介護業界で問題になっている「燃え尽き症候群(バーンアウト)」をご存知でしょうか?
昨日まで意欲的に働いていた人が急にやる気がなくなったり、倦怠感で仕事へいけなくなったりする心の病の一つです。まじめで意欲的な人ほど発症しやすいと言われています。
本記事では、燃え尽き症候群を発症してしまう原因や具体的な兆候と症状、予防法をご紹介します。ご自身の体に何かこれまでと違った変化を感じている方、職場の同僚が「何かおかしい」と感じている方はぜひ参考にしてみてください。
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目次
「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とは?
「燃え尽き症候群(バーンアウト)」とは、一つの物事に没頭して献身的に努力してきた人が、心身の極度の疲労が原因で無気力な状態になってしまうことです。突然炎が燃え尽きてしまったかのように急激に変化してしまうことから、名前がつけられました。
燃え尽き症候群になりやすい方は、仕事に対してまじめで熱心という特徴が挙げられます。
なぜ介護や医療の現場で「燃え尽き症候群」が多いのか?
介護・医療・福祉など、人を相手にするヒューマンサービスの現場では、自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先的に配慮します。そのため、対人関係の過剰な気配り・自己抑制などの慢性的なストレスが燃え尽き症候群になりやすい理由だといわれています。
利用者さんやご家族の役に立ちたいという思いから、職員はそれぞれ必死で努力をしています。しかし、行ったケアが必ずしも報われるとは限りません。
人を相手にするケアには正解がないため、理想を追い求めて努力を続けても、適正な評価が得られないことがあります。また、好ましい結果に至らず、労力をかけた分の達成感が得られないという場面も少なくありません。さらに努力を重ねる過程で、仕事とプライベートの境目がなくなり仕事に囚われてしまうという人もいます。介護や医療の現場にある『人の命を預かっている』という使命感が、努力を後押しするあまり過剰なストレスを生み、燃え尽き症候群を引き起こすのです。
燃え尽き症候群の3つの状態
燃え尽き症候群に陥ると、言葉や態度に変化が現れます。普段の自分では思ってもいないような発言が増えることもあり、こうした変化から燃え尽き症候群になりかけていると判断することもできます。以下で、燃え尽き症候群になるとどのような状態になるのかチェックしていきましょう。
情緒的消耗感
自分の感情変化が分かりにくくなったり、仕事がおっくうになってしまったりする場合があります。こうした状態を「情緒的摩耗感」といい、燃え尽き症候群の初期症状と考えられています。
他人と接するときに相手が不快にならないように気を付けたり、信頼関係を築こうと誠実で思いやりのある対応をしたりすることは、非常に多くのエネルギーを消費します。利用者さんや同僚へ気を遣い過ぎてしまうことで、感情に使うエネルギーが摩耗してしまい生じる症状です。
脱人格化
思いやりや相手を気遣う気持ちがなくなってきます。自分の意見だけを押し通したり、人間関係を拒否したりといった割り切った対応が増えていきます。この状態が「脱人格化」です。燃え尽き症候群の第2段階ともいえるでしょう。
感情に使うエネルギーが枯渇し、エネルギー消費しないようにという防衛反応によって現れる症状です。
個人的達成感の低下
情緒的摩耗感や脱人格化によって他人への対応に思いやりがなくなると、周囲の人からの評価が悪くなります。さらに、利用者さんの気持ちに寄り添うことができなくなることでケアの質が低下し、自分でも自分のケアに納得できなくなります。
燃え尽き症候群はある日突然起こります。しかし、よく見るとその兆候は前もってみてとることができます。いち早く気付いて対策を講じれば、深刻な状態に陥るのを防げるかもしれません。以下で、どのような症状や兆候が燃え尽き症候群につながっているのか、具体的な特徴を紹介します。
燃え尽き症候群の具体的な兆候と症状
燃え尽き症候群はある日突然起こります。しかし、よく見るとその兆候は前もってみてとることができます。いち早く気付いて対策を講じれば、深刻な状態に陥るのを防げるかもしれません。以下で、どのような症状や兆候が燃え尽き症候群につながっているのか、具体的な特徴を紹介します。
身体的な特徴
燃え尽き症候群の兆候として、次のような体の不調が現れます。
- 睡眠の不調(眠れなくなる、朝起きられない)
- 吐き気や倦怠感など、我慢できる不調
- 食欲不振やメニューへのこだわりがなくなる
- アルコールを飲む頻度が増える
身体的な特徴の多くは、気にはなるものの「我慢できる」ものです。体調が悪いと感じても仕事はできるために休むことがなく頑張ってしまい、深刻な不調を引き起こしてしまいます。
精神的特徴
精神的には次のような兆候が現れます。
- 少しのことでもイライラしてしまう
- 好きだったことに無関心になる
- 他人と関わることに疲れを感じる
- 生活の中で常に仕事のことを考えてしまう
心に余裕がなくなることや、仕事のことが頭から離れないことが大きな特徴です。ストレス発散しようとしても、周りの人や仕事のことを考えてしまうために楽しめず、余計にストレスを感じることも少なくありません。
燃え尽き症候群の原因
個人要因
主に個人の性格や考え方によるものです。仕事に取り組み過ぎてしまう、相手のために頑張り過ぎてしまうなど、一所懸命な方ほど燃え尽き症候群になりやすくなります。
環境要因
主に職場環境のことです。長時間勤務が続いていたり身体的な負担が大きかったりすると、燃え尽き症候群を引き起こしやすくなります。
ただし、2つの要因が重なったときだけでなく、「個人要因」と「環境要因」のどちらか一方だけでも燃え尽き症候群の原因となりえます。燃え尽き症候群になったとしても、「自分の性格の問題だ」と自らを責める必要はない、と覚えておいてください。
燃え尽き症候群を予防するための方法
燃え尽き症候群を予防するために必要なのは、意識的に仕事の制限を設けることです。十分な休養をとったり、自分の中での限界を設定して仕事から離れる時間を作ることが大切です。心に余裕が生まれる環境を準備しましょう。また自分の役割と仕事のなかの役割を区別して、仕事の終了点をはっきりさせておくことも有効です。
また、仕事上での疑問や悩みを感じたときに周りのスタッフを頼ることも大切です。ひとりで解決しようと頑張ると、仕事に費やす時間が増えて仕事の終わりが曖昧になってしまいます。周囲の人へ相談して一緒に解決するようにすれば、負担やストレスを軽減でき、必要以上に頑張らなくても仕事に取り組めるようになります。
まとめ
燃え尽き症候群は、責任感が強い方やまじめな方など、頑張ってきたからこそ起きてしまう症状です。兆候を見逃さず、少しだけ肩の力を抜いてストレスと上手に付き合っていけば、燃え尽き症候群を予防しながら仕事に取り組めるでしょう。
燃え尽き症候群の原因は職場環境である場合も考えられるので、どうしてもストレスを解消できないなら、休職や転職を通じて今の職場から離れるのも良いでしょう。責任感を持って頑張れるあなたなら、次の職場でもきっと活躍できます。