
この記事では介護事業所が利用できる補助金・助成金を一覧にまとめ、補助金額まで詳しくご紹介しています。
高齢者が増える一方で介護職員は採用難です。リソースを確保するためには、増やすだけではなく今いる人材に定着してもらうことも重要です。他事業所よりも働きやすい職場であると思ってもらうために、職場環境の改善を検討しましょう。
わかりやすいように厚生労働省などの制度ページへのリンクを記載していますので、ブックマークをしてご活用ください。
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目次
介護事業所で使える助成金・補助金制度一覧

次項では、各補助金制度の記事へのリンクをご案内しています。あくまで概要をまとめた記事ですので、詳しくは制度の公式ページにて必ずご確認ください。
【この記事でわかること】
- 補助金の目的、概要
- 対象事業主
- 助成対象となるもの・事柄(購入費用などが対象の場合)
- 補助金額
- 申請期間(期日)
- 助成を受けるためにクリアすべき条件(申請以外に要件がある場合)
介護職人材採用(雇用)と育成に利用できる助成金
制度名称 | 制度の概要 |
---|---|
業務改善助成金 | 中小企業・小規模事業主の生産性向上を支援し、事業場内でもっとも低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図ることを目的とした助成金 |
働き方改革推進支援助成金 | 生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を助成する |
雇用調整助成金 | 経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るため休業手当に要した費用を助成する |
キャリアアップ助成金 | 派遣労働者含む有期雇用労働者や、短時間労働者の企業内でのキャリアアップ促進を目的とした助成金 |
両立支援等助成金 | 職業生活と家庭生活が両立できる“職場環境づくり”を推進する目的とした助成金 |
人材開発支援助成金 | 労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を促進することを目的とした助成金 |
トライアル雇用助成金 | 職業経験の不足などから就職が困難な求職者などを3か月間程度試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとしてもらうことを目的とした助成金 |
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース) | 新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成する |
労働移動支援助成金 | 事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされる労働者などに対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇の付与や再就職のための訓練を教育訓練施設などに委託して実施した事業主に対して助成 |
中途採用等支援助成金 | 中途採用、UIJターンの採用拡大を図る事業主へ助成 |
人材確保等支援助成金 | 雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的とした助成金 |
特定求職者雇用開発助成金 | 高年齢者や障がい者などの就職困難者をハローワークなどの紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成 |
65歳超雇用推進助成金 | 高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現する支援をする助成金 |
介護機器の導入やデジタル化に利用できる助成金・補助金
制度名称 | 制度の概要 |
---|---|
介護ロボット導入活用支援事業補助金 | 介護ロボットの使用による介護従事者の負担の軽減を図るとともに、介護ロボットの普及による働きやすい職場環境の整備を図り、介護従事者の確保に資することを目的とした助成金 |
ICT導入支援事業補助金 | 介護事業所などにおける介護ソフト、タブレット端末などの導入支援を行うことにより、介護記録・情報共有・報酬請求などの業務の効率化を図り、介護従事者の負担軽減による雇用環境の改善、離職防止および定着促進に資することを目的とした助成金 |
IT導入補助金 | デジタル化により、業務効率・売上アップなどをサポートする目的の助成金 |
事業の継続に使える助成金・補助金
制度名称 | 制度の概要 |
---|---|
小規模事業者持続化補助金<一般型> | 小規模事業主および一定要件を満たす特定非営利活動法人が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更に対応するため、小規模事業主などが取り組む販路開拓などの取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業主などの生産性向上と持続的発展を図ることを目的とした助成金 |
創業助成事業 | 創業予定者または創業から間もない中小企業者に対して、創業期に必要な経費の一部を助成することで東京都における創業のモデルケースを創出し、新たな雇用を生み出すなど東京の産業活力の向上が目的となっている助成金 |
事業再構築補助金 | 新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、需要や売上の回復が期待しにくいなかで、経済社会の変化に対応するために新しい分野の展開、業態転換、業種転換などによって規模の拡大、事業再構築を目指す中小企業などの挑戦を支援する目的の助成金 |
事業継承・新規開業支援補助金 | 主に小規模事業主の事業継続や、新規開業によって地域の活性化や雇用機会の拡大が目的の助成金 |
各助成金に共通すること
各助成金(補助金)の多くは、特定の概念を下記のとおり定義しています。
場合によっては下記に限らない場合もありますので、詳しくは各制度のページでご確認ください。
「中小企業」とは
以下のAまたはBの要件を満たす企業となります。
業種 | A資本または出資額 | B常時雇用する労働者 |
---|---|---|
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
その他の業種 | 3億円以下 | 300人以下 |
「事業場」とは
労働基準法における考え方と同一です。同一の場所で、相関しかつ組織的な業務を行える場所のことを指します。
生産性の向上とは
助成金を申請する事業所において、生産性要件算定シートを用いて計算された生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合は助成額が割り増しされるなどの措置があります。
各助成金の項目で「生産性の向上が認められる場合」と記載がある場合、こちらの制度が適用になる可能性があります。
詳しくは厚生労働省のサイトでご確認ください。
介護職人材採用(雇用)と育成に利用できる助成金
介護職員処遇改善支援補助金
補助金の申請の提出は締め切られましたが、令和4年10月以降について臨時の報酬改定を行い、介護職員(※)の収入を3%程度(月額9,000円相当)引き上げるための措置が講じられます。
業務改善助成金
中小企業・小規模事業主の生産性向上を支援し、事業場内でもっとも低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図ることを目的とした助成金です。生産性向上のために設備を導入したり、賃金を上げたりした場合に受給対象となります。
働き方改革推進支援助成金
時間外労働や休日労働の上限時間数を設けたり、ボランティア休暇や教育訓練休暇などの休暇制度を新たに導入したりした場合は「働き方改革推進支援助成金」の受給条件に当てはまる可能性があります。詳しくは以下よりご確認ください。
雇用調整助成金
経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が雇用の維持を図るため休業手当に要した費用を助成する制度です。売り上げの減少がありながらも、従業員へ休業手当を出した事業主などが受給対象となります。
キャリアアップ助成金
派遣労働者含む有期雇用労働者や、短時間労働者の企業内でのキャリアアップ促進を目的とした助成金です。有期雇用労働者を正社員へ登用したり、賃金改定などで処遇を改善したりした場合受給対象となります。
両立支援等助成金
育児休暇や介護との両立ができるよう職場環境を整えた事業主へ助成されます。
人材開発支援助成金
職員に対して必要な訓練を実施する場合に利用できる助成金制度です。適用されると、研修にかかった費用などの一部が助成されます。
トライアル雇用助成金
採用時に「長期にわたって働ける人材か」という点を見抜くのは容易なことではありません。「思った仕事とは違う」「自分には合わない」などの理由で、短期間で離職する人も多いでしょう。
「トライアル雇用助成金」は、離職期間が長い人や母子家庭の母、父子家庭の父、障害者などの就職困難者をハローワークなどから紹介を受けて雇用する場合に利用出来る助成金制度です。介護職として働いたことがない人を試験的に雇う場合にも活用できるでしょう。
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)
新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が、在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成する制度です。
労働移動支援助成金
事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされる労働者などに対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇の付与や再就職のための訓練を教育訓練施設などに委託して実施した事業主に対して助成されます。
中途採用等支援助成金
中途採用拡大やUIJターンの採用拡大を図る事業主へ助成されます。
人材確保等支援助成金
魅力ある雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的とした助成金です。制度や設備の導入により定着率の改善などを行うことで支給されます。
特定求職者雇用開発助成金
就職困難者をハローワークなどから紹介を受け、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主を支援する助成金です。
65歳超雇用推進助成金
「65歳超雇用推進助成金」は、定年を65歳以上に引き上げるときや定年制度そのものを廃止するとき、あるいは66歳以上の職員を自社・他社で継続雇用するときに利用できる制度です。
介護機器の導入やデジタル化に利用できる助成金・補助金

介護ロボット導入支援事業補助金制度
介護ロボットの使用による介護従事者の負担の軽減を図るとともに、介護ロボットの普及による働きやすい職場環境の整備を図り、介護従事者の確保に資することを目的として、各都道府県で制定されている補助金制度です。都道府県によって、補助金の上限や対象となる機器に違いがあります。
介護保険法に基づく指定または許可を受けた介護サービス事業者が対象です。
助成対象となるもの
(1)次の1~3のすべての要件を満たす介護ロボット機器
1.目的要件
次のいずれかの場面において使用され、介護従事者の負担軽減効果のある介護ロボット
- 移乗介護
- 移動支援
- 排泄支援
- 見守り・コミュニケーション
- 入浴支援
- 介護業務支援
2.技術的要件
次のいずれかの要件を満たす介護ロボットであること。
- ロボット技術(※1)を活用して従来の機器ではできなかった優位性を発揮する介護ロボット
- 経済産業省が行う「ロボット介護機器開発・導入促進事業」(平成25~29年度)、「ロボット介護機器開発・標準化事業」(平成30~令和2年度)、「ロボット介護機器開発等推進事業(開発補助)」(令和3年度~)において採択された介護ロボット(※2)
※1:センサーなどにより状況を認識し、これによって得られた情報を解析し、その結果を判断して動作を行う技術
※2:採択情報はこちら、「重点分野6分野・13項目の対象機器・システムの開発」に限る
3.市場的要件
販売価格が公表されていて一般に購入できる状態にあること
(2)見守り機器の導入に伴う通信環境整備費
次のいずれかに該当するものが対象です。
- Wi-Fi環境を整備するために必要な経費(Wi-Fi環境整備のための有線LANの設備工事も含む)、モデム・ルーター、アクセスポイント、システム管理サーバー、ネットワーク構築など)
- インカム(Wi-Fi非対応型のインカムを含む)
- 介護ロボット機器を用いて得られる情報を介護記録にシステム連動させるために必要な経費(システム連動可能な介護記録ソフトウェア(既存のソフトウェアの改修経費も含む)、バイタル測定が可能なウェアラブル端末、介護ロボットを用いて得られる情報とソフトウェア間を接続するためのゲートウェイ装置など)
補助金額
都道府県により変わりますので、ご確認ください。
1機器につき、当該所要経費の4分の3
※下記の上限額と比較して、低い方の額が支給されます。
<介護ロボット>
1機器あたり30万円上限
※移乗介護および入浴援を目的とするものは1機器あたり100万円上限
<見守り機器導入に伴う通信環境整備>
1事業所あたり750万円上限
申請期間(期日)
各都道府県により、申請受付開始時期と終了時期が異なる
助成を受けるためにクリアすべき条件
前年に事前申請が必要な場合があるなど、各都道府県により異なる
都道府県ごとの補助金制度については下記を参考にしてください。
ICT導入支援事業補助金
介護事業所などにおける介護ソフト、タブレット端末などの導入支援を行うことにより、介護記録・情報共有・報酬請求などの業務の効率化を図り、介護従事者の負担軽減による雇用環境の改善、離職防止および定着促進に資することを目的
【補助対象】
- 介護ソフト(記録・情報共有・請求業務で転記不要であり、ケアプラン連携を標準実装しているもの)
- 情報端末(タブレット端末・スマートフォン・インカムなど)
- 通信環境機器(WiFiルーターなど)
- ICT関係の運用経費
補助金額
補助率1/2以上(一定要件を満たす場合3/4以上)
※下記の上限額と比較して、低い方の額が支給されます。
事業所規模(職員人数)に応じて100万円~260万円
都道府県ごとの補助金制度については下記を参考にしてください。
IT導入補助金
業務改善やシフト・勤怠管理、給与管理など、運営や業務において必要なITツールを導入する際の費用を助成する制度です。
人材確保等支援助成金
魅力ある雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的とした助成金です。介護福祉機器助成コースでは、機器の導入を通じて離職率の低下改善に取り組む事業主が対象です。
事業の継続に使える助成金・補助金
小規模事業者持続化補助金
小規模事業主などが今後の制度変更(インボイス導入など)に対応するために行う取り組みの経費の一部を補助する制度です。販路開拓にかかった経費などが助成されます。
介護事業の開業時に使える助成金・補助金
創業助成事業
東京都での創業を具体的に計画している方や中小企業を対象に、創業時にかかる経費などを助成する事業です。
事業再構築補助金
新型コロナウイルス感染症の影響を受け、現況に対応するために新事業の展開や業態転換などを試みる企業を支援する目的の補助金です。建物やシステム構築費などの経費が対象です。
事業継承・新規開業支援補助金
全国ではありませんが、小規模事業主の事業継続や、新規開業によって地域の活性化や雇用機会の拡大を目的とした補助金を制定している地域もあります。以下の記事では実際の制度例として北海道上川町の補助金をご紹介しています。
介護事業所も使える事業継承・新規開業支援補助金とは?申請スケジュール、対象者についてご紹介
助成金・補助金制度を使って環境改善を行いましょう
実際のICT導入では、「見守りカメラを導入したことで夜間の定期見守り業務の頻度が少なくなりそれ以外の業務に充てることができるようになった」などの事例があります。介護現場の環境が改善されることは、職員のメリットだけではなく、ケアにより時間をかけることができるようになるといった利用者へのメリットにもなります。利用者への還元が増えれば、満足度に繋がり、施設運営にもよい影響をもたらすのではないでしょうか。
