介護職の「モチベーション」に関するお悩みQ&A

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介護職の「モチベーション」に関するお悩みQ&A

介護というお仕事は、スタッフ一人一人のモチベーションの浮き沈みが、ケアの質や連携などに多大な影響を及ぼします。

令和3年介護報酬改定の概要の中の「介護人材の確保・介護現場の革新」では、『喫緊・重要な課題として、介護人材の確保・介護現場の革新に対応すること』を目的とした改定が行われました。

テクノロジーの活用により介護サービスの質の向上及び業務効率化を推進していく観点、感染防止や多職種連携促進の観点、人材確保や職員定着の観点でも、スタッフの協力が不可欠になります。

今回は介護現場の職員の「モチベーションに関する対応策」にお答えさせて頂きます。モチベーションを上げ、前向きな組織に改善するためのご参考にして頂ければ幸いです。

質問 仕事に対してとても熱心で前向きだった職員が、最近沈みがちでやる気も無くしているがその対応をどうすれば良いか?

立ち話でなく、面談の場で「最近何かあった?」と「最近の様子が気になっている」と伝えましょう。

もし、無気力になっている原因がプライベートな事、例えば家族のことなど話せない内容であれば、無理に立ち入ることが、逆に心を閉ざされてしまいます。まずは「何かあったらいつでも声かけてね」と心配している事を伝えておきましょう。

もし、業務上の何かが原因になっているのであれば、その職員と仲の良い職員にも話を聞きながら、解決するために相談にのることや助言やサポートを行うことも伝えましょう。やる気があり、理想に向けて頑張っている人ほど、些細なきっかけやコロナ禍の中で様々な出来事が原因となり、急激な落ち込みや無力感という燃え尽き症候群に発展する可能性が高いです。

このような際のメンタルケアは非常に難しく、むやみに「頑張れ」などの励ましも沈んでいる本人の心には届きません。

声をかけながら、様子を見て、対応をすることも大事ですが、休暇を提案し、気持ちの切り替えも必要な手段だということも覚えておいて下さい。

質問  年齢の高い職員の「介護職」としての自覚や意識、モチベーションを上げるにはどうすれば良いか?

私たちの介護の仕事の基本は、介護保険という「公的サービス」の依頼をケアマネジャーから受けて始まります。年齢問わず、介護職員が「自分たちは公的な仕事に就いている」という自覚を持つためにも、ケアマネジャーからの居宅サービス計画書をカンファレンス等で共有する事が大切です。

例えば訪問介護事業の場合には、「サービス提供責任者の作成した介護計画書を理解しているか?」をヘルパーに質問すると、「サービス提供責任者から言われたサービスを行っている。」と介護サービスを提供する上でコンプライアンスで問題になる返答がある場合もあります。

ヘルパーが、計画や手順書に基づくサービス提供を行う事で、ご利用者の解決すべきニーズを解決し、目標達成も出来ます。ヘルパーは「計画が効果的に的確に実施されているか」、「新たなニーズはないか」をサービス提供責任者に伝える大切な情報のメッセンジャーとしての役割も担っています。

人員不足の中で、サービス担当者会議に、担当ヘルパーが参加する事はまだまだ少ないようですが、直接サービスを行うヘルパーが参加する事で、利用者のニーズや計画の目的、ケアマネジャーの方針などが理解でき、介護保険サービスのチームの一員としての自覚も芽生えるかもしれません。 介護福祉士取得や今後のキャリアアップのためにも、そのような関りから、モチベーションアップにつなげることは重要なことです。

質問  「自分はこの職場にはずっと居るつもりはない」「いつ辞めてもいい」「もうすぐ辞めるから」と辞める事を口に出す職員がいて、雰囲気を悪くし、その対処法は?

同じ職場で、やる気や根気、仕事に対する責任感の無い職員の発言を聞いて、嫌な気をしない人はいないと思います。その様な職員には、関りを面倒に思わず「辞めたらどのような仕事を目指していますか?」と聞いてみると良いでしょう。

以前にも転職を繰り返していた職員なら、「以前の○○事業所の時はどう言われていましたか?」「ここの事業所でやりたいことはないのですか?」など。質問を繰り返し、本音を確認してみましょう。

「認められない」と勝手に思い込む、「他の職員とコミュニケーションが上手くいかない」ことに歩み寄る努力するのでなく、周りに責任転換している例もあります。

見方を変えれば正直なのかもしれませんが、「辞める」ことを口に出しながら、実際は本気で辞める意思はない職員も今まで沢山見てきました。

そして自分で「辞める」と口に出しながら、止めないとそのことを言いまわる職員もいたり難しい業界であるのも確かです。「辞める」ことを周りに言い、上長への間接効果を狙い、自分の必要性を再確認したい職員もいますが、そのことで周りやお客様にもご迷惑をおかけしていることを伝えることも適切な対処法だと思います。

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