介護事業者も使える事業再構築補助金|申請要件など・採択事例などもあわせて解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
介護事業者も使える事業再構築補助金|申請要件など・採択事例などもあわせて解説

高齢者が増える一方で介護職員は採用難です。リソースを確保するためには、増やすだけではなく今いる人材に定着してもらうことも重要です。他事業所よりも働きやすい職場であると思ってもらうために、職場環境の改善を検討しましょう。

この記事では介護事業所が利用できる事業再構築補助金の情報をまとめ、補助金額まで詳しくご紹介しています。

また、記事後半では関連する補助金を一覧にまとめております。ぜひブックマークをしてご活用ください。


介護事業所の面倒なシフト・勤怠管理がらくらく
人員基準や加算要件は自動でチェック!CWS for Careはシフト表作成、勤怠管理、勤務形態一覧表作成をワンストップで提供する、介護専門のシフト・勤怠管理サービスです。
⇒ 「CWS for Care」公式サイトへアクセスして、今すぐ資料を無料ダウンロード

事業再構築補助金

新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、需要や売上の回復が期待しにくいなかで、経済社会の変化に対応するために新しい分野の展開、業態転換、業種転換などによって規模の拡大、事業再構築を目指す中小企業などの挑戦を支援する目的の補助金です。日本国内に本社を有する中小企業者など、一定の条件を満たした事業主が対象です。

同一法人・事業者での各事業類型への応募は、1回の公募につき1申請のみに限られます。また、一度交付決定を受けた事業者は、「グリーン成長枠」、「産業構造転換枠」、「サプライチェーン強靱化枠」を除いて原則再度申請することはできません。

直近の申請は令和5年3月30日~6月30日18:00までです。

補助金の中でいくつかの枠(コース)があり、それぞれ条件などが違っていますのでご注意ください。

各コースの概要

▶成長枠

項目 要件
概要 成長分野への大胆な事業再構築に取り組む中小企業等を支援
補助金額 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
【従業員数51~100人】100万円~5,000万円
【従業員数101人以上】100万円~7,000万円
補助率 中小企業者等1/2
中堅企業等1/3
補助事業
実施期間
交付決定日~12か月以内(ただし、採択発表日から14か月後の日まで)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

参照:事業再構築補助金 公募要領|事業再構築補助金事務局

▶グリーン成長枠

項目 要件
概要 研究開発・技術開発又は人材育成を行いながら、グリーン成長戦略「実行計画」14 分野の課題の解決に資する取組を行う中小企業等の事業再構築を支援
補助金額 (エントリー)
中小企業者等【従業員数20人以下】100万円~4,000万円
【従業員数21~50人】100万円~6,000万円
【従業員数51人以上】100万円~8,000万円
中堅企業等100万円~1億円
(スタンダード)
中小企業者等100万円~1億円
中堅企業者等100万円~1.5億円
補助率 中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
補助事業
実施期間
交付決定日~14 か月以内(ただし、採択発表日から 16 か月後の日まで)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

参照:事業再構築補助金 公募要領|事業再構築補助金事務局

▶卒業促進枠

項目 要件
概要 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、中小企業等から中堅企業等に成長する事業者に対する上乗せ支援
補助率 中小企業者等 1/2
中堅企業等 1/3
補助事業
実施期間
交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

参照:事業再構築補助金 公募要領|事業再構築補助金事務局

▶大規模賃金引上枠

項目 要件
概要 成長枠・グリーン成長枠の補助事業を通して、大規模な賃上げに取り組む事業者に対する上乗せ支援
補助金額 100万円超~3,000万円
補助率 中小企業者等1/2
中堅企業等1/3
補助事業
実施期間
交付決定日~成長枠・グリーン成長枠の事業計画期間終了まで
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

参照:事業再構築補助金 公募要領|事業再構築補助金事務局

▶産業構造転換枠

項目 要件
概要 国内市場縮小等の構造的な課題に直面している業種・業態の中小企業等が取り組む事業再構築を支援
補助金額 【従業員数20人以下】100万円~2,000万円
【従業員数21~50人】100万円~4,000万円
【従業員数51~100人】100万円~5,000万円
【従業員数101人以上】100万円~7,000万円
※廃業を伴う場合には、廃業費を最大2,000万円上乗せ
補助率 中小企業者等2/3
中堅企業等1/2
補助事業
実施期間
交付決定日~12か月以内(ただし、採択発表日から14か月後の日まで)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

参照:事業再構築補助金 公募要領|事業再構築補助金事務局

▶サプライチェーン強靱化枠

項目 要件
概要 、海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域産業の活性化に取り組む事業者(製造業)へ の支援
補助金額 中小企業者等・中堅企業等ともに1,000万円~5億円
※建物費がない場合は3億円以内
補助率 中小企業者等1/2
中堅企業等1/3
補助事業
実施期間
交付決定日~28か月以内(ただし、補助金交付候補者の採択発表日から30か月後の日まで)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費

参照:事業再構築補助金 公募要領|事業再構築補助金事務局

▶最低賃金枠

項目 要件
概要 最低賃金引上げの影響を受け、その原資の確保が困難な特に業況の厳しい中小企業等の事業再構築を支援
補助金額 【従業員数5人以下】100万円~500万円
【従業員数6~20人】100万円~1,000万円
【従業員数21人以上】100万円~1,500万円
補助率 中小企業者等3/4
中堅企業等2/3
補助事業
実施期間
交付決定日~12か月以内(ただし、採択発表日から14か月後の日まで)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

参照:事業再構築補助金 公募要領|事業再構築補助金事務局

▶物価高騰対策・回復再生応援枠

項目 要件
概要 業況が厳しい事業者や事業再生に取り組む中小企業等、原油価格・物価高騰等の影響を受ける中小企業等の事業再構築を支援
補助金額 【従業員数5人以下】100万円~1,000万円
【従業員数6~20人】100万円~1,500万円
【従業員数21人以上】100万円~2,000万円
【従業員51人~】100 万円~3,000万円
補助率 中小企業者等2/3
中堅企業等1/2
補助事業
実施期間
交付決定日~12か月以内(ただし、採択発表日から14か月後の日まで)
補助対象経費 建物費、機械装置・システム構築費(リース料を含む)、技術導入費、専門家経費、運搬費、クラウドサービス利用費、外注費、知的財産権等関連経費、広告宣伝・販売促進費、研修費

参照:事業再構築補助金 公募要領|事業再構築補助金事務局

助成を受けるためにクリアすべき条件

それぞれの枠で、下記の要件などを複数組み合わせた条件がひかれています。

【事業再構築要件】
事業再構築指針に示す「事業再構築」の定義に該当する事業であること
(①新市場進出②事業転換③業種転換④事業再編⑤国内回帰の5種類)
【市場拡大要件】
取り組む事業が、これまでまたは今後のいずれか10年で市場規模が10%以上拡大する業種・業態であること他
【売上高等減少要件】
2020年4月以降の連続する6か月間のうち、任意の3か月の合計売上高が、コロナ以前と比較して10%以上減少していること
【認定支援機関要件】
事業計画を認定経営革新等支援機関と策定することと、補助金額が3,000万円を超える案件は「金融機関による確認書」を提出すること
【給与総額増加要件】
補助事業実施期間の終了年度の給与支給総額を基準とし、補助事業終了後の3~5年の事業計画期間中、給与支給総額を年率平均で2%以上増加させる計画を作成、実行すること他
【補助率引上要件】
実績報告後の初回の事業化状況報告において要件の達成状況を確認し、達成できている場合は補助率1/6の金額が追加で支給され、達成できていない場合はその分返還が求められる
【付加価値額要件】
補助事業終了後3~5年で付加価値額増加、または従業員一人当たり付加価値額が増加する見込みの事業計画を策定すること(枠によって増加率の基準は変わる)
【市場縮小要件】
現在の主事業がこれまでまたは今後のいずれか10年間(過去10年で考える場合はコロナ禍の影響を除外するため2019年以前)で事情規模が10%以上縮小する業種・業態に属していて、要件を満たす新規事業を行う他
【売上高等減少要件】
2022年1月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、2019~2021年の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していることなど
【売上高等減少要件】
2022年1月以降の連続する6ヶ月間のうち、任意の3ヶ月の合計売上高が、2019~2021年の同3ヶ月の合計売上高と比較して10%以上減少していることなど
【最低賃金要件】
特定の期間で3ヶ月以上最低賃金+30円以内で雇用している従業員が10%以上いること
【グリーン成長要件】
「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において「実行計画」が策定されている14分野に関し、各分野ごとに「現状と課題」として記載のある「課題」の解決につながる取組であること他
【再生要件】
中小企業活性化協議会(旧:中小企業再生支援協議会)等から支援を受けており、応募申請時において各要件(再生計画などを「策定中」の者など)のいずれかに該当していること
【卒業要件】
応募時点での事業規模から拡大していること(たとえば応募申請時点で中堅企業の場合は大企業に成長している、など)他
【賃金引上要件】
事業場内最低賃金を年額45円以上の水準で引き上げること他
【従業員増員要件】
従業員数を年率平均1.5%以上(初年度は1.0%以上)増員させること 他

詳しくは制度の公式リーフレットでご確認ください。

事業再構築補助金採択事例

飲食店運営会社が高齢者への配食事業を開始した例

長い期間飲食店を運営してきたA社は、数年前から医療機関での入院時の療養食を作る事業を始めた。「新分野展開」事業(「緊急事態宣言特別枠」)として応募し、採択された。

A社における「製品・市場などの新規性要件」との照らし合わせ内容

A社は、採択の要件である新規性要件と自社の状況を照らし合わせて以下のように回答しました。

  • 病院内での委託製造や飲食店での食品製造はあったが、弁当を宅配する配食事業は過去に取り組んだ実績がない
  • 配食事業では製造などに用いる設備を新たに設置する
  • 県内の競合他社がそもそも少なく、新たに参入しても売り上げがたつと予想される
  • これまでとは違うターゲット(高齢者向け)に製造し、調理加工方法なども異なる
  • 今回高齢者へ配食する事業はそのどちらとも客層が被らない

参考:採択事例紹介「事業計画書」|事業再構築補助金

このほかにも売上高要件などに当てはまり、採択となりました。今回のケースの要件である新規性要件では「他社と被らない・自社内でも既存事業との重複がない」などが求められていることがわかります。新規事業へ参入する際に補助金を活用しようと考えている場合は参考にしてください。

介護事業所で使える助成金・補助金制度一覧

その他使える補助金を以下の記事で紹介しています。

各補助金と概要の一覧

制度名称制度の概要
業務改善助成金中小企業・小規模事業主の生産性向上を支援し、事業場内でもっとも低い賃金(事業場内最低賃金)の引上げを図ることを目的とした助成金
働き方改革推進支援助成金生産性を向上させ、時間外労働の削減、年次有給休暇や特別休暇の促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を助成する
雇用調整助成金経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、雇用の維持を図るため休業手当に要した費用を助成する
キャリアアップ助成金派遣労働者含む有期雇用労働者や、短時間労働者の企業内でのキャリアアップ促進を目的とした助成金
両立支援等助成金職業生活と家庭生活が両立できる“職場環境づくり”を推進する目的とした助成金
人材開発支援助成金労働者の職業生活設計の全期間を通じて段階的かつ体系的な職業能力開発を促進することを目的とした助成金
トライアル雇用助成金職業経験の不足などから就職が困難な求職者などを3か月間程度試行雇用することにより、その適性や能力を見極め、期間の定めのない雇用への移行のきっかけとしてもらうことを目的とした助成金
産業雇用安定助成金(雇用維持支援コース)新型コロナウイルス感染症の影響により事業活動の一時的な縮小を余儀なくされた事業主が在籍型出向により労働者の雇用を維持する場合、出向元と出向先の双方の事業主に対して、その出向に要した賃金や経費の一部を助成する
労働移動支援助成金事業規模の縮小などにより離職を余儀なくされる労働者などに対する再就職支援を職業紹介事業者に委託したり、求職活動のための休暇の付与や再就職のための訓練を教育訓練施設などに委託して実施した事業主に対して助成
中途採用等支援助成金中途採用、UIJターンの採用拡大を図る事業主へ助成
人材確保等支援助成金雇用創出を図ることにより、人材の確保・定着を目的とした助成金
特定求職者雇用開発助成金高年齢者や障がい者などの就職困難者をハローワークなどの紹介により、継続して雇用する労働者(雇用保険の一般被保険者)として雇い入れる事業主に対して助成
65歳超雇用推進助成金高年齢者が意欲と能力のある限り年齢に関わりなく働くことができる生涯現役社会を実現する支援をする助成金
介護ロボット導入活用支援事業補助金介護ロボットの使用による介護従事者の負担の軽減を図るとともに、介護ロボットの普及による働きやすい職場環境の整備を図り、介護従事者の確保に資することを目的とした助成金
ICT導入支援事業補助金介護事業所などにおける介護ソフト、タブレット端末などの導入支援を行うことにより、介護記録・情報共有・報酬請求などの業務の効率化を図り、介護従事者の負担軽減による雇用環境の改善、離職防止および定着促進に資することを目的とした助成金
IT導入補助金デジタル化により、業務効率・売上アップなどをサポートする目的の助成金
小規模事業者持続化補助金<一般型>小規模事業主および一定要件を満たす特定非営利活動法人が今後複数年にわたり相次いで直面する制度変更に対応するため、小規模事業主などが取り組む販路開拓などの取組の経費の一部を補助することにより、地域の雇用や産業を支える小規模事業主などの生産性向上と持続的発展を図ることを目的とした助成金
創業助成事業創業予定者または創業から間もない中小企業者に対して、創業期に必要な経費の一部を助成することで東京都における創業のモデルケースを創出し、新たな雇用を生み出すなど東京の産業活力の向上が目的となっている助成金
事業再構築補助金新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、需要や売上の回復が期待しにくいなかで、経済社会の変化に対応するために新しい分野の展開、業態転換、業種転換などによって規模の拡大、事業再構築を目指す中小企業などの挑戦を支援する目的の助成金
事業継承・新規開業支援補助金主に小規模事業主の事業継続や、新規開業によって地域の活性化や雇用機会の拡大が目的の助成金

【助成金制度で使われる主な用語の解説】

各助成金(補助金)の多くは、特定の概念を下記のとおり定義しています。
場合によっては下記に限らない場合もありますので、詳しくは各制度のページでご確認ください。

「中小企業」とは

以下のAまたはBの要件を満たす企業となります。

業種 A資本または出資額 B常時雇用する労働者
小売業(飲食店を含む) 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
その他の業種 3億円以下 300人以下

参照:中小企業・小規模企業者の定義|中小企業庁

「事業場」とは

労働基準法における考え方と同一です。同一の場所で、相関しかつ組織的な業務を行える場所のことを指します。

生産性の向上とは

助成金を申請する事業所において、生産性要件算定シートを用いて計算された生産性の伸び率が「生産性要件」を満たしている場合は助成額が割り増しされるなどの措置があります。

各助成金の項目で「生産性の向上が認められる場合」と記載がある場合、こちらの制度が適用になる可能性があります。

詳しくはこちらのページでご確認ください。

助成金・補助金制度を使って環境改善を行いましょう

介護現場の環境が改善されることは、職員のメリットだけではなく、ケアにより時間をかけることができるようになるといった利用者へのメリットにもなります。利用者への還元が増えれば、満足度に繋がり、施設運営にもよい影響をもたらすのではないでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

介護専門のシフト・勤怠管理サービス
『CWS for Care』

CWS for Careはシフト表作成、勤怠管理、勤務形態一覧表出力をワンストップで提供する、介護専門のシフト・勤怠管理サービスです。
人員基準や加算チェックなど介護特有の要件に対応し、介護事業者様の業務効率化をサポート。介護のシフト・勤怠管理でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。