介護施設の経営でおさえておきたいポイントとは

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介護施設の経営でおさえておきたいポイントとは

高齢者の数が増え、施設数や介護サービスの利用者が増加する一方で、人材不足や経営難に苦しむ事業者は少なくありません。これから介護施設を経営しようと考えている方にとって、「上手く経営できるか」という心配や不安な気持ちは多くの方がお持ちだと思います。

ここでは、介護施設の経営で失敗しないために、おさえておくべきポイントについて紹介します。


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介護施設経営の課題

少子高齢化が進み、需要が増える介護施設においては、民間事業者のみならず社会福祉法人の事業者であっても、経営がうまくいかない施設は少なくありません。利益を出せる施設とそうではない施設では、いったい何が違うのでしょうか。

ここでは、介護施設経営の課題について以下に解説します。

利益の確保

特養や老健、住宅型有料老人ホームなど介護施設経営の収入として通常7割から9割は、国民健康保険連合会からの介護報酬です。とはいえ、介護報酬の収入が大きくあったとしても、それだけでは人件費をまかないきれません。かつて老人ホーム経営などでは入居時に入居者からもらう入居一時金が大きな収入源でしたが、現在は介護施設が増え、競争原理からか、入居時一時金が0円である施設もあたりまえになりました。

入居者からのサービス利用料の収入があっても、高騰する人件費に加えて賃貸料や食材費、水道などの光熱費、車両関連のリース費用など、広告宣伝費などの支出が多いビジネスであるため、利益の確保は簡単ではありません。

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入居者の要介護度の悪化

介護保険制度では、人員配置基準を遵守する必要があります。人員配置基準は介護度との関連性がないため、要介護度が悪化するほど職員一人にかかる介護負担も大きくなります。職員の介護負担軽減から人員を増やすと人件費が上昇し、利益を確保していくことはますます難しくなるでしょう。

そんななか、政府は介護人員の規制緩和を進めており、入所者3人に対して少なくとも職員一人を配置する現行の基準から、一人で4人までを介護できるように基準の見直しを検討しています。

ICTやIOTなどの活用で介護現場の生産性向上を目指しているとはいえ、現場では「入居者の心身状況によっては3対1の人員配置でも大変なのに」、「経験がない職員はケアに不安を感じるのでは」といった声も少なくありません。

人材の確保

介護業界の有効求人倍率は、異業種と比較すると高い水準ですが、コロナ禍においては少し改善傾向にあります。とはいえ、まだまだ人員の流動性は高く、採用や育成にコストがかかります。

スタッフの育成は非常に重要です。介護技術やコンプライアンスなどの教育が行き届いていないと、利用者に対するサービスの質低下につながり、さらにスタッフ間の人間関係を悪化させ、新しい人材が入職してもすぐに辞めてしまうといった負のスパイラルを起こしてしまいがちです。

給与が高いからといって、十分な人材を確保できるものではありません。介護施設を経営していくうえでは、入居者を集客するのと同様に職員の人材確保が難しいという現状があります。

介護施設の経営で重要な3つのポイント

介護施設を経営するにあたり、知っておくとよい重要な3つのポイントについて紹介します。

IT導入による業務効率化で利益を確保

IT技術を取り入れることで、業務の効率化を実現している施設が増えています。たとえば、スマホのアプリによる動画を活用した教育や研修を実施したり、マニュアルを作成したりすることで、教育や研修に携わるスタッフの負担軽減にもつながっています。また、スマートフォンやタブレットを活用した記録入力で重複した記録の記載の手間を減らし、情報共有の迅速化や介護現場の負担軽減をはかっている施設もあるのです。

昨今のIT技術には、転倒転落防止のため立ち上がりの際にセンサーで感知して通知したり、心拍や呼吸数の状態変化を瞬時に通知したりなど、利用者の安全や健康をモニタリングすることで、見守りの業務負担を軽減してくれるものがあります。

介護現場のシフト作成や労務管理は、非常に大変な業務です。CWS for Careのような介護現場に特化したシフト作成・管理支援ソフトを活用することで、シフトを作成する上の負担を大幅に削減できるのに加えて、高い費用対効果を得ることができます。

関連記事:介護現場におけるICT活用メリット・デメリット
関連記事:介護システムの導入費用が安くなる?IT導入補助金の活用方法

働く環境の改善

人材確保には、働きやすい環境の整備が欠かせません。たとえば、一人に事務作業を任せるのではなく、皆で出来るようにするだけでも働きやすくなります。また、手順書を作成をしたり、情報共有の方法を見直したりすれば、大幅な業務の効率化につながるでしょう。

前述したようなIT技術を上手に活用できれば、職員の負担をはるかに軽減でき、利用者に対する直接的なケアに時間を割くことが可能になります。つまり、間接的な業務負担を軽減し、これによって生み出した時間や人的余裕を研修やOJTなどの人材育成の時間に振り分けることで、「質の向上」に寄与することができるわけです。

人材の育成

優秀な人材を確保すれば、利用者に喜ばれることが期待できるばかりか、ひいては施設の評判が上がり、集客がしやすくなり、それが利益の確保につながります。そのためには教育体制を見直し、研修やOJTを実施していくことで、技術の向上や仕事に対するモチベーションの向上につなげていくべきでしょう。そうすれば職員の意識が変わり、職場への帰属意識が芽生え、定着率の向上も見込めるようになるはずです。

入居者に向き合う姿勢が変わることで、入居者とのコミュニケーションもしやすくなり、互いの理解が深まり、チームケアの質の向上が期待できます。

最近は、サービスの質が平均的に上がっています。競合施設に入居者を奪われないためにも単純に人材を確保するだけでなく、優秀な人材の育成にも力を入れていくことが非常に重要です。

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介護施設運営の現状

介護施設の需要が高まっているにもかかわらず、安定的に運営していくことは非常に難しいといわれています。ここでは、介護施設運営の現状について紹介します。

コロナ禍のいま介護施設の倒産件数が増えている

2020年の老人福祉・介護事業の倒産件数は118件、休廃業・解散は455件、どちらも過去最多を更新しました。

参考:2020年「老人福祉・介護事業」の休廃業・解散調査(東京商工リサーチ)

サービス別に見ると、訪問介護事業が56件(47.4%)と約半数を占め、次いで通所・短期入所介護事業が32.2%となっており、新型コロナの感染拡大と経営者の事業継続意欲の低下、高齢化などが影響したと見られています。

参考:2020年「老人福祉・介護事業」の倒産状況(東京商工リサーチ)

深刻な人手不足と競争激化

人材不足は、業界全体で深刻な問題となっています。十分な人材を確保できないとサービスの質の低下や労働環境の悪化を招き、さらなる離職率の上昇につながります。

人手を確保するためには給与を高く設定する必要がありますが、人件費の上昇は経営状態の悪化を招いてしまいます。

また、競合他社との競争激化も経営を難しくしている要因といえるでしょう。同じ地域で利用者や介護人材を奪い合っている状況にあります。

新型コロナ関連倒産

新型コロナウイルス感染症の介護サービス事業所の経営への影響に関する調査研究事業(速報)』によると、2020年10月時点で「新型コロナの感染拡大で経営が悪くなった」と回答しているのは全体で32.7%となっています。

前述した東京商工リサーチによれば、事業継続を断念した要因として経営不振や人手不足、コロナ禍での事業意欲消失なども休廃業、解散の例に挙げられていました。

介護施設の経営に役立つ介護福祉経営士とは

一般社団法人日本介護福祉経営人材教育協会が主催する検定資格に介護福祉経営士があります。これは介護サービスの基礎知識や経営ノウハウに加えて、人材育成や労務関係について体系的に学べる資格となっています。

今後、事業拡大を考えている方や介護ビジネスに参入していきたいと考えている異業種の方、介護施設を経営したいと考えている介護現場の方におすすめの資格です。

介護福祉経営士資格には1級と2級があります。認定されるためには試験合格に加え登録審査を受けなければなりません。2級であれば受験資格は不要です。1級を受けるためには介護福祉経営士2級が必要で、より専門的な知識と実践力が求められます。

ポイントをおさえて安定的な介護施設経営を目指そう

成長産業と称される介護業界は、人材不足や競合他社との競争激化、新型コロナの感染拡大の影響で倒産が相次ぐ厳しい状況にあります。

介護施設経営で必ず成功する方法はありません。ただし、今回触れたポイントをしっかりとおさえて柔軟かつ戦略的に運営できれば、安定的な介護施設経営を目指すことは不可能ではありません。ぜひこの記事をご参考にされてください。

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