介護事業のコンプライアンス~介護のプロとして~

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介護事業のコンプライアンス~介護のプロとして~

介護サービス事業の運営につき、遵守しなければならない法令がいくつか存在します。資格の有無、経験年数問わず、介護の世界で働くということは、介護のプロとしての自覚と責務が必要です。入職時や法令遵守研修の際にご活用いただけたら幸いです。

遵守すべきこととは

遵守すべきこととは

以下には、介護サービス事業を運営する上での基本中の基本であること、介護のプロとして、特に遵守しなければならないことを示します。

(1)高齢者虐待はいかなる理由があっても絶対に行わない

虐待はいかなる理由(瞬間的な感情に起因するものも含む)があっても認められません。

高齢者虐待は下記5つに分類され、これらの行為を行った場合、「人格尊重義務違反」として会社および管理監督者などに行政処分が下される可能性があります。


  1. 身体的虐待…殴る、蹴る、小突く、叩くなどの身体への暴力
  2. 心理的虐待…叱る、無視、舌打ち、抑圧的な態度で接するなど
  3. 性的虐待…性的な行為やその強要、冗談、裸で放置するなど
  4. 経済的虐待…利用者の金品の搾取など
  5. 介護や世話の放棄・放任 …必要なケアの放棄など

(2)原則、身体拘束は行わない

身体拘束に関する研修を積極的に受け、介護技術や知識の向上に努めます。また、利用者に対する行為が身体拘束に該当しているのか、そうでないのか、日々のサービス提供の中で職員同士が積極的に意見を出し合い、身体拘束ゼロを目指します

仮に身体拘束を実施する場合は緊急やむを得ない場合に限り、下記の三要件に則り、ご利用者又はご家族の同意を得た上で必要最小限の範囲で実施します。


三要件

  1. 切迫性 …直ちに身体拘束を行わなければ、利用者本人または他人の生命・身体に危険が及ぶことが考えられる場合に限ります。
  2. 非代替性 …身体拘束以外に、利用者本人または他人の生命・身体に対して危険が及ぶことを防止することができない場合に限ります。
  3. 一次性 …利用者本人または他人の生命・身体に対して危険が及ぶことがなくなった場合は、直ちに身体拘束を解きます。

(3)医療資格の無い者による医療行為は決して行わない(医師法、保健師助産師看護師法違反)

医師、看護師などの医療に関する免許を有しない者による医療行為の実施は絶対に行いません。一部、介護職員で行うことのできる行為についても拡大解釈することなく、必ず事前に研修および反復訓練を行い、看護職員にその結果について報告・相談することにより安全に行うこととします。

万が一、職員により医師法や保健師助産師看護師法違反が行われた場合は、法人として罰せられる他、高齢者虐待とみなされ、人格尊重義務違反として行政処分も下されることになります。

(4)ご利用者やご家族の個人情報を厳重に管理し、適切に使用する

利用者やご家族の個人情報については「個人情報の保護に関する法律」および厚生労働省が策定した「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取り扱いのためのガイダンス」を遵守し適切な取り扱いに努めます

(5)不正請求や虚偽の申請(新規指定や指定更新、運営指導(旧実地指導など)による改善報告など)は行わない

不正請求や虚偽の申請が行われた場合、行政処分が下されることもあります。

(6)介護事故や法令など違反によりご利用者の処遇に影響を及ぼした場合、又はその可能性や苦情が発生した場合、適切に行政(ご利用者の保険者)および会社に報告する

転倒・転落・誤薬・誤嚥などの介護事故、上記(1)~(5)に反する行為により利用者の処遇に影響が出た場合、およびその可能性や苦情が発生した場合は、適切に指定権者(場合により利用者の保険者も含む)および会社に報告します。その他の法令など違反についても適切に会社に報告し指示を仰ぐこととします。

上記でご紹介した6つの項目は、最低限遵守すべきことであり、介護保険法その他の法令などは当然守らなければなりません。(1)(3)(5)以外にも介護保険法の運営基準に違反する行為があれば行政処分が下されることもあります。

適切な事業運営のために自身を振り返ることも重要

適切な事業運営のために自身を振り返ることも重要

組織の一員である以上、「報告・連絡・相談」を適切に行う必要があり、これは事業運営の要でもあります。

上司・同僚・部下問わず、言動が乱暴であったり、話しかけにくい雰囲気を出していると、他の職員は「報告・連絡・相談」を行いにくくなりますので、自身の言動にも気を付けましょう。

また「ハラスメント(セクハラなどを含む)」は風通しの良い職場環境の障害です。

セクハラ・パワハラに代表されるハラスメント行為は、意外に身近な場所に潜んでいるもの。 第三者から見て明らかな場合もありますが、当人にはそのようなつもりがなくとも、受け取る側が不快感・苦痛を覚える場合もあります

気づきの共有、日頃より注意しあえる環境が望まれますので、施設・事業所全体で取り組み、適切なコンプライアンス体制で業務遂行が出来るようにされてください。

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