介護施設において厳守しなければならない「人員配置基準」。分かったつもりで軽視していると、基準に違反して「指定取り消し・効力停止処分」が下されることもあります。
実際に違反して処分されている介護施設も多いため、常に人員配置基準を満たした運営ができるように工夫しなければなりません。
そこで今回は人員配置基準について、計算方法や注意点をわかりやすく解説します。
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目次
そもそも人員配置基準とは
人員配置基準とは、介護施設において「適切な介護・医療」を提供するために、一定数以上の専門資格を有した人材の配置(医師・介護士・看護師など)を義務付けた制度です。
必要な人数は介護施設の種類によって異なりますが、どの施設でも適切な介護サービスを提供するために、法律によって人員配置基準が定められています。人員配置基準に 違反した場合、指定の取り消し・効力停止の処分が下される可能性もあります。
施設ごとの人員配置基準と計算方法
【介護施設ごとの介護職員の人員配置基準 一覧表】
種別 | 基準 |
1)介護療養型医療施設 | 入居者6人に対して1人以上 |
2)グループホーム | 利用者3人に対して1人以上 |
3)特定施設入居者生活介護(有料老人ホームなど) | 要支援者10人に対して1人以上(看護・介護職員) 要介護者3人に対して1人以上(看護・介護職員) |
4)デイサービス | 利用者15人に対して1人以上 利用者数が16人以上は「(利用者数-15人)÷5+1」以上 |
5)特別養護老人ホーム | 要介護者3人に対して1人以上(看護・介護職員) |
6)訪問介護 | 2.5人以上 |
以下では施設ごとの人員配置基準と計算が必要な場合の計算方法について、解説しています。
介護療養型医療施設の人員配置基準
引用:介護療養型医療施設及び介護医療院|厚生労働省
介護療養型医療施設の人員配置基準は、入居者6人につき1人です。機能訓練を行う理学療法士や作業療法士は、実情に応じた適当数となっています。
グループホームの人員配置基準と計算方法
引用:グループホームの概要|厚生労働省
グループホームでは「管理者・サービス管理責任者・世話人」それぞれに対して、人員配置基準が定められています。
それぞれの人員配置基準と計算方法は、以下のとおりです。
職種 | 人員配置基準 | 計算方法 |
管理者 | 1名以上 ・兼務可能 ・非常勤不可 | – |
サービス管理責任者 | 利用者数30人以下:1 利用者数31人以上:30人を超えるごとにさらに1人 | 定員÷30(小数点以下端数切上) |
世話人 | 利用者の数を10で除した数以上(常勤換算) 具体例 定員7人÷10=0.7 兼務可能 ・非常勤可能 | 定員÷10(小数点第二位以下切捨) |
特定施設入居者生活介護の人員配置基準と計算方法
引用:特定施設入居者生活介護|厚生労働省
特定施設入居者生活介護に該当する施設は、「有料老人ホーム・ケアハウス・養護老人ホーム」の3つです。
特定施設入居者生活介護の人員配置基準については、以下のとおりとなっています。
職種 | 人員配置基準 |
管理者 | 1名(専従) |
介護職員 | 看護職員と合わせて要介護者3人に対して1人以上 |
看護職員 | 入居者30人までは1人以上(常勤換算) 入居者50人増すごとに1人追加が必要 |
デイサービスの人員配置基準
引用:通所介護|厚生労働省
デイサービスの人員配置基準は、利用定員が10名以下と10名以上の場合で異なります。それぞれの人員配置基準については、以下のとおりです。
職種 | 利用定員が10名以下のデイサービス | 利用定員が10名以上のデイサービス |
管理者 | 1名(常勤) | 1名(常勤) |
介護職員 | 1名以上 (介護職員or看護職員どちらかでOK) | 1名以上 |
看護職員 | 1名以上 (介護職員or看護職員どちらかでOK) | 1名以上 |
特別養護老人ホームの人員配置基準
引用:介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)|厚生労働省
特別養護老人ホームの人員配置基準は、看護師と介護職の比率が3:1になるように定められています。
訪問介護の人員配置基準
引用:訪問介護の報酬・基準について|厚生労働省
訪問介護の人員配置基準は、常勤の介護職員が2.5人以上必要です。
なお介護職員は「介護福祉士・実務者研修・初任者研修などを終了している職員」に限られます。この条件を満たしていない職員は、規定人数として計算できないので注意が必要です。
人員配置基準の注意点
ここでは各介護施設が人員配置基準に関して注意すべき点を解説します。
人員不足による特定職員への負担
人員配置基準に関して介護施設が陥りがちなのが、人員不足により特定職員への負担が集中してしまうことです。
施設によっては資格を取得している職員が少なく、有資格者の特定職員に負担が集中してしまい介護サービスの質が下がってしまうケースも多々発生しています。
特定職員に負担が集中してしまうと、労働意欲が低下して有資格者の離職に発展してしまう可能性もあるので注意が必要です。
特定職員への負担が集中するのを防ぐためには、派遣社員や短時間勤務のスタッフなどとうまく組み合わせる必要があります。
【特定職員へ負担が集中しないための対策例】
- 短時間勤務の職員を活用する
- 職務内容に応じて適切な職員を配置する
- 時間帯を考慮して職員を配置する
- 派遣社員をうまく活用する
常勤とアルバイト・パートの比率に注意
ここまで特定職員へ負担が集中しないためには、短時間勤務の職員や派遣社員をうまく活用すべきことを解説してきました。
しかし常勤とアルバイト・パートの比率には注意が必要です。特定職員への負担を軽減するために、人員配置基準に違反するシフトを組んでしまっては意味がありません。
常勤換算などもうまく活用して、人員配置基準を満たした勤務表を作成しましょう。
⇒常勤換算の計算方法を具体例で解説!介護施設・事業所の人員配置基準も紹介
人員配置基準を違反すると指定取り消しになる可能性も
法律で定められている人員配置基準に違反すると「指定取り消し処分」が下される可能性があります。
引用:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料|厚生労働省
引用:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料|厚生労働省
厚生労働省の最新資料や行政処分事例の内容でも、平成12年度から令和元年までの間に、約2,748の事業所が指定取り消し・効力の停止処分にあっています。
特に訪問介護と居住介護支援に関連する施設・事業所が、全体の中でも処分を下されている割合が多いです。
引用:全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議資料|厚生労働省
実際に人員配置基準違反が問題となって指定取り消しを受けているのは、全体の約7%程度です。「約200前後の事業所」が、人員配置基準違反を犯して指定取り消し処分を受けている計算となります。
これまでの事例を見てわかるように、人員配置基準違反で「指定取り消しにはならないだろう」と安易に考えてはいけません。
基準を下回らないために、資格を保有している人材の確保や、従業員への資格取得を推奨するなど施設が主導となり対策をとる必要があります。
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まとめ
人員配置基準は、法律によって施設ごとに厳格な基準が定められています。基準を満たしていないと、最悪指定取り消しになる可能性もあるので注意が必要です。
実際に人員配置基準違反を犯して、指定取り消し・効力停止処分を下されている介護施設も存在します。
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