通所介護サービスにおける「病気予防」「ケガ予防」お悩みQ&A

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通所介護サービスにおける「病気予防」「ケガ予防」お悩みQ&A

梅雨時期になり、通所介護サービスをご利用のお客様の体調不良によるお休みやワクチン接種のためのお休みなどの報告をアドバイザー先から受けています。

コロナ禍の中ですが、お客様に対し「病気予防」「ケガ予防」のお声がけの日頃からの意識が、「介護予防」にもつながり、経営の安定やリスクヘッジにも比例することを経営者・管理者だけでなく、現場スタッフにも周知徹底しなければなりません。 今回は「病気予防」「ケガ予防」にもつながる、ご利用者への通所介護サービス提供上のお悩みにお答えします。

質問 ご利用者が骨折後でリハビリに対し痛みも伴うためか、機能訓練に消極的な場合には?

皆さんはお客様の「不安」「お困りごと」「願い」は確認されていますか?
その痛みを解決するために主治医に相談をしましたか?
私も骨折後に経験がありますが、筋肉が固まっていると痛みが生じます。

ストレッチをしながら少しずつリハビリを行い、お客様の日々の積み重ねの小さな出来たを共感し、「今回は前回より〇〇出来て良かったですね!」とお声がけをし、無理のない機能訓練を遂行されるようにしましょう。

質問 機能訓練を無機能訓練をご利用者が無理なく、目標を立て実行できる方法は?

私の伯母が特別養護老人ホームに入っていますが、以前いた病院で理学療法士から教えてもらった機能訓練メニューを毎日こなしていると言っていました。伯母は「以前は左足が動かなくなった時もあったけど、そのお陰で動くようになった!」と電話で報告してくれました。伯母の場合は、体操や一日1万歩を目標に施設内で歩いていると言っていましたが、お客様も同様でお客様に必要な目標でないとやる気も出ないと思います。

車いすの方の歩行訓練ならその機能訓練をして、「生活の中の何が出来るようになる」ことを目標にすることが重要です。最初は歩行器でトイレから始まり、最終的には杖で外出の目標が達成出来たなら素晴らしい自立支援でとなりますよね。その方、その方の意向に合わせた目標が、本来の尊厳の保持の考え方です。

質問 個別機能訓練加算を取得していて、取り組みをうまく進めるには?

個別機能訓練加算取得に際しては、生活の中での“IADL”の向上にもっと視点を向けるべきです。

「転倒しないようにする」「少しでも長く歩けるようになる」「下肢筋力の向上をする」「脳トレで物忘れ(認知症)を防ぐ」という身体的機能向上の目標ではなく、「杖を使い歩行が出来るようになる」「畑の草むしりが出来るようになる」といったより具体的で理解しやすい目標が良いでしょう。

生活する上では、日常生活の中で「買い物に行く」「お風呂に入る」「掃除をする」「食事をする」「アイロンをかける」「スマートフォンで家族と定期的に会話が出来るようになる」、「近くのコンビニに買い物に行く」「銭湯に行く」「回覧板をまわす」など、地域における社会的な役割維持やお客様自身の毎日の生活を支える機能や役割を取り戻し、役割参加・社会参加できるようにするという視点が大切です。

私の介護していた祖母の妹は94歳ですが、「デイサービスに週2回休まず行く」とい目標を立てていますが、この目標でも最初のきっかけになると思います。

質問 自立支援やその為に機能訓練は理解していても、職員が手を出してしまうのを指導する方法は?

2000年の介護保険開始当初は、お客様に何でもやって差し上げることが良い介護と誤解されていました。

しかしその姿勢が過介護を生み、結果、お客様やご家族に「自立支援なのでやって下さい。」とお話しすると、「何で今までやってくれたのにやってくれないんだ。」と苦情を頂くことも多々ありました。

本来、元気になるために、お金をお支払い頂き、介護サービスを受けているのに、手を出しすぎて、今の状況を悪化させては本末転倒です。

そして「トイレにシルバーカーで行けるようになる」の目標を立てても職員が「面倒だから」、「お客様が車いすで行きたいというから」と、機能訓練を活かさずに、車椅子でトイレ誘導するのは、目標も機能訓練もお客様の頑張りも否定することになります。

現在の介護の考え方は、「手は出さず見守り」、「できることはして頂く」支援を行うという考え方です。

私の介護していた祖母は、圧迫骨折で寝たきりになり、認知症発症、持病のC型肝炎も悪化し、主治医に余命半年を宣告されたのに「家に帰りたい。」の「願い」をきっかけに、頑張って歩行訓練し、認知症も改善され、結果杖歩行で一時帰宅が出来、それから2年半延命出来ました。

私が祖母のミラクルを見て学んだことは、「人は関わる環境と声がけで、改善出来る」ということです。

その為には、多職種連携やその必要性を職員に繰り返し指導し続けることが、引き算の介護には必要です。

お客様の「出来た」「やれた」「もっとやりたい」につなげるためにも、施設や事業所全体で介護の仕方を定期的に振り返るようにもしましょう。

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