介護施設の法定研修とは?必須項目と年間研修計画の作成方法

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介護施設の法定研修とは?必須項目と年間研修計画の作成方法

法定研修とは、介護事業所が適切な運営のために必ず行わなければならない研修で、未実施の場合は減算の対象になる可能性があります。事業所ごとに必要な法定研修を把握して、計画的に実施することが重要です。

この記事では法定研修の内容や各事業所の必須項目について、詳しい情報をまとめました。あわせて年間研修計画の作成方法や、2024年度から変更になるケアマネジャーの法定研修についても解説しています。

後半ではダウンロードしてすぐ利用できる「年間研修計画書テンプレート」もご用意していますので、是非ご活用ください。


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法定研修とは

法定研修とは、運営基準で定められている研修です。介護サービス種別によって法定研修が定められており、介護事業者は従業員に必ず必要な研修を受講させなければなりません。

たとえば令和3年度介護報酬改定では、高齢者虐待防止のほか、感染症対策と業務継続計画に向けた取り組みの強化などについて、経過措置があるものも含め、研修の実施が義務として定められています。

法定研修は、人材の育成およびサービスの質の向上に関わるだけでなく、法令に従って安心・安全に介護事業を運営するために必要になる研修です。なお、法定研修の実施状況は、介護サービスの情報公表制度において開示されます。

未実施は減算の対象に!

法定研修を実施しないと加算要件に満たないだけでなく、減算になるおそれがあります。たとえば「安全管理体制未実施減算」が代表的な減算です。

安全管理体制未実施減算は、令和3年度の介護報酬改定で新設されました。事故の発生および再発を防止するための措置が講じられていないなど、運営基準違反が発覚した際に、1日あたり5単位が減算されます。

具体的には外部研修を受講した担当者を配置したうえで、従業員に対し定期的な研修を実施しなければなりません。あわせて安全対策部門の設置、事故を防止するための体制の整備などが必要です。

一方、研修を強化することによって算定される加算もあります。

法定研修の内容と必須項目

介護サービス種別ごとに必要な法定研修は異なります。介護事業所ごとに必要な必須研修項目と、その研修内容について解説します。

介護事業所ごとの必須研修項目

まず、運営基準で主に定められている10個の研修に加え、特別養護老人ホーム向けの研修や、高齢者虐待防止関連法に基づく研修についても、以下の表にまとめました。

【介護事業所ごとの必須研修項目】
  訪問介護 訪問看護 訪問入浴介護 訪問リハビリテーション 通所介護 通所リハビリテーション 福祉用具貸与 特定施設入居者生活介護 認知症対応型共同生活介護 居宅介護支援 介護老人福祉施設 介護老人保健施設 介護療養型医療施設 小規模多機能型居宅介護
認知症ケアに関する研修
利用者のプライバシー保護に関する研修
接遇に関する研修
倫理・法令遵守に関する研修
事故の発生、予防、再発防止に関する研修
緊急時の対応に関する研修
感染症及び食中毒の発生の予防及びまん延の防止に関する研修
身体拘束の排除に関する研修
非常災害時の対応に関する研修
介護予防及び要介護度進行予防の関する研修
従業者に対する医療に関する教育、研修  
ターミナルケア(終末医療)に関する従業者研修  
精神的ケアに関する従業者研修  
高齢者虐待防止関連法を含む虐待防止に関する研修  

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研修内容

続いて運営基準で主に定められている10個の研修について、その内容を表でまとめました。

【介護事業所ごとの必須研修項目】
  研修名 内容
1 認知症ケアに関する研修 認知症の利用者に対応するための知識を学ぶ認知症基礎研修。介護福祉士や看護師など資格を持たない従業員が対象となる。
2 利用者のプライバシー保護に関する研修 利用者の個人情報を適切に扱うため、情報を安全に管理する方法や情報漏洩の防止に関する対策などについて学ぶ。
3 接遇に関する研修 介護現場特有の接遇マナーを学べる研修。言葉遣いや訪問時の対応など、基本的なビジネスマナーが習得できる。
4 倫理・法令遵守に関する研修 倫理や法令を遵守することの重要性を学ぶ。倫理・法令遵守を徹底するための能力や知識を向上させ、専門性を持った人材を育成する。
5 事故の発生、予防、再発防止に関する研修 転落や転倒などサービス提供時に起きやすい事故を未然に防ぐ方法を学ぶ。事故が発生した場合は再発を防止するための対策を講じ、周知徹底する。
6 緊急時の対応に関する研修 災害や感染症など緊急事態が起きた際の役割分担や対策など、業務継続計画について学び、訓練を行う。訓練は非常災害対策と合わせて行っても良い。
7 感染症及び食中毒の発生の予防及びまん延の防止に関する研修 感染症と食中毒対策の基礎的知識や、衛生管理の方法などを学ぶ。実際に感染症などが起きた場合を想定し、訓練の実施も必要。
8 身体拘束の排除に関する研修 身体拘束となる行為や、身体拘束の弊害、身体拘束をしない介護ケアについて学ぶ。
9 非常災害時の対応に関する研修 大雨のよる浸水や地震など災害が起きた際の対応や避難情報の収集方法、災害リスクについて学ぶ研修。訓練の実施も必要。
10 介護予防及び要介護度進行予防の関する研修 要介護状態の悪化防止や、発生を遅らせるための知識や対策を学ぶ。具体的には介護予防の基本的な考え方や、効果的な取り組みについて学ぶ。

年間研修計画の作成方法

法定研修の際は年間計画と実施した内容などが記載された資料の作成が必要になります。年間研修計画と実施記録、研修参加者のレポートなどは、運営指導や監査などで確認されるため、必ず作成してください。

作成の手順は、まず新年度前に年間の研修計画を作成し、研修実施後に実施記録の記載研修参加者レポート提出を求める方法が一般的です。

法定研修は適正な介護事業の運営のほか、人材の育成およびサービスの質の向上に関わります。そのため、ただ研修を実施すればよいのではなく、受講者が研修内容を十分に理解しているかをレポートで確認することが重要です。研修後にレポートの提出を求めるようにすれば、受講者の理解度が図れ、個別指導の目安を確認することができます。

様式と作成例

年間研修計画は、様式に決まりがありません。無料でダウンロードできる「年間研修計画書テンプレート」に納められた記入例を使って記載方法をご紹介します。

【研修計画参考例】

上記のように年間研修計画には、対象者と研修担当者、実施予定月などを記載します。年度の始まりである4~5月には、事業計画や接遇マナーに関する研修などを行うと良いでしょう。事業計画の内容を周知する「事業計画発表会」などの研修は、施設や事業所の理念や今年度の基本方針などを従業員に周知する良い機会となります。

そのほか感染症が蔓延しやすい季節やリスクが発生した場合に応じて、研修を盛り込む方法がおすすめです。

【テンプレート】年間計画書
エクセル形式の研修の年間計画書テンプレートです。個別計画書・対象者を管理できるシートもご用意しております。介護事業者が行うべき必須研修の一覧表やそれぞれの記入例もセットになっておりますので、それらを参考にダウンロード後すぐに計画を立てることができます。

2024年度から変わるケアマネの法定研修

最後に2024年度から変更が生じる介護支援専門員(ケアマネジャー)の法定研修についてまとめます。2023年2月に「介護支援専門員資質向上事業実施要綱」が一部改正され、法定研修のカリキュラムが変更になっています。

変更点として特筆すべきは、介護支援専門員が受講するすべての法定研修において、“適切なケアマネジメント手法”を習得してもらうための内容が追記されたことです。

適切なケアマネジメント手法とは、ケアマネジメントの質を一定以上に保つために、支援内容を体系的にまとめた手法です。脳血管疾患や認知症など5つの疾患に対して適切なケアマネジメント手法の内容の理解が求められるようになりました。このうち心疾患と、誤嚥性肺炎の予防に関するカリキュラムが、新しく加わっています。

また、介護支援専門員の受講負担を減らすため、カリキュラム全体の時間数が増えないよう、既存科目の講義および演習の時間が調整されている点も特徴です。

2024年には、認知症介護基礎研修も義務化されます。あわせてご確認ください。

介護事業所の法定研修は計画的に!

必要な法定研修は事業者ごとに異なり、未実施の場合、減算になる可能性があります。計画的に研修を実施するには、事前の研修計画の作成が必要です。特に運営指導や監査では、年間研修計画と実施した内容、研修レポートなどが必要になるため、計画的な実施と帳票の作成が重要となります。

適切な人材の育成やサービスの質の向上を目指すなら、内部だけでなく外部研修受講、eラーニング研修を活用する方法もおすすめです。自治体で実施されている研修もあるため、まずはホームページで検索、メールで確認してみましょう。

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