介護ビザとは?取得要件や採用のメリットなどを解説

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介護ビザとは?取得要件や採用のメリットなどを解説

介護ビザ(在留資格「介護」)とは、2017年9月に創設された在留資格のことです。介護福祉士の国家資格を持っている外国人が取得できます。

この記事では、在留資格「介護」の取得要件や日本語能力など、基本情報を解説します。外国人材の受け入れを検討している企業向けに、介護ビザの取得の流れや採用方法、介護福祉士の資格を持つ外国人材を採用するメリットなどもまとめています。


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介護ビザ(在留資格「介護」)とは?

介護ビザとは外国人の就労ビザのひとつです。正式には「在留資格『介護』」と呼ばれます。厳密にいうと、日本に入国するための書類であるビザ(査証)と、日本に在留するための許可を指す在留資格は別物です。しかし、一般的には在留資格をビザと呼ぶことが多くあります。

介護ビザは2017年9月に創設されて以来、在留者数が緩やかに増加しており、令和4年6月末時点で5,339人の資格保有者が確認されています。外国人の介護人材を日本で受け入れるための制度は現時点で4つありますが、そのうち唯一、介護福祉士の国家資格を持っている人材です。また、ほかの制度に比べ、仕事の制限がないなど、採用のメリットが多くあります。

参考:令和4年6月末現在における在留外国人数について|出入国在留管理庁

取得要件

介護ビザの取得要件は、以下のとおりです。

  • 介護福祉士の国家資格の取得、または卒業年度の翌年4月1日から5年間介護の業務に従事すること
  • 日本の介護施設と雇用契約を締結
  • 介護に関する業務に従事すること
  • 同施設で働く日本人の介護士と同等以上の報酬を受けること

上記、「卒業年度の翌年4月1日から5年間介護の業務に従事」に関する要件は、2026年度までに介護福祉士養成校を卒業する留学生が対象です。2027年度以降はこの要件は撤廃され、介護福祉士の資格取得が条件となります。

介護ビザは国家試験への合格のほか、雇用内容などにも規程があるため、採用する受入れ企業も十分な注意が必要です。

関連記事:介護事業者のための外国人人材受入れ体制の整備

求められる日本語能力

介護ビザを取得するには、日本語能力試験でN2程度の日本語レベルが求められます。参考として、養成校の入学要件もN2程度となっています。

日本語能力試験の公式ホームページでは、N2レベルの日本語能力は、日常で使われる日本語が理解できる程度と示されています。具体的にいうと、新聞などを読んだり、テレビでニュースなどを聞いたりした際に、内容や話の流れが理解できるレベルです。

厚生労働省の資料によると、在留資格「EPA」の日本語能力はN3程度、技能実習生の要件はN4程度とされているため、介護ビザ取得に求められる日本語能力はほかの在留資格に比べ高いといえます。

従事できる仕事

介護ビザはほかの在留資格に比べ、従事できる仕事の制限がない点が特徴です。たとえば特定技能や技能実習などの在留資格では、訪問系サービスの仕事には従事できません。介護ビザなら訪問系サービスのほか、夜勤勤務も制限がなく従事させることができます。

また、雇用してすぐに配置基準に含められる点もメリットのひとつでしょう。特定技能では雇用後すぐに配置基準に含められますが、EPAと技能実習の制度の場合、雇用後すぐに配置基準に含めるには、N2以上の日本語能力が必要です。

在留期間

介護ビザは、在留期間や資格の更新回数に制限がありません。本人が望めば、在留資格の更新を行いながら、永続的に働くことができます。

介護ビザの取得期間は、最長5年で更新ができます。介護ビザを持つ外国人の家族や配偶者は、「家族滞在」の在留資格を取得できる点も特徴です。

永住について

5年以上介護ビザで働き、かつ10年以上日本で過ごした場合は、永住権を取得することができます。「永住者」の在留資格に移行すると、就労制限がなくなります。そのため介護以外の職に就くことも可能です。

介護福祉士の取得の流れや介護ビザ人材の採用方法

介護ビザを取得している外国人の介護福祉士を採用するためのルートは以下の2つです。

  • 養成施設ルート
  • 実務経験ルート(ほかの在留資格からの移行)

介護福祉士の取得の流れと、採用の方法をそれぞれ解説します。

パターン①養成施設ルート

ひとつ目は、日本の介護福祉士養成校に通い、介護ビザを取得するパターンです。外国人は留学生として日本に入国し、2年以上学んだ後、卒業後に介護福祉士の国家試験を受けます。国家試験に合格すれば、介護ビザを取得することができます。

養成校を卒業した外国人を採用する方法が一般的ですが、留学生のうちにアルバイトとして採用する方法もあります。いずれの場合も、介護ビザの外国人を受け入れるにあたって調整を行う機関がないため、介護事業者は自主的に採用活動を行う必要があります。

まずは、近隣の養成校に問い合わせたり、ハローワークに求人を出したりなど採用活動を進めてみましょう。

パターン②ほかの在留資格からの移行

実務経験ルートは、技能実習生や特定技能として入国したのち、在留資格を変更するルートです。介護ビザへ移行するには、介護施設や事業所で3年以上の実務経験を積むほか、介護福祉士の国家試験に合格する必要があります。

技能実習は日本で取得した技術や技能を、自国へ持ち帰り活かしてもらうことを目的とした在留資格です。本来、在留期間の5年が終了した時点で帰国しなければなりませんが、3年目以降に介護福祉士の資格を取得し介護ビザへ移行すれば、永続的に日本で働くことができます。

特定技能は、特定分野の人材不足を解消するために創設された在留資格です。技能実習と同じく在留期間は5年で、3年目以降に介護福祉士の資格を取得すれば、介護ビザへ移行することができます。

介護福祉士外国人材採用のメリット・デメリット

ほかの在留資格に比べ、介護福祉士の資格を持つ介護ビザの外国人を採用するメリットは以下が考えられます。

【介護福祉士外国人材採用のメリット】

  • ほかの在留資格に比べ、日本語能力に期待できる
  • 介護福祉士の国家資格を持っており、介護に関する知識が豊富
  • 業務の制限がないため、夜勤勤務や訪問系サービスなどに従事させることも可能
  • 採用後すぐに配置基準に加えることができる
  • 在留期間の制限がなく、長期間雇用できる

介護ビザを取得した外国人材は上記のようにメリットが多く、即戦力になることが期待できます。しかし現状、介護福祉士の国家試験への合格はハードルが高く、介護ビザを取得している人材はほかの在留資格に比べ、少ない傾向にあります。デメリットとして、需要の高さに対して人材が少ないゆえに、競争率が激しく採用が難しい点が挙げられます。

在留資格の取得者数の多い技能実習や特定技能の人材を採用し、介護福祉士の資格取得を目指す方法もひとつの手といえます。

関連記事:介護の外国人採用における注意点は?雇用・面接時に気を付けるポイントも

介護ビザの申請時に必要な書類

介護ビザに関する申請が必要なタイミングは、在留資格取得時、在留資格変更時、更新時の3つです。それぞれ必要な書類について、解説します。

在留資格取得時

介護福祉士の資格を持つ外国人材が、介護ビザを取得して日本へ入国する場合、在留資格認定証明書交付申請が必要です。主に以下の書類などを提出します。

  • 在留資格認定証明書交付申請書
  • 介護福祉士登録証(写し)
  • 労働条件が明示された文書(雇用契約書)
  • 受入れ企業の沿革や事業内容などがわかる書類

申請書には証明写真の貼付が必要です。また、404円分の切手を貼った返信用封筒を同封する必要があるため、注意しましょう。書類は郵送のほか、近年ではオンラインでの申請も可能です。在留申請オンラインシステムは利用者登録を行えば、無料で使用できます。

在留資格変更時

介護福祉士養成校を卒業し、日本の介護施設や事業所などで働く場合は、在留資格変更許可申請を行います。必要な書類は以下のとおりです。

  • 在留資格変更許可申請書
  • パスポート
  • 在留カード
  • 介護福祉士登録証(写し)
  • 労働条件が明示された文書(雇用契約書)
  • 受入れ企業の沿革や事業内容などがわかる書類

こちらの申請書も証明写真の貼付が必要になります。変更前の在留資格が期限切れになる前に申請しなければなりません。申請書類は基本的に地方出入国在留管理官署の窓口に提出します。マイナンバーカードを所持していれば、窓口ではなくオンライン申請も可能です。

更新時

介護ビザを更新する場合は、在留期間更新許可申請を行います。以下に必要な書類をまとめました。

  • 在留期間更新許可申請書
  • パスポート
  • 在留カード
  • 住民税の課税(または非課税)証明書と納税証明書

前回の申請後に、転職して別の介護施設や事業所で働いている場合は、以下の書類の提出も必要です。

  • 労働条件が明示された文書(雇用契約書)
  • 受入れ企業の沿革や事業内容などがわかる書類

外国人材を受け入れるなら介護ビザに注目しよう

介護ビザを持つ外国人材は介護福祉士の国家資格を持ち、即戦力として期待できるほか、従事できる業務に制限がないなど、メリットが多くあります。外国人材の受け入れ制度のうち、とりわけメリットの多い在留資格のため、外国人材を採用したい介護施設や事業所はぜひ注目してください。

ただし、競争率が高い分、採用が難しいデメリットもあります。留学生のうちにアルバイトとして採用する方法や、特定技能などほかの在留資格から介護ビザへ移行する方法もあわせて検討してみましょう。

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