の信頼関係を強めることにもつながるでしょう。

利用者さんの身体や心の変化を読み取る

健康な方であっても、元気のないときは身だしなみに気合いが入らないものではないでしょうか。同じように、利用者さんの身だしなみや表情にも、その日の体調や心理状態は現れます。

言葉では「元気です」「大丈夫」と言っていても、生活に変化があったり、身体的な不調を抱えたりしていることも考えられます。非言語コミュニケーションである身だしなみや表情に意識を傾けることで、言葉の裏にある心理をより深く理解することができるのです。

認知症ケアにも有効的

認知症が進行し脳機能が低下すると、会話が難しくなることもあります。一方、認知症が進行しても、非言語コミュニケーションの認知能力は残存しやすいと言われています。

つまり、認知症患者に何かを訴えたり、相手の意図をくみ取ったりしたいときには、言葉ではない非言語コミュニケーションが有効的だと考えられるのです。

認知症患者との意思疎通が可能になれば、介護負担の軽減も期待できるでしょう。

介護に役立つ非言語コミュニケーションの種類

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非言語コミュニケーションは、「表情」、「聴く姿勢」、「スキンシップ」、「身だしなみ」、「視線」と大きく5つに分類されます。介護に役立つ、それぞれの具体的な内容についてチェックしていきましょう。

「表情」

利用者さんと対話するときは、安心感を与えるおだやかな笑顔が基本です。マスクをしていると表情が分かりづらいこともあるため、特に目元の表情を意識しましょう。

非言語コミュニケーションでは、相手の状況に応じて表情を変えることも大切。会話の内容によっては、笑顔ではなく真剣な表情が適するため注意が必要です。

「聴く姿勢」

相手の話に耳を傾ける「傾聴」は、コミュニケーションの基礎となるものです。「自分の話を聴いてもらっている」という安心感は、利用者さんとの信頼関係につながります。

利用者さんの話に耳を傾けるときには、ほかの作業の手を止めることがポイント。また、利用者さんの正面ではなく、横や斜めに腰かけるよう意識しましょう。

「あなたの話をゆっくり聞きます」という姿勢を示すことが大切です。

「スキンシップ」

スキンシップは、相手との距離をぐっと近づける非言語コミュニケーションです。しかし、利用者さんと親しくなろうと不用意に身体を触るのは逆効果。

特に、頭や顔、臀部などは誰もが不用意に触られたくないデリケートな部分です。そのため、介護現場では肩や背中、手の甲などに触れるスキンシップが基本となります。

上からつかんだりすることのないように、利用者さんと目線を合わせながらやさしく触れるように意識しましょう。

「身だしなみ」

相手へのイメージを印象づける身だしなみも、重要な非言語コミュニケーションです。特に、介護現場では清潔感を与える身だしなみが基本となります。

髪型や服装だけでなく、爪やヒゲもチェックしておきたいポイントです。特に、長く伸ばした爪は利用者さんの皮膚を傷つけることもあるため注意しましょう。

「視線」

利用者さんと対話するときには、視線を同じ高さに合わせるように意識します。特に、利用者さんが車いすに座っていたり、ベッドに横になったりしているときには腰を落として話しかけましょう。

ただし、熱心に話を聴こうとするあまり、利用者さんをじっと見つめ続けるのは逆効果。威圧的な印象を与えることもあるため注意が必要です。

目線を合わせる時間は会話の半分ほどを心がけ、利用者さんに意識が向いていることを伝えましょう。

合わせて覚えたい準言語的コミュニケーション

準言語 コミュニケーション

準言語的コミュニケーションは、会話中の声の強弱や抑揚を意味します。例えば、「お願いします」という依頼を意味する言葉も、きつい口調で言われるのと穏やかな口調で言われるのとでは、受け取る印象が違ってきます。

より良いケアを提供するためにも、準言語コニュニケーションのポイントを押さえておきましょう。

「声の大きさ」

「高齢者は耳が不自由だから…」と、いつも大きな声で話しかけてはいませんか?介護現場では、利用者さんの状況に合わせて声のボリュームを調節する必要があります。利用者さんによっては、小さな声で語りかけたほうが、話の内容に集中してくれる場合もあるのです。

それぞれの身体状況を見極めながら、その場に応じた声の大きさで話すよう心がけましょう。

「話すスピード」

次から次に業務が重なる介護現場では、ついつい話すスピードが速くなってしまいがちです。利用者さんに思いを伝えたいときこそ、ゆっくりとした聞こえやすいスピードを意識しましょう。

入浴や食事の声かけも急かすのではなく、「お風呂でさっぱりしませんか」「おいしいですよ」など、ゆっくりと話しかけることが大切です。

「おだやかな口調」

準言語コミュニケーションでは、おだやかな口調を心がけます。特に、認知症の方には、相手を責めたり否定したりしない声かけが大切です。

おだやかな口調と心でケアにあたることは、結果的に、介護者の心理的負担の軽減にもつながります。

日々の介護に非言語コミュニケーションを活用しよう

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介護では、言葉だけではない非言語コミュニケーションが重要視されます。コミュニケーションが円滑になることは、信頼関係が構築されるだけでなく、介護者の負担軽減にもつながるのです。

非言語コミュニケーションのポイントを身につけて、日々のより良いケアへと活かしていきましょう。

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