突然ですが、日頃から笑顔を身につけるためのポイントをご存じですか?
1.心から相手に対して敬愛する心を常にもちましょう。 2.目と口を動かして好感のもてる笑顔づくりに心がけ、やわらかい表情をつくる努力をしましょう。 3.日ごろから何事も前向きに考えて生活している人は笑顔も自然にこぼれます。 4.健康でなければ笑顔も出ません。日ごろから健康管理に気を配りましょう。 |
このように、継続したトレーニングと心がけで自然な笑顔が生まれます。
今回は、笑顔にも関連する「介護サービスにおける接遇(態度と動作・言葉遣い)」をご紹介させて頂きます。
新しく入職された方もおられると思いますので、皆さまの施設や事業所のサービスの質の改善・向上にご活用頂けたら幸いです。
目次
態度・動作
美しい動作は見ている人に気持ちのよい印象を与えるだけでなく、そのサービスの技術に対しての高い信頼感へとつながります。
美しい動作ができるようになるポイントは2つあります。第1のポイントは接遇の基本動作を完全にマスターしていること、第2のポイントは「心」です。
相手を心から歓迎する気持ちを常に持ち、不愉快な思いをさせないように快適に過ごしてもらうための努力をしましょう。この基本をマスターするには、OJTがいちばん効果的です。
美しい動作の基本ポイント
・手で示すときや物をお渡しするときは手のひらを上に向けて指先をそろえる
・1つ1つの動作にメリハリをつける
・動作の前半は早めに後半はゆっくりと行う
・無理な姿勢は見せないようにする
・立つときは両足を揃えて立つ
・視線はやや下方に落とす
正しい立ち姿のポイント
・目線はまっすぐに顎を引く
・上に引っ張られる感じで膝の後ろを伸ばし、つま先が45度になるようにかかとをつける
・足の内側と親指のつけ根に力を入れる
・首はまっすぐ、肩の力を抜く
・ヒップは引き締め、上にあげる
・お腹に力をいれて下腹部を引っ込める
・手は自然に下げる
お辞儀のポイント
・立ったときの姿勢は、背筋を伸ばし両足を揃え、手は自然に脇につけ相手をまっすぐ見る
・相手と正面に向かい、静止の状態で上体を前に傾け、手は体の側面に自然に伸ばしたまま頭を下げる
・静かに上体を上げ、にこやかな表情で相手の目へ視線を戻す
※動作は状態を下げるときよりもゆっくりと行う
お辞儀の種類
・会釈(15度)
物の受け渡しや案内するとき、取り次ぐとき、すれ違うとき、入退室の時などの軽いあいさつの場合
・敬礼(30度)
朝礼時のお辞儀、来客、訪問時のあいさつの場合
・最敬礼(45度)
お礼の意味をこめるお辞儀、心からお礼をいうとき、心をこめて見送るとき
言葉遣い
疲れてイライラしている時などは、つい言葉もぞんざいになりがちです。また、相手を軽視したり、苦手な相手だと思っていると言葉の選び方もおざなりになり、その時の気持ちがストレートに言葉に表れてしまいます。
逆に、意識して言葉を使うことによって、自分の気持ちを変えることもできます。
例えば、「はあ。何ですか?」ではなく、「恐れ入りますが、もう一度おっしゃっていただけませんか。」という丁寧な言葉に置き換えれば、気持ちもそれなりに変わってきます。ただし、変えたその言葉に対してできるだけ素直な気持ちになることが大切です。
また、人は誰でも忙しいときには余裕がなくなり、それが言葉遣いに現れてしまいます。常に不安や苦痛を感じているお客様は職員のちょっとした言葉遣いに深く傷つくこともあります。
逆にやさしく丁寧な言葉で話掛けられれば、不安や苦痛も和らぐでしょう。どんなに忙しい時でも、わかりやすい言葉で丁寧に話すように心がけましょう。
敬語の使い方をマスターしましょう
敬語は、どんな方とでも会話ができるように私達日本人が長い年月をかけて築き上げてきた文化です。
お客様やその家族とよりよいコミュニケーションを図るために欠かせない大切なものですので、正しい使い方をマスターしましょう。
「お」・「ご」の使い方
・相手の物事に対する「お」・「ご」・「(あなたの)~」になるとき
「お手紙拝見いたしました。」「ご意見承りたく存じます。」等
・本当の敬意を表すとき
「理事長ご夫妻のご出席」
・自分の方のことでも、相手に対して行なうことなので「お」・「ご」をつけるのが慣習になっている言葉
「お手紙を差し上げます」「ご報告いたします」「お礼申し上げます」等
・慣用語、その「お」「ご」を取っては言葉にならないもの
「おはようございます」「ご苦労様です」(ただし、これは同等か目下をねぎらう場合の言葉)「食事のおかず」「ごはん」「おしぼり」等
積極言葉を上手に使いましょう
積極言葉とは、互いに積極的に使いたい言葉、接遇場面においてたくさん使っていただきたい言葉です。
またこの言葉は自分自身の心を高揚させ、行動に積極性をもたらす効果があります。なるべく自然にいつでも出てくるように、口に出して練習してたくさんおぼえておきましょう。
「おはようございます」 「ありがとうございます」
「こんにちは」 「よろしいでしょうか」
「いかがなさいましたか」 「よろしければ」
「失礼いたします」 「おさしつかえなければ」
「失礼いたしました」 「ご不明な点はございませんか」
「恐れ入ります」 「申し訳ございません」
「お待たせいたしました」 「ただいま、おうかがいいたします」
「かしこまりました」 「どちらかおさがしでしょうか」
「承知いたしました」 「ご案内いたしましょうか」
「少々お待ちくださいませ」 「お手伝いいたしましょうか」
「ご気分はいかがですか」 「はい」
「お大事になさいませ」 「○○さま」
「また、何かございましたら 「お気をつけてお越しくださいませ」
「お聞かせ下さいませ」 「お足元にお気をつけてくださいませ」
「お手数ですが」 「ご協力ありがとうございました」
尊敬語と謙譲語
尊敬語 | 謙譲語 | |
---|---|---|
思う | 思われる、お思いになる | 存する |
する | される、なさる | いたす |
いう | いわれる、おっしゃる | 申す、申し上げる |
見る | 見られる、ご覧になる | 拝見する |
聞く | 聞かれる、お聞きになる | うかがう、承る |
行く | 行かれる | うかがう |
来る | いらっしゃる、来られる | 参る |
いる | おられる | おる |
会う | 会われる、お会いになる | お会いする、お目にかかる |
食べる | 召し上がる | いただく |
尋ねる | 尋ねられる、お尋ねになる | 伺う、お尋ねする |
まとめ
サービスを提供する職員にとって一番大切なことは、相手の立場に立って物をみること、考えること、そして心をこめて行動することです。
たとえ笑顔や丁寧な言葉遣い、美しい立ち居振る舞いができたとしても心がこもっていなければ、お客様にそれを見抜かれてしまうでしょう。
反対に、相手に対する思いやりの心があれば、自ずと言葉や表情にやさしさがにじみ出ます。そしてさまざまな「気付き」が生まれ、その場その場にお客様に対するちょっとした心遣いの積み重ねが「大きな信頼感」につながり、安心してサービスを受けていただくことにつながります。
日頃から施設、事業所全体で「「小さな心遣い」の積み重ねが「大きな信頼」を築く」ということを踏まえて、心がけるようにしましょう。