介護事業のコンプライアンス～法令遵守と理念・指針～

コンプライアンスは、根本に『公正・適切な企業活動を通じ社会貢献を行なう』という思想があります。介護事業を運営する上で、これを裏切る行為、例えば法の不備をつくような事や、倫理に欠ける行為を繰り返し行なえば、世間からの信用を失いかねません。

そのような事態にならないために、今回は『介護事業のコンプライアンス～法令遵守と理念・指針』をご紹介します。

皆さんの施設や事業所においての法令遵守研修の際にご活用頂けたら幸いです。

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コンプライアンスとは

まず、コンプライアンスとは「法令遵守」を意味する言葉です。介護業界で言えば、介護保険サービスを提供する指定事業者が介護保険法や同法に基づく命令（政令及び省令）を遵守しなかった場合、コンプライアンス違反となります。

そうならないために、例えば指定の取消処分等の事由になるような行為をしない、人員・設備及び運営の基準等を遵守する等が求められます。

このように、法令順守は大切な事ですが、果たしてそれだけを守っていればよいものなのでしょうか。

介護業務を例にとってみます。

・送迎の場面・・・道路交通法を守っているが、急発進・急ブレーキが多く乗車している利用者や周りを走行する車や歩行者に配慮していない

・介助の場面・・・ケアプランに沿ったサービスが提供されているが、利用者への声掛けが乱暴

このように、法令を守っていてもこのような危険行為を行ってしまえば利用者だけではなく世間の信頼を失いかねません。

『法令順守＋経営理念、倫理綱領・行動指針、社内規程・各種マニュアル、社会貢献の遵守』を広義のコンプライアンスとして認識し取り組むことで、社会からの信頼を得られる、企業の知名度を上げるといったメリットにも繋がります。

広義のコンプライアンスが大事とは言うものの、根幹となる法令を知らなければ取り組むことはできません。介護業界で働く皆さんに知っておいていただきたい法令とその概要をいくつかご紹介します。

介護が必要な状態になったとしても、自分らしさを尊重し、自立した日常生活を継続できることを目指す事が目的

老人は、多年にわたり社会の進展に寄与してきた者として、かつ、豊富な知識と経験を有する者として敬愛されるとともに、生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障されるものといった基本理念を持つ

高齢者の尊厳を守り、高齢者への虐待を防止するとともに、養護者を支援する施策を促進することで、高齢者の権利・利益の養護に資する事が目的

個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護する事が目的

人としての生活を保障する目的で、労働時間・休日・年次有給休暇等を含む、労働条件に関する基準

これらの法令は、お客様の自分らしさを尊重し、生きがいを持ち健康的に日々をお過ごし頂けるように取り組んでいくために欠かせないものです。また、介護サービスを行うためには、職員自身も人間らしく生活を送る法令を知っておく事が大切です。

本資料では、長時間労働の是正を中心とした、介護業界における働き方改革対応のための「就業環境の”見える化”」と「就業管理業務の”標準化”」についてお伝えします。

それぞれの事業所で進んでいく方向を定めたものをご紹介します。これらを念頭に置いて働く事で統率が取れ、よりよい介護サービスに繋がっていくでしょう。

「この会社の一番大事な言葉」であり、「全社員が常に念頭に置いて置く言葉」の事。何を大事にして働くべきか明確化されたもの。

企業活動を継続していく上で、重要な守るべき基準、それに基づき行動できる心。

正しい方向へとすすんでいく為の指針。適正事業運営の継続の為の心掛け。

これらの多くは、利用者や職員を守るために制定されているものです。法的拘束力がないからと言って無下にする職員が多ければ、事業所内で統率が取れず、良い介護サービスから遠ざかってしまうかもしれません。

『法令順守』という意味のコンプライアンス。決められているだけではなく、一人一人の職員が正しく意味が理解・行動しているかが要です。利用者、職員、他事業者といった利害関係者に対して、誠実に対応することが施設や事業所で出来るように、日頃の心掛けと確認をしていきましょう。