【介護事業所における災害対応】平時の対策~連絡体制の確立~

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【介護事業所における災害対応】平時の対策~連絡体制の確立~

令和3年度の介護報酬改定で、『業務継続に向けた取組の強化』として、全介護事業者を対象に業務継続計画(以下BCP)の策定等の義務化で、「感染症や災害が発生した場合であっても、必要な介護サービスが継続的に提供できる体制を構築する観点から、全ての介護サービス施設・事業所を対象に、業務継続に向けた計画等の策定、研修の実施、訓練(シミュレーション)の実施等を義務づける。」と明記されました。

BCPの策定には時間が要することを考慮し、3年間の経過措置が設けられ、完全義務化は2024年度からですが、策定に伴う災害マニュアルの見直しも必要になります。

今回は、「介護事業所における災害対応①平時の対策~連絡体制の確立~」についてご紹介します。平時からの準備が重要ですので、運営改善にご活用頂ければ幸いです。


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平常時の対策

地震や風水害等の大規模災害が発生した場合に備え、平常時において、対策を準備しておくことが大事です。

連絡体制の確立

□報告者は上席の連絡先をしっかり把握していますか。(例.管理者は上長の連絡先を知っているか?)

災害時の報告において正確性よりも迅速性が重要視されます。よって、「被害状況が確認できていない」という情報も重要な情報となります。

緊急情報は、どの手順で報告がされるのか、緊急時の連絡網を活用し、日頃からの確認が大切です。迅速性の観点から、情報は電話連絡により速やかに上長に伝えるべきですが、管理者に繋がらなかった場合はその上長へ、その上長に繋がらなかった場合はその上長へ組織図に合わせて報告が必要となります。

立地条件と災害予測

□施設の立地条件(環境)と、それから予測される災害を確認していますか。

施設の立地条件から、どのような災害の危険性があるのか把握しておくことが必要となります。何かしらの災害による危険性が予測される場合には、必ず市町村が作成する防災対策・避難マニュアル、ハザードマップ(*)等を入手し、確認を行って下さい。

*ハザードマップ・・・土砂災害、洪水、高潮等の自然災害に対して、被害が予測される区域および避難地・避難経路が記載されている地図のこと。

危険性を把握したら、以下の表を参考に対策をまとめたものを作成し、職員に周知をします。

(例)

特記すべき立地条件立地条件から 予測される危険性対策
北側に急な山がある。山崖崩れ 落石○防止用フェンス、ネット、壁などの設置の必要性の検討
○窓ガラス、書棚、戸棚などのガラス飛散防止対策 ⇒ガラス飛散防止フィルムでの補強
近くに海岸がある。 (約1km圏内)津波 洪水○災害発生時の情報源となるテレビ、ラジオの上階への確保
○1階事務所機能が不能となった時の支社との連絡方法の確認
○パソコン等が床置きの場合は浸水を考慮し机の上に移動

役割分担の決定

□災害時の役割分担を定めていますか。

各施設。事業所において、災害発生時の役割分担を具体的に定め、職員に周知しましょう。対応責任者(管理者)が不在の際に災害対応を迫られる場合もあるので、代行者を複数定めておく事が必要です。

役割分担を「班」で分け、班ごとのリーダーも選定します。災害時には統括責任者だけではなく、班ごとのリーダーも主導権を取れるように意識します。

<作成例> 役割分担表

サービス種別事業所数江戸川区の全介護事業所数に占める割合東京都の各サービス種別に占める割合
訪問系訪問介護13411.74%6.00%
夜間対応型訪問介護10.09%5.40%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護20.18%6.38%
訪問入浴介護100.88%4.57%
訪問看護615.35%5.36%
訪問リハビリテーション100.88%5.24%
通所系通所介護827.19%4.92%
地域密着型通所介護696.05%6.71%
認知症対応型通所介護141.23%3.72%
通所リハビリテーション161.40%5.73%
ショート短期入所生活介護211.84%5.97%
短期入所療養介護 介護老人保健施設100.88%5.75%
小多機系小規模多機能型居宅介護121.05%6.89%
看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)10.09%8.16%
福祉用具特定福祉用具販売191.67%6.26%
福祉用具貸与322.80%6.34%
居宅介護支援居宅介護支援16614.55%6.04%
グループホーム認知症対応型共同生活介護332.89%5.41%
有料老人ホーム特定施設入居者生活介護有料老人ホーム413.59%8.93%
軽費老人ホーム特定施設入居者生活介護 軽費老人ホーム
特養介護老人福祉施設191.67%5.93%
地域密着型介護老人福祉施設入所者生活介護
老健介護老人保健施設110.96%6.79%
介護医療院介護療養型医療施設2.32%
総計1,141

連絡体制の整備

□職員への緊急時連絡体制を定めていますか。

□災害時 緊急連絡先一覧を作成していますか。

□電話が使えない場合に他の連絡手段を定めていますか。

□ご利用者のご家族との連絡体制を定めていますか。

職員の安否確認および緊急招集が速やかに行えるよう、各施設、事業所において緊急連絡網を作成、緊急時の連絡体制を整備しましょう。職位別の連絡表ではなく、緊急時は施設・事業所までの所要時間別の連絡表を用意し、近い職員から駆けつけられる体制を整備しておく事が重要です。

緊急事態発生時に、市町村、消防その他防災関係機関等に対して、速やかに連絡・通報ができるよう、各施設・事業所で緊急連絡先一覧表を作成して下さい。

<作成例> 緊急連絡先一覧表

職種介護職(施設・通所系)
サービス形態特別養護老人ホーム
勤務地東京都 江戸川区 
都営新宿線「一之江駅」より徒歩で10分
応募資格初任者研修 / 実務者研修 / 介護福祉士
給与帯・賞与月給:234,200円〜
年収:2,810,400円〜
賞与:別途支給あり(業績による)
交通費別途支給
勤務時間早番/07:00~16:00
遅番/12:00~21:00
夜勤/21:00~07:00
※シフト制(休憩60分)
休日休暇月9日休(シフト制)
夏季・冬季休暇
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※緊急連絡先は、年に2回(3月、9月)、変更の有無を確認し、最新の状態に更新

職員への緊急時連絡において電話が使えない場合を想定し、携帯電話のショートメールの活用を検討しましょう。

災害時にご利用者から頂いている緊急連絡先の情報が合っているかが重要となる為、定期的に連絡先番号の再確認と、連絡先の追加及び削除の確認を行う事が必要と考えます。上記以外は災害発生時のご利用者のご家族への安否情報などの連絡方法を各施設・事業所にて事前に決めておき、ご利用者のご家族へ周知できるようにしましょう。

※NTT災害用伝言板サービス171の利用については    
http://www.ntt-east.co.jp/saigai/voice171/images/manual.pdf 参照

まとめ

介護施設・事業所の使命は、「安心・安全の介護の継続」です。

研修でのご質問の中でBCPの必要性をお答えする際は「台風、地震、感染症と映画で起きるうることと思っていた様々なことが起きても、職員、そのご家族、お客様、そのご家族が安心してお仕事やサービスの提供が出来るようにと願いを込めた、備えです。」とお答えしています。

東日本大震災の日、私は熊本の顧問先の医療法人の会議に出席していていました。デイサービスを運営していた顧問先から「今、大きな地震があったのですが、火の元、お客様安全確保しました。これから送迎ですか、ご利用者を送迎しても大丈夫ですか?」が、私が現場の不安を知った第一報でした。

それからは「お客様のお宅に送迎しましたが、お家の中がガラスまみれでこれからどうしたら良いですか?」「テレビで職員の自宅が停電だとニュースで流れていて、子供が心配だと泣いて困っています。電車が止まっているので、送迎車を貸して欲しいと言っています。どうしたら良いですか?」等、沢山のご相談を頂きながら、対応しました。

震災により、交通への影響やガソリン不足で、「スタッフが出社できない」「送迎の際のガソリンの懸念」で、行政に相談し、休業したデイサービスもありました。あの日のことを思い出すと、経験した方々はBCPの重要性は知っているはずなのに、のど元過ぎればで、悲しみや辛さの後は、「3年間猶予あるし・・・」で、後回しにしがちになると思いますが、これから起きるかもしれないことに対して、最優先すべきことになるかもしれません。

防災の日を迎えたことをきっかけに、職員へ災害の際の手順を基にBCPのお話もされ、早い備えを施設、事業所で、取り組むきっかけになれば幸いです。

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