介護施設を開業するには?手順、費用や資格、助成金制度などを解説

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介護施設を開業するには?手順、費用や資格、助成金制度などを解説

高齢化が進む日本では、介護事業は成長分野のひとつといえます。
そんな介護事業の需要が高まる中、実際に介護施設を開業するには介護事業特有の知識や準備が必要です。また、知識や準備が不足したまま開業することがないよう、一連の手順を正しく理解し、準備することが大切です。

この記事では、開業に際して必要となる基本知識を手順に沿ってわかりやすく解説していきます。さらに資金の調達方法や、活用できる助成金制度も紹介しているので、介護施設の開業を目指す方はぜひチェックしてください。


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介護施設を開業するために必要な手順6ステップ

一般的に介護施設は以下の6ステップで開業することができます。

ステップ①事業内容とコンセプトを決める
ステップ②法人を立ち上げる
ステップ③場所と物件を決め、人員を募集する
ステップ④指定申請を行う
ステップ⑤運営に必要な書類を作成する
ステップ⑥利用者を獲得する

ここでは1つずつ詳しく解説していきます。

ステップ①事業内容とコンセプトを決める

最初のステップでは、開業する介護サービスを選び、事業コンセプトを決めます。
主な介護サービスと事業内容をまとめました。

  事業内容
通所介護
(デイサービス)
利用者が自立して生活するために必要な生活機能の向上と維持のために、機能訓練や食事、レクリエーションを行う施設。家族の精神的負担を減らすサービスでもある。
通所リハビリテーション
(デイケア)
病院等に併設された送迎付きリハビリ施設。利用者は作業療法士などの専門スタッフの指導のもと食事や入浴、機能訓練、口腔機能向上訓練などを日帰りで受けることができる。
介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
常に介護が必要な状態の方が利用する公的な入居型施設。食事や入浴、排せつの介護のほか、機能訓練や健康管理など生活全般の介護を提供する。
介護老人保健施設 介護が必要な高齢者の方が病院での入院治療後に在宅復帰を目指し、医師の管理下でリハビリなどを行なう施設。約3~6ヶ月の入居が一般的。
認知症対応型共同生活介護
(グループホーム)
認知症の高齢者の方が共同で生活する施設。利用者が自立した生活を送ることができるよう、それぞれの能力に合わせた介護や機能訓練を行いながらサポートをする。少人数制の施設であり、介護スタッフが常駐している。
居宅介護支援事業所 常駐するケアマネジャーが、在宅介護を受ける利用者の相談や計画立案、調整を引き受ける。ケアプランを立て、自宅での自立した生活を支援するサービス。

開業する場合は利用者1人当たりの平米数の確保と、人員基準と施設基準をクリアする必要があります。

地域密着型サービスとは、「高齢者が要介護の状態になっても、できる限り住み慣れた地域や自宅で生活していけるように地域ぐるみで高齢者を支援するサービス」です。このサービスは市区町村ごとに公募等されており、市区町村が指定した介護施設がサービスを提供しています。

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ステップ②法人を立ち上げる

介護施設を開業するには、法人化が必須となります。個人事業主は開業できないので注意しましょう。社会福祉法人・NPO法人などの非営利法人のほか、株式会社をはじめとした営利法人でも開業が可能です。
それぞれの違いについて表で簡単にまとめました。

【営利法人】
株式会社 株式発行により資金を集め、事業の運営を行う法人形態。社会的信用度が高く、融資を受けやすいメリットがある。
有限会社 小規模でも設立できる法人形態。しかし現在は廃止されたため新たな設立は不可。株式会社に比べ、決算の公告義務がないなどの特徴がある。
合同会社 2006年の会社法施行で認められた新たな法人形態。株式を発行せず、出資者が経営の意思決定を行える。決算の公告義務なし。
【非営利法人】
NPO法人 20種類の分野で活動が可能。設立には満たすべき社員の数や役員の構成などいくつか要件がある。
社会福祉法人 社会福祉事業を行うために設立される法人。高い公益性を保ち、すべての利益は地域社会の福祉の推進にあてられる。
医療法人 病院や診療所、介護老人保健施設などを開設するための法人。利益を出資者に与えることは禁止されている。

ステップ③場所と物件を決め、人員を募集する

3つ目のステップでは、開業する介護サービスの基準に合った物件を決めます。利用者をスムーズに獲得するためには、立地条件が大切です。あらかじめ開業予定の地域について、周辺の環境や競合となり得る事業所を調べておきましょう。
さらに物件に関しては以下2点を満たす必要があります。

  • 省令や条例で定められている設備基準
  • 市区町村ごとに定められた物件の基準

設備基準の基本的な内容については以下を参考にしてください。そのほか開業予定の管轄の自治体特有の条件がないかを確認しましょう。

設備に関する基準について

(1) 施設訓練等支援における設備基準について

基本的には、現行の最低基準を基に必要な検討を加え、各施設ごとに入所者の処遇に直接必要な設備・備品等について規することとしている。その際、重度の入所者に配慮した設備基準とする方向で検討している。

(2) 居宅生活支援における設備基準について

身体障害者、知的障害者、障害児を対象に実施されている現行の居宅生活支援事業の各運営要綱を基に必要な検討を加え、それぞれのサービス毎に必要な設備について規定することとしている。

引用:事業者・施設指定基準に関すること|厚生労働省

そして最も重要なのが人員です。採用はハローワークや福祉人材センターなど無料の採用媒体が主流ですが、地域の外郭団体の活用を検討することをおすすめします。

外郭団体とは、都道府県と連携しながら行政の補完的な役割を担い、公共・公益サービスを提供している団体のことを指します。社会福祉協議会やシルバー人材センターなどが該当し、外郭団体と上手く提携することで安定的に人材を確保することができるかもしれません。

また、外国人の介護人材支援サービスを行っている企業があり、介護専門のカリキュラムを履修した優秀な外国人労働者を採用することも可能です。

また、人材に関してはサービスごとに満たすべき人員基準があるので、よく理解したうえで必要な人材を確保しましょう。主な職種や資格、仕事内容について以下にまとめました。

  資格 仕事内容
生活相談員 社会福祉士
社会福祉主事
精神保健福祉士
利用者や家族の相談対応や、ほかの職種や機関との調整業務など。入所時の手続きをはじめとした事務処理も担当。
看護職員 看護師
准看護師
利用者の健康チェックや、薬の管理を行う。利用者の容体が悪化した際には応急処置や、医師への引継ぎなども。
介護職員 資格は必須ではないが、国家資格として介護福祉士がある 入浴・食事・排泄などの身体介護、洗濯・買い物などの生活援助を行う。
機能訓練指導員 理学療法士
作業療法士
言語聴覚士
看護職員
柔道整復師またはあん摩マッサージ指圧師
など
利用者が自宅で自立した生活を送れるよう訓練を行い、支援する。
管理者 施設の種類によって異なるが、各施設での一定年数の実務経験と関連する資格が必要なことが多い。 施設の責任者として、事業所全体をマネジメントする。具体的には職員の管理や、施設の運営業務など。
サービス提供責任者 相談支援従事者初任者研修修了
介護福祉士や介護職員などの実務経験3年以上
訪問介護サービスにおける責任者。
利用者ごとに個別支援計画を作成し、よりよいケアが提供できるようホームヘルパーを指導する。
訪問介護員
(ホームヘルパー)
介護職員初任者研修課程を修了した者 利用者の自宅を訪問し、身体介護や生活援助を行う。

ステップ④指定申請を行う

続いて介護保険事業者として国から指定を受けるために、指定申請を行います。サービス種別ごとに定められた、以下3つの指定基準を満たす必要があります。

  • 人員基準
  • 運営基準
  • 設備基準

指定を受けた後に上記の基準を満たせなくなってしまった場合は、指定申請が取り消されるおそれがありますので注意しましょう。
現在、指定申請はWebでの申請が可能となっており、主に必要な書類は以下です。

  • 指定申請書
  • 登記事項証明書又は条例等
  • 平面図
  • 運営規程
  • 利用者からの苦情を処理するために講ずる措置の概要
  • 誓約書

そのほかのサービス種別によっては追加で書類の提出が必要になるものがあります。詳しくは厚生労働省のホームページで確認しましょう。

ステップ⑤運営に必要なシステムや書類を準備する

次に申請から指定日の間に、以下の書類などを作成しましょう。

  • 帳簿
  • 従業者の勤務体制および勤務形態一覧表
  • 契約書・重要事項説明書
  • 社内規定やマニュアル
  • 従業員の保険や給与に関する書類

事務作業の多い帳簿管理や、毎月作成が必要なシフト管理などは、事業をスタートする際にICTツールなどを導入しておくことをおすすめします。初めからシステムありきの業務フローを確立しておくことで、途中からシステムが入ることで起きる従業員の混乱がなくなります。

一方、開業後にシステムを導入すると、通常の業務フローを行いながらシステムの運用を進めなければならないため、一時的に業務負荷が高まるおそれがあります。行政への申請手続きは電子化が進んでいるため、事業者側も積極的にICTを取り入れていきましょう。

CWS for Care」は、介護報酬改定にも対応した介護専門のシフト管理サービスです。シフト作成や実績の管理、勤務形態一覧表の出力などが可能です。毎月必ず必要になり、職員の業務負荷が大きいシフト作成業務。効率的にシフト作成・管理ができるシステムは事業の運営に役立つのではないでしょうか。

ステップ⑥利用者を獲得する

最後に、利用者を獲得するため、ホームページや、コンセプトを分かりやすく示したチラシ・パンフレットを作成しましょう。特にホームページは事業所のコンセプトを打ち出し、ほかの介護サービスとの差別化を図ることができるツールです。

事業者の想いから、サービスの特徴、事業所やスタッフの雰囲気などの要素を盛り込みましょう。作成するだけではなく、新聞や、電車・バスなどへ宣伝広告を打ち出すことも必要です。

介護施設を開業・運営するのにかかる費用相場

介護施設の開業に際し、必要な費用は主に以下のとおりとなります。

費用内訳 内容 目安金額
法人設立費用 登記にかかる費用。定款認証手数料や収入印紙代、登録免許税などがかかる。 株式会社の設立:25~30万円程度
合同会社や一般社団法人:10万円程度
物件取得費用 運営基準・設備基準を満たした事務室や相談室、施設が必要になるため、物件の賃貸料や購入費や付随する保証金や敷金・礼金などがかかる。 地域や物件の規模などによる
人件費 介護報酬の支払いは翌々月になるので、開業直後の人件費をあらかじめ用意しておく必要がある。 1人あたり20~30万円程度
(介護職の平均月収は24万円程度)

介護施設開業の初期費用・運営費用の相場は、おおよそ1,000万円からです。これは、居住やリハビリ施設をはじめとするある程度のまとまった土地が必要であり、設備も多いためです。デイサービスの開業を例に挙げると、物件取得費用は約120万円、そこに改修工事費が1,000万円前後、他にも諸経費がかかる内訳となります。

参考:財務局 経済産業局 認定支援機関「資金調達ノート」

介護施設を開業・運営する際の資金調達方法

介護施設を開業する際に大事である、資金調達の方法として融資・助成金・ファクタリングの3つをそれぞれ紹介します。

金融機関から融資を受ける

金融機関からの融資は以下2つの方法があります。

  • 日本政策金融公庫 国民生活事業
  • 信用保証協会

日本政策金融公庫国民生活事業では、新規開業資金を融資してもらえます。融資利率は条件によって異なるので事前によく確認しましょう。無担保・無保証人を希望する方向けに、併用できる融資制度も用意されています。
一方で信用保証協会は自治体を介した融資となります。信用保証協会が保証人となり、金融機関から融資を受けることができます。

いずれの場合も、自己資金の金額が融資額を決定する材料のひとつとなります。

助成金制度を活用する

資金調達の方法として、以下の助成金も検討してみてください。

  内容 補助額
特定求職者雇用開発助成金 高年齢者や障がい者など就職が困難とされる求職者を雇用した事業者が利用できる制度。 雇用者1人あたり25万円~
※対象労働者や企業規模によって異なる
トライアル雇用奨励金 職業経験や技能などにより就職が困難な求職者を一定期間雇用した事業者が利用できる制度。 雇用者1人あたり月額4万円

そのほかに開業時などに使える助成金を以下の記事から確認できます。

ファクタリングを利用する

介護保険給付費や診察報酬などが国から入金されるのは翌々月になるため、その間にファクタリングを活用する方法があります。ファクタリングとは、期日前に債権を買ってもらうサービスです。利用するには一定の手数料をファクタリング業者へ支払います。

主に以下のサービスがありますので、いち早く資金化したい方は検討してみましょう。

【ファクタリングの種類】
サービス名 ファクタリングの対象
介護報酬ファクタリング 国保連に請求する介護保険給付費
診療報酬ファクタリング 国保連・社会保険診療報酬支払基金に請求する診療報酬
調剤報酬ファクタリング 国保連・社保に対して請求する調剤報酬

介護事業の開業・運営を成功させるためのポイント5つ

詳細な経営計画の立案

開業前に詳細な経営計画を立てることで全体像が把握しやすくなります。さらに市場調査や競合分析を行い、市場での需要と競争状況を確認し、地域のニーズに合わせた介護施設を検討していくことが望ましいでしょう。また、財務計画やリスク管理策も慎重に考慮し、持続可能なビジネスモデルを確立しましょう。

適切な場所と施設を選ぶ

開業したい介護施設がそのエリアに住む住民に必要とされているかをきちんと確認した上で、介護施設の形態や立地を選びましょう。これは、住民が求める介護形態やサービスが地域によって大きく異なるためです。事前リサーチを怠ってしまうと、利用者が思うように集まらず、長期間赤字経営の恐れが出てしまうため、リスクを最小限にすることが経営の要となります。

法律や規則の遵守と許認可の取得

介護施設の開業・運営には、部屋の広さや必要な設備など、施設形態によってさまざまな法律と条例、資格要件があります。開業したいと考えている施設形態に関連する法律や条例などを遵守し、必要な許認可は確実に取得しましょう。

入居者に対する質の高いケアの提供

入居者の満足度を高めるためにも、質の高いケアを提供することが重要です。適切なスタッフの配置やケアマニュアルの作成、入居者の健康状態のモニタリングなど、サービスの質の維持と向上に取り組みましょう。
また、入居者やそのご家族とのコミュニケーションを重視し、個別のニーズに応えることも重要です。

スタッフのチームワークの強化

介護施設で質の高いケアを提供し続けるためには、経営者とスタッフの縦のつながりと、スタッフ間のチームワークが必要不可欠です。介護施設では、看護師や理学療法士、介護士など多職種のスタッフが在籍するため、それぞれが孤立せず、円滑なコミュニケーションがとれるような環境づくりが必要です。

介護事業の開業準備は、行政に確認を行いながら!

介護施設には、人員基準や運営基準、さらには設備基準、部屋の広さなどの施設基準が施設形態ごとに取り決めがあります。

介護事業を失敗しないためには、あらかじめ行政で定めた様々なルールを十分確認し、不安な点はその都度、行政に確認をとりながら計画的に進めていくことが重要です。地域に喜ばれ、貢献できる施設を開業できるよう、行政と連携しながら慎重に進めていきましょう。

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