介護施設で外国人労働者を採用する方法4つ・メリットとデメリット

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介護の外国人労働者の採用方法4選! 制度とメリット・デメリットを徹底解説

厚生労働省が公表したデータによると、2025年には介護人材が約32万人不足するといわれています。外国人労働者を受け入れることで、深刻化する人材不足を解決するきっかけになると考えられます。

この記事では介護施設で外国人労働者を受け入れる方法として、4つの制度について解説します。あわせて外国人労働者を受け入れるメリットとデメリット、雇用時の注意点などもまとめました。


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介護施設における外国人労働者の現状や割合

介護施設で外国人労働者を受け入れる制度は全部で4つあり、在留者数はそれぞれ以下のように推移しています。

【制度別の在留外国人の推移】

制度別の在留外国人の推移のグラフ
グラフは厚生労働省「『経済連携協定に基づく受入れの枠組』受入れ人数の推移」、出入国在留管理庁 「令和5年6月末現在における在留外国人数について」、外国人技能実習機構「職種別 技能実習計画認定件数(構成比)」、出入国在留管理庁「特定技能在留外国人数の公表 特定技能在留外国人数」をもとに、当社にて加工

制度ごとに増減はあるものの、総数から外国人労働者が年々増加していることがわかります。特に増加傾向にある制度は、特定技能「介護」です。令和3年には、在留者数が前年の約5.5倍にも増えています。

【外国籍労働者の受け入れ状況(介護保険サービス系型別) ※複数回答可】

外国籍労働者の受け入れ状況(介護保険サービス系型別) ※複数回答可
出典:令和4年度「介護労働実態調査」結果の概要について|公益財団法人介護労働安定センター

公益財団法人介護労働安定センターの「令和4年度 介護労働実態調査」によると、実際に外国人労働者を多く採用しているのは、入所系介護サービスでした。特に技能実習生と特定技能「介護」の割合が高い傾向にあります。一方で通所型サービスや訪問系サービスは外国人労働者の割合が低いことがわかります。

今後も介護現場での外国人採用は活発化していくことが予想されます。採用方法に関する情報を早めに理解しておきましょう。

【完全ガイド】外国人介護人材の受け入れ・指導・注意点

外国人労働者を受け入れる4つの方法とは?制度の違いを解説

この章では外国人労働者を受け入れるための4つの制度について、詳しく解説します。

【外国人労働者の受け入れ方法】
  資格 在留期間
EPA(経済連携協定) 無し 4年
在留資格「介護」 介護福祉士 制限なし
技能実習 無し 5年
特定技能「介護」 無し 5年

それぞれ制度の目的や在留年数、対応できる業務などに違いがあるため、よく理解して選ぶことが重要です。

EPA(経済連携協定)

EPA(経済連携協定)は、2ヶ国同士の経済連携を目的とした制度です。対象となる国はフィリピン・ベトナム・インドネシアの3国で、いずれの場合も外国人労働者は介護福祉士候補者として入国し、介護福祉士の資格取得を目指します。厚生労働省によると、第35回介護福祉士国家試験における介護福祉士候補者の合格率は65.4%です。年々合格率は高まっています。

制度の目的 国際連携の強化
資格の有無 入国時は
※介護施設で3年以上就労後、もしくは介護福祉士養成施設に2年以上通ったのち、国家試験の受験義務が生無しる
日本語能力の要件 インドネシア・フィリピン:N5以上
ベトナム: N3以上
在留期間 4年
※国家試験に不合格だった場合は、一定の条件を満たす方のみ1年滞在期間を延ばすことができる
事業所の要件 介護保険3施設
認知症グループホーム
特定施設
通所介護
通所リハ
認知症デイ、ショートステイ
など
※在宅サービスは不可
対応できる業務 受入れ施設における介護業務全般
※雇用後6ヶ月以降は夜勤可

在留資格「介護」

在留資格「介護」は介護福祉士養成施設を卒業し、介護福祉士の資格を取得した人材が得ることができる在留資格です。国家資格を持っているため、在留期間や対応できる業務に制限がありません。喀痰の吸引など一部の医療ケアも行うことができます。採用後、すぐに配置基準に含められるなど、企業側にメリットの多い在留資格といえます。

制度の目的 就労
資格の有無 介護福祉士
日本語能力の要件 必須要件はなし
※介護福祉士の資格取得時点でN2以上の日本語能力がある場合が多い
在留期間 最長5年
ビザの更新回数に制限なし
事業所の要件 制限なし
対応できる業務 制限なし

技能実習

技能実習は、外国人労働者が日本で得た技術を自国に持ち帰り、経済発展を図る目的で創設された制度です。そのため技能実習生を安価な労働力として考えるのは不適切で、経験させる業務が定められていることや、数年ごとの試験のサポートが必要な点などをよく理解しておく必要があります。

制度の目的 技術移転
資格の有無 無し
日本語能力の要件 N4程度
※N3以上が好ましい
在留期間 5年
事業所の要件 介護を主たる業務として行う、設立から3年以上経過している事業所
※訪問系サービスは不可
技能実習指導員の配置が必要
対応できる業務 食事・入浴・排せつ・身支度などの介護と、その関連業務
器具の管理などの周辺業務や安全衛生業務など

ただし、技能実習生を低賃金で働かせたり、長時間労働を強いたりなどによるトラブルが相次いでいることを受け、政府では技能実習制度の廃止も視野に入れています。現在、外国人労働者の育成を目的とした新制度が議論されている段階です。

特定技能「介護」

特定技能「介護」は、外国人労働者の受け入れ制度のうち、もっとも新しい制度です。人材不足が著しい分野を対象に、専門知識や技能を持つ外国人労働者を受け入れる制度として創設されました。企業側は外国人労働者が日本で安定的に働けるよう、支援計画を立て実行する必要があります。この支援業務は登録支援機関に委託することができます。

制度の目的 人材不足の解消
資格の有無 無し
日本語能力の要件 日常生活や、介護業務を遂行するうえで支障がない程度
在留期間 5年
事業所の要件 介護を主たる業務として行う事業所
※訪問系サービスは不可
労働基準法や、社会保険に関する法令を遵守していること
対応できる業務 食事・入浴・排せつなどの身体介護と、レクリエーションや機能訓練などの関連業務

外国人労働者受け入れのメリット

介護現場において、外国人労働者を採用するメリットは、やはり人材不足の解消です。外国人労働者が年々増加傾向にあることから、人材を獲得できる可能性は高まっているといえます。若い人材や男性の外国労働者も多いため、体力が必要な介護現場において頼もしい人材を採用できるチャンスもあります。特に在留期間に制限のない在留資格「介護」の資格を持つ人材を確保できれば、長期雇用も可能です。

さらに首都圏だけでなく、地方で雇用されている実績もあることから、採用で苦労している地方でも、人材を確保できる可能性が高いといえるでしょう。

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外国人労働者受け入れのデメリット

一方で外国人労働者を採用するデメリットとしては、外国人労働者を受け入れるための事前準備や、出入国管理庁への手続きなどが必要であることです。制度の内容をよく理解し、採用前後の業務を整理したうえで雇用しないと、現場の負担ばかり増えてしまう可能性が考えられます。

また、母国後が異なるため、コミュニケーションの難しさも課題の1つです。業務を覚えてもらうための指導や教育に時間を要する可能性があります。採用後の負担を減らす方法として、外国人労働者が理解しやすいマニュアルをあらかじめ整備しておくことも1つの手です。

外国人労働者雇用時の注意点

外国人労働者と日本人スタッフでは、言語や文化、宗教などさまざまな面で違いがあります。言葉の受け取り方も異なってくるため、ちょっとした言葉遣いが差別やパワハラにならないよう十分気をつけなければなりません。介護業界での件数は非常に少ないですが、働きづらさを感じた外国人労働者が突然失踪してしまうケースも報告されています。

外国人労働者をスムーズに受け入れるには、指導方法や業務マニュアルの整備など事前の準備が重要です。たとえば業務に必要な日本語を教育する研修を計画したり、外国人にもわかりやすいよう写真付きのマニュアルにしたりなど、さまざま面で工夫ができます。

同時に日本人スタッフへの教育も必要です。外国人労働者とのコミュニケーションのコツや、指示の出し方などを共有するとよいでしょう。円滑な人間関係が築ければ、現場の生産性も高まります。

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受け入れに必要な3つの支援

外国人労働者が活躍するために必要な3つの支援について、厚生労働省の資料から具体例を抜粋し、紹介します。

職場での定着支援

まずは職場での支援が必要です。外国人労働者が働きやすい環境を作るためにも、受入れの目的について事業所内で共通認識を持っておきましょう。たとえばEPAと特定技能「介護」ではそもそも制度の目的が違います。前者は国際貢献の意味合いが強く、後者は人材不足の解消を目的とした制度です。なぜ外国人労働者を採用したのか事前に職員へ周知しておかないと、お互いにとって働きにくい場を作る原因となってしまいます。

また、職場での挨拶の仕方や業務に必要な「報・連・相」の仕方など、基本ルールもしっかり教えましょう。利用者の生活を支えるために食事のマナーや、入浴文化など日本ならではの習慣について最初に教えておくことで、業務の理解度も高まります。

生活基盤を整える支援

仕事場だけでなく、普段の生活に対する支援も重要です。たとえば外国人労働者が自力で住居を借りることが難しい場合は、契約の場に同行するなどのサポートを行います。そのほか住民登録など公的制度の手続き、携帯やインターネットの契約などに関しても支援が必要です。

さらに日本で生活するために必要なマナーやルールについても教えましょう。交通ルールやゴミ出しの方法、トイレの使い方、病院へのかかり方などについて情報を提供します。慣れない地で心身の体調を崩してしまう場合もあるため、こまめな声かけやケアも欠かさないようにしましょう。

地域社会になじむ支援

地域との関係性が構築できると、外国人労働者はより生活しやすくなります。介護施設に地域住民を招いてイベントを行う際に、外国人労働者を紹介する機会を設けるなど、地域との関わりができるよう働きかけましょう。

外国人労働者が家族と一緒に入国した場合には、家族への支援も必要です。外国人労働者の家族を招いて日本語教室を開催したり、日本人職員の家族と交流の機会を持たせたりなど、さまざまな方法があります。

制度を理解したうえで外国人労働者を採用しよう

日本で外国人労働者を受け入れる制度は、現時点で4つあります。それぞれ制度の目的や在留期間などが異なるため、制度の違いについて理解したうえで、事業所に必要な人材を見極めることが大事です。

また、外国人労働者を受け入れることはメリットだけでなくデメリットもあり、事前の準備や採用後の支援などが必要です。特定技能「介護」の受入れを検討している事業所は、外国人材の定着サポートまで行うスタッフプラスにぜひ一度お問い合わせください。

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