介護の夜勤経験者が集まると「この前、職場の夜勤でこんなことがあって…」という話をきっかけに「うちの職場でもよくある~」と、「あるある」ネタで盛り上がることも多いと思います。
「あるある」ネタはその状況が分かる喜びや仲間意識が、何ともいえない満足感が得られたり、誰かと同じ経験をしていることに安心感を覚えるたりすることもありますよね。
夜勤は介護士の大切な仕事ですが、体力的にも精神的にもハードです。そんな夜勤を乗り切るために、介護職17年のベテラン介護士が、夜勤における介護士のリアルな「あるある」をお届けします。
目次
夜勤あるあるが見たくなる心理
介護士をしていると、不規則なシフトや夜勤が重なったときなど、仲のいいスタッフとすれ違いになることが多いものです。日々の出来事や愚痴、傑作ネタを「誰かと共有したい!」と思っても、共有できずにモヤモヤしているという方も多いのではないでしょうか。夜勤あるあるを見ることで、「そうそう」「あるある」と納得してストレスをの発散したり、自分の経験を共有したりすることで、気持ちがすっきりします。
また、これから介護職に就いてみたいと考えている方の中には、普段はなかなか知ることのできない夜勤のリアルを知りたい人も多いはずです。夜勤あるあるでは、介護士の本音や仕事への姿勢を垣間見ることができるので、これをきっかけに介護福祉士の仕事に関心を持ってもらえるかもしれません。できるでしょう。
夜勤あるある6例
夜勤のリアルは一般的にあまり知られていないため、「利用者さんが寝たら、あとは事務仕事やコール対応でのんびりできるのかな」なんて思っている人がいるかもしれません。ところが、実際にはけっこうな肉体労働で、バタバタと色々なアクシデントやドラマが起きているものです。そんな夜勤のあるあるを見てみましょう。
ふだん感じの悪い同僚とちょっとだけ仲良くなる
たくさんのスタッフがいる職場では、そりが合わない同僚や、ちょっと近づきにくい先輩がいるのも仕方がないことです。そんな相手でも、夜勤のときには力を合わせて働くしかありません。夜勤をすると、日勤帯だけでは分からない、その人の素の部分が見えやすいもの。
夜勤が2人体制の施設もたくさんあるので、プライベートな話や本音がポロリと聞けることもよくあります。声を掛け合って仕事をしたり、一緒に夜食を食べたりするうちに、「感じ悪いと思ってたけど、意外といい人かも……」なんて思えてくるから不思議なものです。文字どおり『一夜を共にした仲』というわけです。
子育てママに人気。効率がいい金曜日の夜勤入り
子どもが保育園や小学校に行っていると、土日に行事が入ってしまうことが多いですよね。そんなときは、休み希望を出して行事に参加することになります。
ときには、子供会や習いごとの行事で、びっしり土日の予定が埋まってしまう月も出てきます。まして、兄弟がいるとなると、もはや休み希望をいくつ出しても足りないことに……。
そんな問題を解決するのが金曜日の夜勤入りです。2交代制の夜勤ならば、土曜日の朝には家に帰ることができて日曜日は完全休み。週末の行事にきっちり参加できるので、子育てママにとっては最高のシフトといえます。
家族と過ごす時間が増えるのもありがたい限りです。ただし、本来体を休めるために使う明け休みでフル稼働することになるので、ほどほどにしないと体がもたなくなってしまいます。
みんなが夜勤嫌いと思ったら大間違い
色々と夜勤の大変さばかりに触れていると、介護の仕事をしたことがない人は「夜勤って大変。きっとみんなイヤイヤやっているんだろうな」と思うかもしれません。
しかし、そんなことはありません。夜勤は、ある意味「マイペースに仕事をしやすい」環境です。日中の喧騒の中、たくさんの専門職や事務職員と一緒に働くよりも、静かな中で淡々と集中して仕事をするほうが向いている人もいます。
また、5千円~1万円程度の夜勤手当がつく施設が多く、稼ぎたい人は喜んで夜勤を引き受けてくれるものです。『夜勤専従』の求人を出している事業所がないか、密かにチェックしている若いスタッフも少なくありません。
いつも特定のスタッフの夜勤が大荒れ
朝の申し送りで「夕べは大変でした」アピールをするのは、いつも決まったスタッフ。申し送りを受ける日勤帯のスタッフも「そうなんですね~」と聞いてはいるものの、「またあの人の夜勤は荒れたらしいよ」と噂になることもしばしばです。
トラブルが多発するのは、「夜勤者に何か原因があるのでは?」と思われてしまう場合も。仕事ができて評判のいいスタッフほど、「夕べは皆さんよく眠ってくれて、特に何もありませんでした~」と余裕で帰っていくものです。
静かな夜勤ほど油断できない
夕方、日勤者からの申し送りは「皆さん落ち着いてます」だったはずなのに……。そういう日の夜勤に限って事故や急変が起きるもの。
転倒して骨折したり、突然の心停止があったり、介護の仕事をしていれば一度は経験することですが、アドレナリン全開で対応することになります。ですから、日勤帯で入居者さんが落ち着いていようがいまいが、夜勤者は緊張感を持って仕事を始めるのです。
大晦日の夜勤に福あり
介護施設は、24時間365日の勤務体制。当然ながら大晦日や元旦も勤務に当たることがあります。世の中が年越しムードの中、ひとり出勤するとどこか自分だけズレてしまうような気持ちになりますよね。
そんな大晦日の夜勤入りですが、不思議と入居者さんたちは落ち着いていることが多いものです。入居者さんの中には、お正月はご家族と過ごすために外泊する人もいるので、チラホラ空き部屋があるので排泄介助や食事介助が楽になります。それに、なんといっても人数が少ないと気持ちがずいぶん軽くなります。
施設によっては、入居者さん用の年越し&元旦メニューが検食で食べられる、なんてこともあるのです。年末年始の特別手当もしっかりもらいながら、大晦日の夜勤から帰れば元旦と2日はゆっくりすることができるのでいいこと尽くしです。
夜勤明けあるある4例
重い責任がのしかかる夜勤。空が白み始める頃にラストスパートが始まります。夜勤明けのあるあるはまさに泣き笑いです。笑えるものから痛々しいものまで詳しく見てみましょう。
明け方は早番の出勤にホッとする
朝イチの洗面介助や排泄介助は大仕事。そもそも少ない人数の夜勤者は、徐々に活動を始める入居者さんたちにエンジンフル回転で対応します。
特に体調不良の利用者さんがいると、「なんとかこのまま日勤帯に引き継ぎたい」の一心で介護しているものです。そんなとき、「おはようございま~す」と出勤してくる早番スタッフの神々しいこと!まさに救いの神に見えてしまいます。
夜勤明けの解放感は本当に格別
夜勤者が帰る頃には午前の業務が始まり、施設が忙しく動き始めます。そんな日勤帯のスタッフを尻目に「お疲れさまでした~」と帰る解放感は最高です。
特に、居室移動や大きなイベントで施設が大忙しの日は、帰る資格があることに優越感を感じてしまう自分がいるものです。この時間は、『ナチュラルハイ』になる夜勤者が続出します。
帰宅後もナースコールの音が聞こえる
施設を出た後や帰宅してシャワーを浴びているとき、『ビー、ビー…』とナースコールの音が。
介護の仕事に対する責任感からなのかもしれません。聞こえるはずがないことを頭では分かっていながらなぜかムダに反応してしまう、介護士の悲しい性です。
帰宅後、うっかり忘れてきた仕事に気づく
家に帰って空いた小腹を満たし、布団に入ろうとすると「〇〇さんのツメ、切ってほしいっていわれてたんだった」、「夜勤の水分量、カルテに記録し忘れた」など、うっかり忘れてきた仕事に気づきます。電話して申し送ろうか、メールを入れようか考えながら、泥のように眠ってしまうことも……。
すぐに気づくときはまだいいのですが、次の勤務まで気づかず、あとで先輩からヌケを指摘された時の「しまった!」というショックは大きいですよね。新人のうちはドキドキしながら出勤したものです。
共感してストレスを発散しよう
夜勤では想定外のことも起きて責任も重いですが、とびきりの達成感と解放感を味わえる勤務です。夜勤または夜勤明けあるあるを読んで、「そうそう、そうなんだよね」とスカッとできましたか?
あなたが味わっていることは、介護士の多くが感じていることでもあるのです。明日から、また頑張っていきましょう。