身体拘束ゼロを目指す! 勉強会の内容と進め方

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法律に基づき、身体拘束ゼロに向けた取り組みを強化したい事業者は少なくないのではないでしょうか。身体拘束をしないケアの実現に向けて、スタッフ間で問題意識を共有していくプロセスは非常に重要であり、そのための勉強会開催は必須といっても過言ではありません。

ここでは、身体拘束ゼロを目指す勉強会(研修会)を企画するための内容や進め方のポイントをまとめましたので、ぜひ参考にしてください。


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身体拘束は禁止行為であり、防止策の未実施は減算対象

今なお無意識にひもや抑制帯、ミトンなどでベッドや車いすに縛るといった身体拘束を行っている施設は少なくありません。身体拘束は禁止行為であり、介護報酬の規定においては介護保険施設で拘束を行った場合に減算を適用する「身体拘束廃止未実施減算」が設けられています。

2018年度の報酬改定では、減算となる対象サービスが拡充され、単位数の減算幅も増大しました。さらに拘束の有無にかかわらず、「記録を行っていない」、「対策を検討する委員会を開催していない」、「指針が整備されていない」、「研修を実施していない」など、減算となる条件も厳しくなりました。

身体拘束をする際には減算の条件をしっかりと確認し、該当することがないように注意しなければなりません。

 改定前改定後(2018年度)
減算単位5単位/日基本報酬の10%/日
対象サービス介護老人保健施設、介護老人福祉施設、介護療養型医療施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護介護老人保健施設、介護老人福祉施設、介護療養型医療施設、地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護、特定施設入居者生活介護、介護医療院、認知症対応型共同生活介護、地域密着型特定施設入居者生活介護

身体拘束による減算をされない要件とは 

介護現場の実情として、拘束を行わざるを得ない状況は少なからずあります。拘束を行う場合は、以下の要件を満たすことによって減算を避けることができます。

  • 身体的拘束等を行う場合には、態様及び時間、入所者の心身の状況並びに緊急やむを得ない理由を記録すること
  • 対策を検討する委員会を3ヶ月に1回以上開催するとともに、その結果について介護職員やそのほかの従業者に周知徹底を図ること
  • 指針を整備すること
  • 全スタッフに対して、身体的拘束などの適正化を目的とした研修を定期的に実施すること

勉強会で求められる!身体拘束ゼロ等の適正化のための研修とは?

研修は以下に挙げる3点をポイントとして、介護に携わるすべてのスタッフに対して行わなければいけません。

  • 拘束を行わないケアを施設全体で目指すため、事前に研修プログラムを作成する
  • 年2回以上定期的に実施する
  • 新規採用時も新人職員研修を実施する

内容は、基礎的かつ適切な知識の普及と啓発につながるものであって、「身体拘束廃止のための5つの指針」を基に、身体拘束廃止の内容の説明と身体拘束を必要としない状態の実現、人権を尊重したケアの組織的徹底を図るものであることが求められます。研修内容や研修に参加したスタッフの受講報告書は記録として残し、行政からの指導監査が行われた際にも提示できるようにしておきましょう。

研修会テーマと内容はポイントを押さえて行うこと

拘束とは生活の自由を制限することであり、尊厳ある生活を阻むものです。拘束を軽はずみな判断で正当化することなく、スタッフ一人ひとりが身体的かつ精神的な弊害を理解し、拘束廃止に向けた意識を持ちながらケアの実施に努めなければなりません。

以下に研修会テーマと内容のポイントを紹介します。

高齢者虐待防止とは

高齢者虐待防止法に示される定義によれば、高齢者虐待には「身体的・心理的虐待」、「介護・世話の放棄、放任」、「性的虐待、経済的虐待」があり、「高齢者が他者からの不適切な扱いによって権利利益を侵害される状態、あるいは生命や健康、生活が損なわれるような状態に置かれること」と捉えることができます。

高齢者の身体拘束は身体的虐待に該当します。自覚がないまま些細なことが積み重なっている場合も少なくありません。身体拘束ゼロの研修を行う際には、高齢者虐待についての理解を深めることも重要であり、虐待防止の研修を踏まえて行うようにしましょう。

身体拘束ゼロとは

身体拘束をしないためには、「拘束を絶対にしないケアを行う」という基本姿勢が現場に深く浸透していることが重要です。

とはいえ、実態は「緊急やむを得ない場合」として身体拘束を行っているケースも少なくありません。しかし「やむを得ない」と安易に拘束を行うのではなく、「なぜ拘束を行ってはいけないのか」、「拘束を行うことでどのような弊害をを生じさせるのか」、人権擁護の観点からも拘束を許容する考えそのものを問い、振り返る良い機会として研修会を企画すると良いでしょう。

職員の事前アンケート調査から研修を行えば効果的

身体拘束をゼロに近づくためには、拘束を行ってしまう背景や要因をいろいろな角度からの分析が求められます。また、介護に携わるスタッフが拘束についてどのくらいの認識を持っているのかを知ることが非常に重要です。

施設長や看護師、ケアマネジャーなど各々の立場に対して事前に身体拘束に関する意識を把握するためのアンケート調査などを実施することで、研修テーマや内容をより現実的に且つ効果的に設定することができます。

身体拘束ゼロ実現のための勉強会に活用できるテーマとは

身体拘束ゼロを現実的なものにするための勉強会に活用できるテーマを紹介します。

身体拘束の弊害、身体拘束をしないための工夫

身体拘束廃止の阻害要因(理由)には、「拘束は利用者の安全を守るため」や「スタッフの人員が不足しているから」ということがしばしば挙げられます。

拘束しないための第一歩は、拘束をすることで2次的3次的に拘束を生み出してしまう「悪循環」を理解させるなど、その弊害を正確に認識させることです。そして、ケア方法の改善や環境の整備、また具体的にどのような対応をすればよいのかといったこともポイントにテーマ内容として活用できます。

また、厚生労働省「身体拘束ゼロへの手引き」にある「身体拘束廃止に向けた5つの方針」は非常に参考になります。

身体拘束かどうかの判定方法・判断基準

身体拘束と呼ばれる行為は数多くあります。例えば、車いすやベッドにからだをひもで縛るなどは、身体拘束として理解しやすいと思います。一方、立ち上がり能力のある人に対して、低い座面で立ち上がりを妨げるような椅子を使用している場合、これも身体拘束とみなされることを理解している人はどれくらいいるでしょうか。

「身体拘束とみなされる具体的な行為」、「判定方法や判定基準」、「緊急やむを得ない場合とは」といった内容は、勉強会のトピックとしても有益なテーマです。

身体拘束を実施する場合には一連の手続きがある

身体拘束の手続きの際には、慎重な取り扱いが求められます。身体抑制に関する一連の手続きの流れや留意点を、スタッフ全員に周知徹底しておくことが大切です。

例えば、拘束を実施する場合は必ずスタッフ個人で判断するのではなく、主治医の意見からも施設全体としての判断が行われるようにしなければなりません。また利用者本人やご家族に対し、拘束の目的や理由、方法、開始及び解除予定、拘束すべき心身の状況などをできるだけ詳しく説明することといった約束事が多くあります。

一連の手続きを周知徹底するため、研修のなかでも押さえておきたい重要なテーマです。

⾝体拘束中の確認事項と頻度、拘束の終了判断等

身体拘束を実施しているときの日々の確認事項や評価方法、使用する記録用紙についても周知しておくことが大切です。また拘束の終了判断は、所定の要件に該当しなくなった時点で速やかに解除できるよう申し送りなどで徹底しておく必要があり、研修テーマとしても重要です。

身体拘束を実施するうえでの書式や記録方法について

身体拘束に関する記録は義務付けられています。記録は拘束に関する情報をスタッフ間で共有できるため、介護施設全体で拘束に取り組むために重要なツールとなります。拘束を開始した時点から拘束解除に向けたケアが始まっており、「身体拘束ゼロは、適切記録を基に情報共有から生まれる!」といっても過言ではありません。

スタッフ全員が正確かつ丁寧に記録できるよう、書式や記録方法について周知徹底するための研修が必要です。

⾝体拘束を行わない⽀援に役⽴つ機器・設備等について

拘束をするスタッフ側の背景には、「人材の不足」や「介護への負担」が挙げられます。一方の利用者の立場からは、スタッフへの気遣いや遠慮、あるいは「干渉されたくない」、「自由に行動したい」という潜在的なニーズがあります。

介護現場では、人の手だけでなく、ICTやIOTを活用し、利用者の自立支援をどのように実現するかが重要です。最近では「介護者の負担軽減」と「高齢者の自立支援」の両方に役立つ支援機器や設備の開発が進んでおり、これらを活用するのも身体拘束ゼロを目指す手法の一つです。導入に際してはスタッフへの説明会や研修会を開催し、機器導入の目的や操作方法、運用方法、留意点を周知する必要があります。

テーマに沿った勉強会の進め方

介護情報公表制度においても身体拘束ゼロの研修が定められています。「人が集まらない」、「時間がない」といったことを理由に研修会を実施できないということがないよう、参加するスタッフにとって身近でかつ学びやすい事例や内容で実施することが大切です。

勉強会参加者の選定

身体拘束廃止に向けて施設スタッフが一致協力して取り組むために、常勤か非常勤かを問わず、全てのスタッフの参加を促さなければなりません。ただし、一度の勉強会で「全スタッフ対象」などと対象範囲を広げると、勉強会のテーマが漠然としてしまうこともあります。

スタッフが参加したくなる勉強会にするため、個別で具体的なニーズに合わせて行うことも参加意欲を高めるために大切な方法です。全スタッフの参加を促しつつ、ときには参加者の絞り込みを行うことも有効です。

勉強会の形式

勉強会には、講義やグループワーク、少人数(個別)指導などさまざまな形式があります。

基礎的な知識を教えるには、座学の講義形式が適しています。一方、個別で具体的な知識や技能の伝達には、職種を分けるなど少人数(個別)の指導形式が適しています。コロナ禍においては、感染予防に配慮した少人数の研修が望ましいです。

研修会のテーマに合わせて最も効果的な形式を選択し、さらにロールプレイングを加えると利用者やスタッフそれぞれの立場になって考えることができるので効果的です。

現況会開催時期、日時の周知

多くの参加者を得るためには、業務内の時間や終業後の時間を活用したり、通所事業所によっては営業休業日を活用したりする場合もあります。

研修会参加は、処遇改善加算の「介護職員の研修機会の確保」としても定められています。研修に参加することは、キャリアパスや法令遵守、事故対応や苦情防止においてもメリットがあることをしっかりと伝えることが重要です。

身体拘束をしないケアの実現をスタッフとともに取り組みましょう!

身体拘束をゼロにするのは容易なことではありません。とはいえ、利用者の心身的負担を考えると、身体拘束ゼロは介護保険法に明記されている「尊厳の保持」の観点からも当然の考え方です。スタッフとともに身体拘束の理解を深め、どうすれば廃止できるかを十分に話し合い、介護施設全体で問題意識を共有していく努力が求められます。

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