自立支援促進加算とは?算定要件や支援計画の作り方などを解説

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自立支援促進加算とは?算定要件や支援計画の作り方などを解説

入所者の自立支援に関する取り組みを強化している事業者が算定できる自立支援促進加算。全入所者に対し、月300単位を算定できる加算ですが、LIFEの活用が要件となっており、手間がかかるなどの理由から取得率は低い傾向となっています。

自立支援促進加算を算定するには算定要件や計画の立て方などを理解し、実施することが大事です。実施する際のプロセスから、計画の具体例まで紹介していきます。


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自立支援促進加算とは

算定するには、医師のアセスメントとその評価をもとに支援計画を作成した上で、計画に沿ったリハビリテーションや介護などの取り組みを行います。食事や入浴、排泄など総合的な視点で、日々のケアを見直す必要があるため、算定のハードルが高いと感じられる傾向にあります。

自立支援促進加算の目的

自立支援促進加算は、介護度の重度化や寝たきりを防止し、入所者の自立支援を促進する目的で創設されました。背景には少子高齢化の進行があります。「令和3年版高齢社会白書」によると、令和2年10月1日時点で日本の高齢化率は28.8%です。一方で、15〜64歳の人口は全体の59.3%で、減少傾向が続いています。

今後、介護する側の負担がさらに高まることが予想され、高齢者の自立を支援する考えがより重視されるようになりました。その流れで令和3年に新設されたのが、この自立支援促進加算です。

実際に、寝たきり(廃用症候群)の状態であっても、介護サービスを利用するなかで日常生活自立度が改善するケースも確認されています。

C2の利用者の自立度の推移(割合)

(※ 死亡や転居等により、日常生活自立度の追跡ができなかった者)
(2016年1月に介護サービスおよび介護予防サービスを利用した、障害高齢者の日常生活自立度がC2であった利用者について、1~4年後の自立度の推移を介護DBより集計)
引用:令和3年度介護報酬改定に向けて(自立支援・重度化防止の推進)|厚生労働省

また、離床時間や座位保持時間が長いほど、日常生活動作能力が高まることもわかっています。実際に寝たきりの状態の入所者の場合、座位保持時間が長くなるとともに日常生活動作能力の改善が見られました。

これらの結果からも、廃用症候群は改善できるものとして考える必要があり、重度化を防ぐためのケアを計画的に提供することが重要だと理解できます。

参考:令和3年版高齢社会白書(全体版)|内閣府

自立支援促進加算の取得率

令和4年5月に公益社団法人全国老人福祉施設協議会が実施した調査によると、特養の1,806施設のうち算定している施設はわずか10.6%でした。地域密着特養の323施設では、14.0%の算定率となっています。ひと月で300単位を算定できる大型加算ではあるものの、取得率は低めの結果となりました。

また、独立行政法人福祉医療機構が実施した調査では、未実施の理由として「かかるコスト・手間が加算額に見合わない」、「算定要件を満たすことが難しい」などが挙げられています。算定要件のなかでは特に、定期的に必要となる医師のアセスメントが加算のハードルを挙げている要因と考えられます。

参考:令和4年4月 加算算定状況等調査 結果の概要|公益社団法人全国老人福祉施設協議会令和3年度介護報酬改定に関する アンケート結果|独立行政法人福祉医療機構

自立支援促進加算の対象サービスと単位数

【自立支援促進加算の対象サービス】

  • 介護老人福祉施設
  • 地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
  • 介護老人保健施設
  • 介護医療院

対象となるのは、上記のように施設系サービスのうち4種類です。単位数は1ヶ月につき、300単位となります。すべての入所者に対して、算定できるところもポイントです。ただし入所者全員に対し、以下の算定要件を満たす必要があります。

自立支援促進加算の算定要件

  • 入所時、および6ヶ月に1回、医師が全入所者に対し、必要な医学的評価を行う
  • 医師や看護師、介護職員など多職種が共同して支援計画を作成し、実施すること
  • 医学的評価に基づき、最低3ヶ月に1回は入所者ごとに支援計画を見直すこと
  • 医学的評価の結果などをLIFEへ提出し、フィードバックを活用すること

単位数の多さで注目を浴びている加算ですが、算定要件から算定の難しさを感じている事業所が多いようです。特にすべての入所者に対して医師のアセスメントが必要な点、厚生労働省へデータを提出しなければいけない点などを、負担に感じる施設が多いことがわかっています。

加算のイメージは下の図も参考にしてみてください。

自立支援促進加算のイメージ
引用:公益社団法人 全国老人保健施設協会

定期的な医師のアセスメント、また支援計画見直しなどの算定要件があり、職員の業務負担や、それによる人件費の増加が想定されます。加算を算定するには、業務効率化を意識した体制づくりが必要になってきます。

参考:令和3年度介護報酬改定に関する アンケート結果|独立行政法人福祉医療機構

自立支援促進加算の留意事項

まず注意点として、支援計画の項目が挙げられます。支援計画書には必ず以下の項目について、計画を盛り込まなければなりません。

  • ADL動作
  • 日々の過ごし方など
  • 離床・基本動作
  • 訓練時間

ただしいずれの場合においても、入所者とその家族の希望を確認した上で計画を立てる必要があります。自立支援においては、生活のなかでできることを増やすだけでなく、入居者が望む、自分らしい生活が送れるよう支援することも重要です。入所者本人、そして家族のニーズに沿った計画を立てるようにしましょう。

そのため、入所者やご家族の希望が考慮されていない、画一的な取り組みは自立支援促進加算の趣旨とは異なり、加算の対象にはなりません。必ず個別に支援計画を立てる必要があります。

また、リハビリテーションや機能訓練を実施するだけの取り組みも加算の対象にはならないので注意しましょう。

自立支援促進加算の実施方法

次に、自立支援促進加算を実施する際の3つのプロセスについて解説していきます。

アセスメントを実施する

まず、医師がすべての入所者に対し、アセスメントを実施します。主に以下について確認し、自立支援の必要性を判断します。

  • 診断名
  • 日常生活自立度
  • 基本動作
  • ADL
  • 留意事項

アセスメントは「別紙様式7(自立支援促進に関する評価・支援計画書)」の1枚目、「現状の評価と支援計画実施による改善の可能性」のシートに沿って行います。

「現状の評価と支援計画実施による改善の可能性」のシート
引用:別紙様式7(自立支援促進に関する評価・支援計画書)|厚生労働省

支援計画が必要だと判断された場合、以下の4点のうちどの取り組みが必要かを記載します。

  • 尊厳の保持に資する取組
  • 本人を尊重する個別ケア
  • 寝たきり防止に資する取組
  • 自立した生活を支える取組

介護施設では、このアセスメント結果をもとに、具体的なケアプランを策定します。

ケアプランを策定する

ケアプランの策定は必ず多職種が集まってカンファレンスを行い、それぞれの専門性を生かし、検討した上で、計画を立てることが必要です。主にアセスメントを担当した医師、ケアマネジャー、看護師、介護職員などが連携して実施します。

また、支援計画は前述したとおり、「ADL動作」「日々の過ごし方等」「離床・基本動作」「訓練時間」のすべての項目で作成し、基本的に以下のa~fの項目に沿って実施しなければなりません。

  1. 寝たきりによる廃用性機能障害を防ぐために、離床、座位保持又は立ち上がりを計画的に支援する。
  2. 食事は、本人の希望に応じ、居室外で、車椅子ではなく普通の椅子を用いる等、施設においても、本人の希望を尊重し、自宅等におけるこれまでの暮らしを維持できるようにする。食事の時間や嗜好等への対応について、画一的ではなく、個人の習慣や希望を尊重する。
  3. 排せつは、入所者ごとの排せつリズムを考慮しつつ、プライバシーに配慮したトイレを使用することとし、特に多床室においては、ポータブルトイレの使用を前提とした支援計画を策定してはならない。
  4. 入浴は、特別浴槽ではなく、一般浴槽での入浴とし、回数やケアの方法についても、個人の習慣や希望を尊重すること。
  5. 生活全般において、入所者本人や家族と相談し、可能な限り自宅での生活と同様の暮らしを続けられるようにする。
  6. リハビリテーション及び機能訓練の実施については、本加算において評価をするものではないが、評価に基づき、必要な場合は、入所者本人や家族の希望も確認して施設サービス計画の見直しを行う。
引用:令和3年度 下関市介護保険サービス事業者集団指導|下関市

いずれにおいても入所者本人と、その家族の意向を尊重し、入所者ごとに個別の計画を立てることが重要です。また、入所者の尊厳を守ることを目的とした加算のため、ポータブルトイレや機械浴の使用はNGとなっています。ひとりでも特別浴槽を使う入所者がいた場合は、算定できなくなるので注意しましょう。

LIFEへ提出してPDCAサイクルを回す

支援計画を作成したら、LIFEへ情報を提出します。提出が必要な情報は以下のとおりです。

  • 評価日
  • 計画作成日
  • 現状の評価と支援計画実施による改善の可能性
  • 支援実績

上記の情報は、計画を策定した月の翌月10日までに提出が必要です。

その後は実際に取り組みを実施して、経過をチェックします。計画の見直しは3カ月に1回の頻度で必要です。LIFEのフィードバックを活用して計画を見直し、また実行に移すというPDCAサイクルが基になるということを留意しましょう。

さらに、6カ月に1回は医師のアセスメントを再度実施しなければなりません。入所者との日々の何気ない会話などから要望や価値観を汲み取り、計画に反映させている施設もあります。

このように計画の作成(Plan)、実施(Do)、取り組み後の評価(Check)、計画の見直し(Action)を繰り返すことで、より入所者に合ったケアプランにアップデートすることができます。

自立支援計画書とその具体例

自立支援計画書には以下のように、4つの項目においてそれぞれ計画を記載する必要があります。

自立支援計画書
引用:別紙様式7(自立支援促進に関する評価・支援計画書)|厚生労働省

たとえばADL動作に関しては、定期的にベッドから起きてもらうよう促す取り組みなどが考えられます。ただし、支援計画ではただ起き上がってもらうだけでなく、その後に何を行うかが非常に重要となります。入所者同士で話す機会を作ったり、趣味を楽しめる時間につなげたりなど、入所者の希望を配慮した計画にすることで、その人らしい生活へとつながっていきます。

また、個別の計画を立てるには、食事の際の習慣や好みなどを把握することも大切です。それぞれの起床時間に合わせて食事の時間を設定したり、食事の内容を選べるようにしたりなどの工夫を行っている施設もあります。

参考:令和3年度老人保健健康増進等事業「介護現場での自立支援促進に資するマニュアル作成事業」

体制を整えて自立支援促進加算を算定しよう

入所者が自立した生活を送れ、寝たきりなどを防止する目的で新設された自立支援促進加算。算定するにはLIFEの活用や、医師をはじめとした多職種との連携が必要です。特にLIFEを用いて記録などをICT化することによって、適切な情報共有をもとに入所者ごとに必要な機能訓練の位置づけや自立支援のためのケアができるようになります。

ただし、LIFEへの入力作業などで業務量が増える可能性のある加算なので、あらかじめ体制を整えることが重要です。令和3年度介護報酬改定に関するアンケート結果では、算定事業者が工夫して取り組んだこととして「事前の情報収集に力を入れる」「記録用紙の書式を変更して業務効率化を図っている」などが挙げられています。算定を目指す施設は、他施設の取り組み事例などを参考に、まずは現場の環境を整えることから始めましょう。

参考:令和3年度介護報酬改定に関する アンケート結果|独立行政法人福祉医療機構

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