職場内教育(OJT:On the Job Training)は、日常の仕事の中で教育・指導を行うことにより実践力を高める目的があります。
コロナ禍においてもご利用者だけでなく、職員も体温や風邪症状がないか等、体調確認を徹底されておられると思います。
今回は、『職員へのOJT~バイタルサインからみる高齢者の対応~』についてご紹介しますので、皆様のサービスの質の向上にお役立て頂けたら幸いです。
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目次
バイタルサインとは
生命兆候。生きていることを示すしるしです。
狭義では体温、呼吸、脈拍、血圧を指し、広義には意識・精神状態、食欲、排尿・排便、睡眠、神経反射なども含みます。
バイタルサインの異常と対応
意識状態
正常な意識状態
表情があり、外界の刺激を認識、判断し、喜怒哀楽の表現がある。
観察のポイント
①意識の有無の確認
- 名前を呼び、返事があるかどうか。(呼名反応の有無)
- 肩を軽く叩き、名前を耳元で呼び反応をみる。(刺激による反応)
②大きな鼾をかいた様な呼吸があるか
③頭痛、吐き気、嘔吐の有無
④失禁の有無など
⑤既往歴の確認
- 脳梗塞、脳出血などの既往の有無
- 糖尿病、心疾患の既往の有無
対応方法
①呼名にはっきりした返事がみられない、いつもと何となく様子が違うと感じた場合は
- 体温、脈拍、呼吸、血圧などの測定を行い、看護師に報告する。
- 明らかに異常な状態の場合は、即刻看護師に報告する。
血圧の状態(高齢者のめやす)
正常値 最大血圧130~140mmhg
最小血圧 70~80 mmhg
異常値 血圧最大160~180 mmhg以上
または最大血圧 90 mmhg以下
観察のポイント
①変動値の確認
普段の血圧に比べ高い、または低過ぎないかどうか。
②自覚症状の有無の確認
頭重患、頭痛、重い肩こり、後頭部から頚部にかけての重苦しさ
- めまい、吐き気など
- 手足の動きがいつもと異なる
- ろれつが回らない
③低血圧(最大血圧が90mmhg以下)
対応方法
①血圧は高い(低い)が自覚症状の無い場合は
- 安静にし、看護師に報告する
- 入浴は看護師の指示を確認する
②自覚症状がある場合
- 安静にし、看護師に報告する
- 血圧や脈拍、体温、呼吸の測定を行う
- 衣服を緩め、楽に呼吸ができるような姿勢で安静にし、指示を待つ
体温の状態
正常値
腋窩の体温 36.0℃~37.0℃
個人差、日内変動あり、日々の体温を把握しておく
観察のポイント
①微熱37~37.5℃
- 口唇の乾燥、口腔内粘膜の乾燥の有無
- 前腕の皮膚をつまんで離したとき、なかなか皮膚が戻らない(ハンカチーフサイン)これらの状態が見られた場合、脱水の疑いがあります。
②有熱37.5℃~38.5℃
- 悪寒の有無、咳の有無、関節痛、排尿時の疼痛、尿の混濁の有無、その他発熱に伴う症状の有無
③高熱38.5℃以上
- 悪寒の有無、発汗の有無、その他発熱に伴う症状の有無
対応方法
①微熱の場合
- 一日の水分摂取量のチェック(一日の必要量:主に1,500~2,000ml)
- スポーツドリンクの飲水(糖尿病の方にはローカロリーのものを使用)
- 悪寒のある場合には保温に努める
②熱感著しい場合は必要により氷枕を使用
脈拍の状態
正常な脈拍
- 頻脈 一分間に100回以上
- 除脈 一分間に50回以下
- 不規則なリズム、間が抜けるような脈
- 脈拍が弱く触れにくいか、測定困難
*心臓が一回血液を押し出すと、脈拍は一回触れます。
観察のポイント
①自覚症状の有無
- 胸が苦しい
- 脈が乱れている、測定しても良く分からない(不整脈)
- 背中、肩、胃、胸の痛みや締め付けられるような痛みの有無
②全身状態
- 顔色不良の有無
- 発汗の有無
- チアノーゼの有無
- 脱力感や虚脱感
③自覚症状は無いが測定上、脈のみだれがあり、軽減しない
対応方法
①脈の異常、胸の苦しさを訴える場合、安静にし、看護師に報告。衣服を緩め呼吸が楽な体位にする(ギャッジアップ30度程度)
②家族へ連絡し、受診の相談をする
③苦痛の訴えが無く、普段と変わらない状態の場合は、看護師に報告するとともに経過を軽時的に観察する。随時ご家族への報告を行います。
呼吸の状態
正常値
呼吸数1分間15~20回胸式呼吸:胸がよく上下する
腹式呼吸:お腹がよく上下する
胸複式呼吸:胸とお腹がほぼ均等に上下している
観察のポイント
①呼吸が苦しそうである、または、苦痛を伴った表情がある
②呼吸が早く、浅い
③呼吸が遅い、時々止まったように見える
④喘鳴、ヒュー音がある
⑤口唇、爪にチアノーゼがある
⑥意識がボーとしている
⑦鼾様呼吸の有無
対応方法
①看護師へ報告し、指示を受ける
②呼吸がしやすい体位にするギャッジアップ30~45度
③意識障害がある場合、気道を確保する体位をとらせる(枕をはずし、顎を突き挙げた状態にする)
緊急時のバイタルサインの確認法
まとめ
バイタルチェックの必要性は、一般的な正常値や、ご利用者の普段の状態(数値)を知っておくことで、異常を測る客観的な目安になります。行う上でのポイントは、測るだけでなく、記録し、必要に応じて、ご家族や医療機関へ報告することが大切です。今回ご紹介をした内容をご参考に、 施設や事業所全体で、適切なバイタルサインの確認と速やかなご対応が出来るように周知徹底をされて下さい。