科学的介護推進体制加算とは?算定要件とLIFEへの提出(2024年度改定対応)

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わかりやすい「科学的介護推進体制加算」とは?提出の頻度・方法

2021年度の介護報酬改定で、科学的介護推進体制加算が導入されました。さらに、科学的介護情報システム(LIFE)への提出頻度の変更や入力負担の軽減措置などが、2024年度の改定で見直しされています。

では、科学的介護推進体制加算とは、どのような加算なのか。今回は科学的介護推進体制加算について、制度の概要や算定要件、提出方法などをわかりやすく解説します。


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科学的介護推進体制加算とは?

科学的介護推進体制加算とは、科学的介護情報システム(LIFE)へデータ提出することでフィードバックされる情報を活用し、介護サービスの質の向上に向けた取り組みを評価する加算です。介護現場におけるPDCAサイクルの活用や、介護サービスの質の向上および標準化、そして高齢者の自立支援・重度化防止を促進することなどを目的としています。

科学的介護とは、科学的な裏付け(エビデンス)に基づく介護を示すものです。利用者の状態やケアの計画・内容などを科学的介護情報システム(LIFE)にデータとして提出し、その内容を分析して結果がフィードバックされます。

対象となるサービスと単位数

科学的介護推進体制加算では、以下のように対象となるサービスと単位数が決められています。

対象サービス 単位数
施設型 介護老人福祉施設 (Ⅰ)40単位/月
(Ⅱ)50単位/月
介護老人保健施設 (Ⅰ)40単位/月
(Ⅱ)60単位/月
介護医療院 (Ⅰ)40単位/月
(Ⅱ)60単位/月
地域密着型介護老人福祉施設入居者生活介護 (Ⅰ)40単位/月
(Ⅱ)50単位/月
通所系・居住系・多機能型 地域密着型特定施設入居者生活介護 40単位/月
認知症対応型共同生活介護(予防含む)
小規模多機能型居宅介護(予防含む)
看護小規模多機能型居宅介護
地域密着型通所介護
特定施設入居者生活介護(予防含む)
認知症対応型通所介護(予防含む)
通所介護・通所リハ(予防含む)

参考:令和3年度介護報酬改定の主な事項について|厚生労働省

科学的介護推進体制加算の算定要件

科学的介護推進体制加算は、以下のように算定要件が定められています。

算定要件①利用者の基本情報をLIFEから厚生労働省に提出すること

利用者の基本情報をLIFEを通して、厚生労働省に提出することが必要です。システムを通じて提出する情報については、以下のとおりとなります。

通所系・居住系・多機能型の場合
提出する情報 項目
利用者情報 氏名、生年月日、性別、保険者番号、被保険者番号
基本情報 要介護度、障害高齢者の日常生活自立度、認知症高齢者の日常生活自立度、評価日、評価時点
総論 ADL
口腔・栄養 【様式1を使用する場合】
身長、体重、義歯の使用、むせ、歯の汚れ、歯肉の腫れ・出血
【様式2を使用する場合】
身長、体重、低栄養状態のリスクレベル、栄養補給法、食事形態、とろみ、食事摂取量、必要栄養量、提供栄養量、褥瘡(じょくそう)、義歯の使用、むせ、歯の汚れ、歯肉の腫れ・出血
認知症 認知症の診断(生活・認知機能尺度を活用した評価を実施)

施設サービスの場合

加算(Ⅰ)を算定する場合は、通所系・居住系・多機能型の場合と同様の情報を提出する必要があります。加算(Ⅱ)を算定する場合は、通所系・居住系・多機能型の場合に加えて、「総論」の診断名および服薬情報(薬剤名)の情報も必要です。
なお、科学的介護推進体制加算(Ⅰ)と(Ⅱ)の併算定はできません。

参考:科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について|厚生労働省

算定要件②LIFEの情報を活用してPDCAサイクルを実施すること

算定要件では、利用者の基本情報を提出するだけではなく、LIFEから提供された情報を有効に活用してPDCAサイクルを実施することが求められています。

現在介護施設などでは、アセスメントや課題分析を基に作成したケアプランに沿った介護計画書を主体として、入居者や利用者の自立支援や重度化防止のためのサービス提供を行っています。根拠ある介護を実現するためには、多職種で連携しながら、フィードバックを基に必要に応じてケアプランや介護計画書の内容を見直すことが重要です。

科学的介護推進体制加算におけるPDCAサイクル
Plan(計画) 心身の状況などに関する基本情報に基づいて、適切なサービスを提供するためのケアプランやケアプランに沿った介護計画書を作成する
Do(実行) 作成した計画に基づいて、自立支援・重度化防止を目的として介護を行い、記録を記載する
Check(評価) 利用者の日々の記録を基に、ケアプランや介護計画書の目標の達成状況などを確認し、評価する
Action(改善) 評価結果を基に、ケアプランや介護計画書の内容を見直し、常にサービスの質の向上に努める

プロセスとしては、厚生労働省に提出されたデータを分析し、介護施設などにフィードバックを行い、介護現場においてケアプランや介護計画書の見直しなどに活用します。

今後このデータが集積されることで分析が進み、エビデンスに基づいたより質の高いケアを介護現場で提供することができます。

LIFEへの提出について

LIFEへのデータ提出については、以下のような流れや対応内容を覚えておきましょう。

LIFEへの提出の流れと頻度

「科学的介護推進に関する評価」を行い、以下に定める月の翌月10日までにLIFEへ情報を提出します。

【加算の算定開始時期】

  • 加算の算定を開始する月にサービスを利用している利用者については、算定を開始する月から
  • 加算の算定を開始する月の翌月以降にサービスの利用を開始する利用者については、サービスの利用を開始した月から

少なくとも3ヶ月に1回は情報を提出しなくてはいけません。以前は6ヶ月ごとだった提出頻度が2024年度の改定で、3ヶ月ごとに見直されています。介護報酬改定後のルールを確認し、間違えないように提出して下さい。

参考:ケアの質の向上に向けた科学的介護情報システム(LIFE)利活用の手引き

引用:科学的介護情報システム(LIFE)関連加算に関する基本的考え方並びに事務処理手順及び様式例の提示について|厚生労働省

なお、新しい加算を算定する場合は、重要事項説明書の改訂と利用者とご家族に対して契約時に加算内容を分かりやすく説明する必要があります。利用者の自己負担額が増える一方、これによってサービス内容がすぐ改善されるものではありません。加算による利用者のメリットを整理し、十分な説明を心掛けてください。

LIFEへ提出ができない・忘れた場合について

科学的介護推進体制加算だけでなく、LIFEへのデータ提出を要件とする各加算は、加算の算定開始月の翌月10日までにデータを提出する必要があります。しかしながら、やむを得ない理由で提出できない場合は、その利用者に限り翌々月のデータ提出でも算定が可能とされています。

ただし、データの提出が加算要件となっているため、翌々月の提出となった場合は、加算の算定開始月の翌月からの算定となります。このとき、やむを得ない理由で提出ができなかった利用者以外の利用者分については、翌月10日までに提出していれば算定開始月からの算定が可能です。

また、この場合は介護記録などに、データを提出できなかった理由について記載しなければいけません。やむを得ない理由には、以下が該当します。

  • 利用者に係る情報を収集する時間が十分に確保できない
  • 利用者の緊急の入院によりデータが提出できない
  • 利用者の身体の状態が悪化し、提出に必要なデータの一部しか提出できない
  • データを入力したが、システムトラブルなどによりデータが提出できない

やむを得ない理由を除き、単純に提出を忘れていたなどの理由で期限までに提出していない場合は、利用者全員の該当月の加算を算定することはできないので注意が必要です。

2024年度の改定で入力負担を軽減させるための見直しが行われた

2024年度の改定では、情報の収集・分析の質向上や入力負担の軽減を目的として、以下のような点が見直されました。

  • 入力項目の定義の明確化
  • 他の加算と共通する項目の選択肢を統一化
  • 初回のデータ提出時期を他のLIFE関連加算と揃えられるようにする
  • 同一の利用者に複数の加算を算定する場合に、一定の条件下でデータ提出のタイミングを統一できるようにする

なお、2024年4月22日より2024度版のLIFEシステムが稼働しています。

参考:令和6年度介護報酬改定における改定事項について|厚生労働省

LIFEの活用でサービスの質向上・業務の効率化が可能に

科学的介護情報システム(LIFE)を通じてデータの提出やフィードバックの活用を行うことで、介護施設などにおいて加算の算定とともに介護の質の向上を実現できます。

フィードバックを活用し、施設や事業所内でPDCAサイクルを実施することで、科学的根拠に基づくケアが提供できるようになり、経験の浅いスタッフでも質の高いサービスを提供することが可能になります。

また、LIFEは無料で活用できるにもかかわらず、データの量は膨大であり、それによって業務の効率化が見込まれます。インターネット環境は必要ですが、ICT化の促進や人材定着などのさまざまなメリットにより、経営の安定にもつながるでしょう。

今後日本中のデータが集積していけば、フィードバックの精度も向上し、施設や事業所の適切な運営やケアに役立つことが期待できます。まだLIFEを導入していない施設や事業所は、今回の記事を参考に導入を検討してみてはいかがでしょうか?

また、業務効率化を目指す事業所におすすめなDX化(ICT化)については下記の記事にまとめています。あわせてご覧ください。

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