満足できる介護転職を実現するためにも、「自己分析」が必要です。なぜ自己分析をすることが転職に役立つのか、また、どのように自己分析をできるのかについて解説します。
転職の際に利用できるサービスについても紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
目次
転職の際の自己分析とは?
自己分析とは、自分の適性や動機を知る行為です。介護職における過去の経験や印象に残っていること、思ったこと、また、介護職を離れた過去の経験や人生を左右する印象的なことなどを振り返っていきます。
分析により、自分が何に興味を持ち、どのような仕事をしたいと考えているのかが明らかになっていくでしょう。そして、どのような職場、あるいはどのような働き方、職種ならば自分の興味やしたいことができるのか絞り込んでいきます。
転職に自己分析が必要な理由
過去を振り返り自分の考えや価値観を整理するために自己分析を行いますが、転職前に自己分析することで得られる具体的なメリットを3つ紹介します。
自分に合う職場を見つけやすくなる
自己分析により、自分がどんな職場を求めているのかが明らかになるため、合う職場を見つけやすくなります。自分に合う職場なら長く働くことができるので、落ち着いた環境でキャリアを積み重ねていけるでしょう。
面接時にスムーズに答えやすくなる
自己分析により、介護への思いや自分の長所・短所を明らかにすることで、面接時の質問にもスムーズに答えられるようになり、志望動機や自己PRも明確に伝えることができるでしょう。スムーズな答えは面接官に好印象を与えるため、希望する職場に入職しやすくなります。
今後のキャリアプランにも役立つ
自己分析をすることで、転職してどのようなスキルを身につけたいか、今後どのような働き方をしたいのか、また、どんな資格を取得したいのかについても明らかになります。今後のキャリアプランを作成するためにも、自己分析は役立つといえるでしょう。
介護転職前の自己分析4つのステップ
転職に成功するためにも、また、今後のキャリアプランを作成するためにも、しっかりと自己分析をしておきましょう。自己分析は次の4つのステップで行うとスムーズに進みます。
自己分析STEP1:これまでの経験を整理する(キャリアの棚卸)
まずノートを広げ、これまでの経験や得られた知識を書き出します。時系列で振り返ると漏れがなくなるため、自己分析の精度を上げることができるでしょう。
経験が浅く、あまり振り返るような出来事がない場合には、仕事以外の得意なことや経験の中から印象的なものを書き出してください。例えば、次のように書いてみましょう。
時期 | イベント | 印象的なこと、経験、知識 |
2013年8月:高校2年生 | 祖母が特養に入所 | ・ケアマネジャーが親身に対応してくれた ・介護士たちの親切さにより、祖母の表情が徐々に豊かになってきた ・介護士などの職種に興味を持つ |
2015年4月~:専門1年 | 入学式 | ・校長先生の話に感動。頑張って人々を笑顔にする介護士になりたい |
初めての実習 | ・教科書どおりには行かない、介護は難しいと落ち込む | |
2016年4月~:専門2年 | 最後の実習 | ・入所者さんに「頑張れ」と言われた ・励ましたい人に励ましてもらって涙が出た ・絶対に心のこもった介護をする介護士になる |
2017年4月~:A施設 | 初めての夜勤 | ・いつもとは違う雰囲気に緊張する ・眠れない利用者さんが意外と多いことに気付いた |
看取り | ・いつも穏やかなCさんが亡くなった ・あまりにも静かな死に何を言って良いのか分からなかった ・ご家族の思いを汲んであげられなかった気がする。Cさんにも満足できる対応ができなかった気がする | |
2020年10月~:B施設 | 転職 | ・夜勤のない職場で働いてみようと転職した ・ベテランの介護士が多く、勉強になることが多い |
自己分析STEP2:自分の強みを整理する
出来事や感じたことを書き出してから、今まで得意と感じてきた仕事や苦手意識のある仕事についても書いてみましょう。自分で何が得意か分からないときは周囲の仲間に尋ねて、得意分野を言語化します。例えば以下のように書いてみましょう。
得意なこと | ・体位変換 ・利用者さんと仲良くなること |
苦手なこと | ・利用者さんに頼まれたこと(理容サービスの予約など)を忘れることがある ・食事の介助のペース配分 |
自己分析STEP3:利用者さんやご家族との思い出を振り返る
今まで出会ってきた利用者さんやご家族との思い出を振り返り、印象深かったエピソードを交えて書き出してみましょう。自分自身の介護観や価値観を明らかにすることができます。例えば以下のように書いてみましょう。
実習先のDさん | ・自分のことはあまり話さない人だったが、いつも私を気にかけてくれた ・介護福祉士の資格試験に合格したときは、涙を流して喜んでくれた |
A施設のEさん | ・目を合わせて話してくれるまでに2か月かかった ・優しい目をしていた ・とても気持ちのこもった言い方で「ありがとう」と言ってくれた |
B施設のFさんと娘さん | ・二人がそろうと、いつも口喧嘩ばかりしている ・別々に会うと、お互いを褒めている。例えばFさんと話すといつも娘さんの話題が出て、「誰に似たのか賢いんですよ」と嬉しそうに教えてくれる |
自己分析STEP4:どんな介護をしたいのか考える
これから、あるいは転職後にどのような介護をしたいのかを明確にしていきます。以下のように具体的なキャリアプランを立ててみましょう。
目指す介護 | ・一人ひとりに寄り添った介護をしたい ・利用者さん本人だけでなくご家族との関わりも大切にしたい ・看取りについて学びを深めたい |
具体的なプラン | ・訪問介護の仕事に転職する ・終末期ケア専門士の資格を取得する ・ケアマネジャーの資格を取得する |
転職の際に利用できるサービス
自己分析によりおおよそのターゲットが決まったら、いよいよ転職活動を開始します。介護業界での転職に活用できるサービスとそれぞれの特徴について見ていきましょう。
ハローワーク
ハローワークでも介護施設などの求人を扱っています。ただし、ハローワークは介護専門の転職サービスではないため、求人数が多いわけではありません。
また、窓口の担当者も介護職専門ではないため、介護職特有の悩みや相談へのサポートはそれほど期待できないでしょう。
転職サイト
取り扱いの求人数が一番多いのが、介護職専門の転職サイトです。給料等の条件の交渉や転職先の調査は転職希望者自身がしなくてはいけませんが、自分のペースで転職活動を進められる点が大きなメリットです。
転職エージェント
介護職専門のエージェントは転職サイトと比較して求人数は少ないものの、各施設や事業所のより深い情報を持っていることが多いのが特徴です。また、交渉や調査をエージェントにお任せできるので、手間をかけずに就活・転職活動をしたい方にはおすすめです。
しかし、エージェントのペースに合わせることになるため、自分のペースで活動できなかったり、エージェントからのメールや電話が多いと感じたりすることもあるでしょう。
自己分析で自分の適性を探ってみましょう
介護といっても施設や事業所の形態、またそれぞれ経営者の方針などによって働き方や仕事内容、雰囲気が異なります。自己分析で自分の適性や本当に求めていることを明らかにし、自分に合う転職先を選びましょう。