バーセルインデックスとは|10の評価項目【専門家解説】

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【専門家解説】バーセルインデックスとは?|10の評価項目

病院や介護の現場で利用されているものにバーセルインデックスがあります。介護報酬改定にともない「ADL維持加算」が導入されましたが、その評価の際に用いられるのがバーセルインデックス です。
しかし、具体的な内容についてよくわからないという人もいるでしょう。この記事では、バーセルインデックス の意味や目的、さらに評価方法などについてわかりやすく解説していきます。

バーセルインデックスとは

介護サービスの利用によって、毎日の生活に必要な動作がどのくらいできるようになったのか、どのくらい悪化を防いだのかを知ることは、利用者さんはもちろんご家族にとっても重要です。

しかし、日常生活動作(ADL)がどこまで改善されているのか、ご家族や介護士の主観では正しく判断することができません。もちろん、それは利用者さん本人にもいえることです。「以前よりは良くなった気がする」「少し楽に動かせるようになった」という感覚では正確な評価は難しいといえます。バーセルインデックスとは、利用者さんのADLを主観ではなく数値で評価する方法です。

バーセルインデックスは専門職以外の人でも理解しやすい指標で表され、世界的に普及しています。全10項目で構成されており、0〜100点で評価されます。それぞれの項目は15点、10点、5点、0点の4段階で採点するもので、介護の現場や病院などで利用者さんのADLを評価することが目的です。

バーセルインデックスの10の評価項目

最後に、バーセルインデックスの10の評価項目について説明します。

評価項目

  • 食事
  • 移乗
  • 整容
  • トイレ動作
  • 入浴
  • 歩行
  • 階段昇降
  • 着替え
  • 排便
  • 排尿

食事

3段階で自立は10点、見守りや介助が必要なら5点、全部において介助が必要なら0点となります。

移乗

4段階で、介助なしで可能なら15点、軽度の介助が必要なら10点、座る以外ほぼ介助が必要なら5点、そしてすべて介助が必要なら0点です。

整容

完全に自立していれば5点、部分的に介助が必要な場合や不可能なら0点の2段階で評価します。

トイレ動作

は3段階で、自立は10点、部分介助が5点、全介助または不可能なら0点です。

入浴

2段階で自立は5点、部分介助または不可能な状態なら0点となります。

歩行

関してはやや細かい設定があります。45m以上の歩行が可能なら15点、介助歩行で45m以上可能なら10点、歩行不能でも車椅子を操作して45m以上移動できれば5点、そしてそれ以外は0点です。

階段昇降

3段階で、自立は10点、介助または監視が必要なら5点、昇降不能なら0点です。

着替え

自立が10点、部分介助が必要なら5点、それ以外は0点の3段階で評価します。

排便/排尿

それぞれ失禁なしなら10点、たまに失禁があるなら5点、それ以外なら0点の3段階評価です。

自立度の判断基準は5段階になっています。100点満点なら動作の全般において自立できていることになります。85点以下なら介助は必要でも程度は少ないと判断され、60点以下は姿勢を変える動きに対して介助が必要という判断です。40点以下であればほとんどの項目で大きな介助が必要とされ、20点以下なら全介助が必要ということになります。

バーセルインデックスの4つのメリット

では、バーセルインデックスにはどのようなメリットがあるのか説明していきます。

記録しやすい

メリットの1つとしてあげられるのは、記録がしやすいという点です。評価区分も2〜4段落とシンプルなため、採点者が迷うことも少ないでしょう。

例えば、整容の評価は2段階で、手洗いや洗顔、歯磨きに髭剃り、化粧などが自分で可能なら5点、介助が必要なら0点といった具合に採点します。このように区分が少ないため記録が簡単で、評価のための時間を割くわずらわしさがありません。また、点数が5点刻みと区切りが良く、すぐに算出しやすいのもメリットです。

最大限の能力を表しやすい

バーセルインデックスは、それぞれの項目について自立できているか、または介護が必要かといったシンプルな基準で評価していきます。判断するのは日常生活に必要な基本的な動作が完遂できたかどうかで、できれば評価の対象になります。そのため、利用者さんが最大限発揮できる能力を視覚化しやすいのもメリットです。また、評価によっては訓練や指導によって能力を改善していくことも可能で、利用者さんの自立をサポートしやすいのもメリットだといえるでしょう。

自立度が一目でわかる

動作について何ができるかできないかという評価を言葉だけで表現した場合、人によってはイメージするのが難しいこともあります。

例えば、階段の昇降をする際に他の人が手を添えれば可能な利用者さんであっても、それがどれくらい自立できているのか判断がつかない人もいるでしょう。人によっては「自立できている」と判断するかもしれませんし、「自立できていない」と取る人もいます。しかし、バーセルインデックスでは階段の昇降が「介助または監視が必要」なら5点と明確な数値で評価されます。つまり、誰が見てもイメージがわかりやすいのがメリットです。

評価は100点満点で、得点を見ることで利用者さんがどの程度自立できている人かすぐに判断できます。また、得点をパーセンテージ化しやすいという点もバーセルインデックスのメリットです。

評価法が世界共通

バーセルインデックスは、アメリカの理学療法士によって開発されました。はじめに利用されるようになったのは1955年のことです。1965年に論文で報告されたことで知られはじめ、そこから世界中で使われるようになった評価方法です。つまり、世界で共通した評価方法で、国内だけでなく他の国にも通じるというメリットがあります。日本でしか通用しない独自の評価方法というわけではありません

バーセルインデックスの3つのデメリット

では、続いてバーセルインデックスのデメリットを紹介していきます。

実際にしている動作の評価ではない

その人が日常でどのような動作をするかはそれぞれに違います。それは、細かい生活スタイルには個人差があるためです。しかし、バーセルインデックスは一般的な動作をあらかじめ決めたもので、利用者さんが実際に行っている動作の評価とはいえない部分があります。バーセルインデックスの項目にないものは評価から外れてしまうのはデメリットです。

ただし、多くの人が日常で繰り返す動作については、実態以上の評価を出せる可能性があります。足りない分を補うには、必要に応じて利用者さんの動作や介助の様子を記録し、報告を行うことで解消できるでしょう。

評価が大まか

もう一つのデメリットは、評価が大まかなものになってしまうという点です。どの項目も2〜4段階で分けているため、その分、利用者さん一人ひとりの詳細については十分表すことはできないかもしれません。シンプルな分評価を行う時間を短縮しやすいというメリットがありますが、動作によっては評価する側も迷ってしまうことがあるでしょう。

時系列での変化が分かりにくい

バーセルインデックスの評価区分は多いものでも4つです。細かく分かれていないため、介助量の細かい変化については記録することができません。

例えば、階段を昇る行動を一つ取っても、介助が必要な状態から完全に自立できるようになるには段階を踏むのが一般的です。昨日まで介助が必要だったのに、いきなり誰の手を借りることなく突然一人で昇れる人はそうそういないでしょう。

しかし、バーセンインデックスの評価区分では、その過程を表す部分がなく、時系列での変化を見る資料としては乏しいのがデメリットです。細かい経過を記録できないため、場合によっては得点がいきなり上昇してしまうことがあります。

バーセルインデックスを正しく理解し活用しよう

バーセルインデックスは誰から見ても理解しやすい評価方法です。世界共通の評価方法であり、シンプルな評価項目で主観が入るということも回避できます。時間をとらずに評価でき、自立の度合いを数値で判断できるという点がメリットです。デメリットになる部分は十分理解したうえで上手に活用し、介護の現場で役立ててみましょう。

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