適切な食事介助の方法とは?声かけなど介助のポイントや注意点

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食事は生きるうえでの楽しみの一つでもあります。
しかし食事介助の方法が間違っていると、利用者さんは食事を摂ることが負担になり、ひどいときには食事そのものが苦痛になってしまうといった場合もあります。「どうすれば利用者さんが食事を楽しめるのだろうか?」「どうやったらスムーズに食事を行ってもらえるだろうか?」と悩んでいる方も多いのではないでしょうか。

この記事では、食事介助の不安を払拭できるように、声かけや食事介助の注意点などをご紹介します。


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食べることは生きる活力になる

食欲とは人間の三大欲求のひとつであり、「食べる楽しみ」は誰にとっても大きなものです。生きるためにも栄養を取ることはもちろん大切ですし、味を楽しんで生きる意欲を高める効果も期待できます。特に高齢者にとっては、口から食べるということはQOLの向上にもつながり、心身の機能維持のためにも非常に重要なことです。

目の前に食事が並んだとき、嗅覚や視覚といった感覚が刺激されます。その感覚から得られた情報によって、「おいしそう」、「これは私の好物だ」という意識や記憶が呼び起こされるでしょう。人によっては「母が良く作ってくれた」、「夫がおいしいとほめてくれた」などの記憶に結びつき、精神的な健康回復につながることが期待できるのです。

口腔内が乾燥すると雑菌が繁殖しやすくなり、これが肺炎などの原因にもなり得ます。食事をすることで唾液が分泌され、口腔内を清潔に保つことができます。さらに噛むことで口や舌、あごを動かし、筋肉の衰えを防ぐとともに誤嚥予防にもつながるのです。

このように「口から食べる」ということは、高齢者にとって生きる活力になり、大変意義のあることだといえるでしょう。

なぜ高齢者は食事がしにくくなるのか

高齢になると、若い頃のようにスムーズに食事をするのが難しくなってきます。食事介助をするときは、その原因を把握しておくことが大事です。ここでは代表的な原因を紹介するので、高齢者がどのようなストレスを抱えているのかを認識しておきましょう。

  • 噛む力(咀嚼力)が弱くなるため
  • 飲みこむ力(嚥下力)が弱くなるため
  • 消化器官が弱くなるため
  • 食事への意欲がなくなるため
  • 食べ物かどうかを認識できなくなるため

高齢者はあごの筋肉が衰えていき、歯や歯茎の状態も悪くなるのが一般的です。また、のどの筋力が衰えると、食べたものがは食道の内部をうまく移動できません。さらには、唾液の分泌量が減ると咀嚼したものをまとめにくくなります。これらは高齢になると現れることが多い変化であり、飲み込む力の低下として食事の大きな妨げになるのです。

高齢者に生じる衰えには、消化器官の能力低下も挙げられます。食べたものがなかなか消化されず、下痢や便秘などの症状が慢性化して食欲不振につながることも珍しくありません。食欲が弱くなると唾液の分泌量も減り、消化の効率がますます悪くなってしまいます。

身体機能の衰えに応じて活動量が減っていくと、エネルギーを消費するペースが落ちるので空腹を感じることも少なくなります。そうすると味覚が鈍くなって味やにおいを楽しむことも難しくなり、あげくには食事に対する興味を持てなくなると食欲自体が減退してしまうのです。

他方で認知機能が低下している場合、目の前にあるものを食べ物だと理解できなくなることがあります。片側の方向だけが見えなくなる「半側空間無視」などの症状により、食べ物を見落として存在を認識できていないケースもあります。

このように、高齢者が食事を摂りにくくなるのには様々な要因があることを理解した上で食事介助にあたりましょう。

食事前に必要な準備とは

スムーズな食事を実現するには、事前の準備を十分に行うこと重要です。食事前の準備をしっかり行うことにより、誤嚥性肺炎のリスクを軽減することにもつながります。具体的にどのような点に注意して準備を行えばよいのかを見てみましょう。

体調を確認する

食事の前に、その日の体調を必ず確認しましょう。バイタルももちろんですが、食欲の有無や覚醒しているかどうか、普段と変わったところはないかをチェックします。もしも普段と様子が違うときには、食事量や内容を変更する必要があるかもしれません。しっかりと利用者さんを観察し、細かな部分まで介護職員同士で共有するようにしましょう。

排泄を済ませる

食事の途中でトイレに行きたくなってしまうと、食べることに集中できなくなってしまいます。無理に我慢をしてしまうのは身体に悪く、早くトイレに行こうと急いで食べるのもムセやつかえの原因になるのでよくありません。

また、トイレに行くために食事を中断してしまうと、その後の食欲にも影響が出てきます。おいしく食事をするために、まずは排泄を済ませるように声掛けを行いましょう。

手を清潔にする

食事の前の手洗いは、たとえ自力摂取ができない利用者さんでも行いましょう。子供のころから「食事の前には手を洗いましょう」といわれ、習慣になっている方は多いはずです。手を洗う行動をとることで、「今から食事をするのだ」という気持ちを持ちやすくなり、食事に対して期待感や前向きな気持ちを持つことが容易になります。

手洗いを行うことが難しい場合は、おしぼりで清拭をするなどで代替しましょう。もちろん、食事介助する側の手洗いも入念に行います。

口腔ケアや口腔体操を実施する

口腔内が汚れている場合、口の中で細菌が繁殖してしまいます。健康な人は唾液で殺菌をして消化器官へ送ることができますが、嚥下機能の低下がある方は細菌が気管に入って誤嚥性肺炎を起こすリスクが高まります。必要に応じて歯みがきやうがいなどの口腔ケアを行いましょう。

口腔体操を食前に行うと、唾液の分泌をうながして飲み込みやすくなるため効果的です。簡単な早口言葉や「パタカラ体操」など、手軽に行えるものが多いので試してみましょう。発声が難しい方には、唾液腺マッサージも有効です。

環境を整える

食事をする場所の環境も、食欲に大きな影響を与えます。落ち着いた空間で集中して食事ができるように、テレビを消すなどの配慮が必要です。食事スペースの周辺が散らかっていないか、明るさや室温は適切か、排せつ物などのにおい残りはないかなど、周辺の環境を整えることが大切です。

姿勢を整える

誤嚥を防ぐためには、食事中の姿勢が重要なポイントです。椅子に座れる方は、足の裏をしっかりと床につけるようにします。もしも届かない場合は、踏み台などを利用するのもよいでしょう。座位が不安定な方は、左右に崩れないようにクッションなどを使用して姿勢を保持します。あごを引いてうつむいたときに食事の内容が全て見渡せるように、ひじの高さくらいにテーブルの高さを合わせるのが理想的です。

ベッド上で食事をする場合は、その方の状態に合わせてリクライニングの角度を45~70度前後に調節するとよいでしょう。腰の位置がベッドの折り目に来るように合わせて、膝を軽く曲げるようにします。必要に応じて後頭部に枕やクッションを置いて、後ろに反り返らずに目線を落としてもらうように調節しましょう。

食事前の声かけ

これから食事の時間だということを、声かけでお知らせしましょう。きちんと覚醒しているかも同時に確認します。高齢者のなかには、味覚や嗅覚、視力の衰えにより、自分が何を食べているのかがよく分からないという方もいます。献立の説明をするときは、素材の味や季節感がイメージできるように具体的に説明するようにしましょう。

食事介助中に気をつけたいポイント

食事前に環境を整えたならば、いよいよ食事介助が始まります。ここからは食事介助をする上での注意事項を紹介していきます。

正しい姿勢をとる

正しい姿勢で食事をすることで誤嚥のリスクを抑えられます。車いすの場合、フットレストに足をかけたままだと体が安定しにくいので、足が床に届くことを確認しながら深めに腰をかけてもらいましょう。そして、あごを引いて少し前傾になることで、食べたものや唾液が気管に入ることを防ぎやすくなります。

ベッドで食事をする場合は、背もたれを食べやすい角度に調整しなければなりません。個人差がありますが、45~70度を目安にすると良いでしょう。ひざの下や頭部の後ろにクッションを挟んで支えると、体のバランスを安定させやすくなります。その状態で、あごを引く姿勢をとれば誤嚥の予防にもなるでしょう。

利用者さんの横に座り目線を合わせる

立ったままの食事介助はタブーです。上から利用者さんを見下ろすことになり、威圧感を生みだしてしまいます。食事を与える側ともらう側という対等でない関係を感じる利用者さんもいます。利用者さんの横に座って目線を同じ高さにすると、安心感が生まれやすく、サポートもスムーズに行えるはずです。

また、目線を同じ高さに合わせると、利用者さんの口腔内が確認しやすくなります。特に片麻痺のある利用者さんの場合には、健側から介助をすることで麻痺側の残渣を確認することができるので、誤嚥の予防にもつながります。

一口目は水分から

お茶や味噌汁などの水分から先に提供し、口の中を潤すようにしましょう。それによって胃酸が分泌され、胃が食事を受け付ける準備を始めるのです。口の中が潤っていると嚥下がスムーズになり、ムセにくくもなります。食事の合間にもこまめに水分をとってもらうようにしましょう。

適切な一口の量を探りながら行う

一口を適切な量に調節することも大切なポイントです。スプーンに山盛りにしてしまうと誤嚥の可能性も高まってしまうので、その方に合った量を調節しましょう。口の大きさや開き具合によって、スプーンの大きさも調整する必要があります。

スプーンの先端に食事を乗せると、舌の中央に運びやすくなるので咀嚼もスムーズになります。同じ利用者さんであっても、そのときどきの体調に応じて柔軟に一口の量やスピードを調節することが望ましいでしょう。

飲み込んだことを確認する

利用者さんが食べたものを飲み込めたかどうかを確かめるとき、口の動きだけで判断することはできません。ここで、のどの動きに注目すると飲み込む瞬間に上下に動くのが分かるはずです。

タイミングがよくつかめない方は、自分で唾液を飲み込むときにのどに手を当て、どのあたりの筋肉が動くかを確かめてみましょう。利用者さんが男性である場合、のどぼとけの動きを見ると分かりやすいです。しっかりと飲み込めたことを確認してから次の一口を運ぶようにしましょう。

また、利用者さんが食べているタイミングに声をかけるのは危険なので控えましょう。返事をしよとして焦ると、ムセやつかえなどのトラブルを生じてしまう可能性があるのです。食事のペースを乱してしまうことにもなります。片麻痺のある利用者さんの場合には、麻痺側に食べ物が残りやすいので、念入りに確認するようにしましょう。

食事の温度に注意する

温かい料理が冷めてしまうと、おいしさも半減してしまうものです。温かいものは温かく、冷たいものは冷たいまま提供すると、食べたときに「おいしい」と感じることができます。しかし料理が熱すぎると口の中の粘膜を痛めてしまうため、人肌よりやや温かい程度に冷ますことが理想です。冷たいものを提供するときは、急に口に入れることを避け、事前に声かけをするとよいでしょう。

温度に差があるものを交互に食べると、嚥下反射が刺激されて誤嚥を予防できます。同じものを食べ続けるよりも、汁物やおかず、主食を交互に提供すると、さらに食事が楽しめるようになります。

食後は摂取量の確認と口腔ケアを

食後は、摂取量を確認して記録しておきましょう。主食何割、副菜何割と書くのが一般的で、ムセがあった場合や食べにくい食材があった場合にも備考として記録しておくとよいでしょう。そのような状態が長く続く場合には、利用者さんの状態と食形態が見合っていないことが考えられます。現場での状況をきちんと記録に残して報告することは一番重要なことです。

食後には、誤嚥予防のために口腔ケアを行いましょう。利用者さんの状態に合った場所や方法を選び、できることは自分で行ってもらい、仕上げを介助者が行うようにします。道具を使うときには歯ブラシだけではなく、口腔ケア用のスポンジや舌ブラシ、糸ようじなど使いやすいものを選びます。義歯を使用されている場合は、口の中だけではなく義歯の洗浄も忘れないようにしましょう。

食事中の声かけの必要性

食事介助に限らず、利用者さんに介助を行う際には必ず事前に声かけを行い、同意を得るようにしましょう。直前まで眠っていたり、ほかのことに注意を向けていたりした利用者さんの意識を食事に向けて集中してもらうためにも、声かけは大変有効な手段です。

食事中には、口に運ぶもののメニューや食材を知らせて、食欲を誘う声かけを行うとよいでしょう。具体的な声かけの例と予想される効果をまとめてみました。

  • 「今日のメニューは肉じゃがですよ」→これから食べる料理を知らせる
  • 「じゃがいも食べてみましょうか」→これから口の中に入るものを知らせる
  • 「味が染みていておいしそうですね」→想像することで食欲を誘う
  • 「私も肉じゃが大好きなんですよ」→好物や過去の記憶に働きかける

食事介助をするうえで介護者が理解しなくてはいけないことは、完食にはこだわらないということです。全部食べられることに越したことはありませんが、体調やメニュー次第でそれが難しいときもあるでしょう。無理に提供することで、楽しいはずの食事が苦痛になってしまうことも考えられます。栄養を摂ることはもちろん大事ですが、その日の様子を観察しながら介助をするように心がけましょう。

適切な食事介助で利用者さんに生きる喜びを!

ここまで様々なポイントをお伝えしました。理解が難しい部分については、介護職員同士で食事介助のシュミレーションをすることもおすすめです。介助者と介助対象者に分かれ、いろいろな介助方法を試してみるのです。

ほかの職員が行っているよい介助方法を共有できるとともに、自分の行っている介助方法がどのように感じられているのかを体感することができます。また、健康な人は介護職を食べる機会がないので、利用者さんが普段どのようなものを食べているのかを知ることは、利用者理解という意味でも重要なことです。

食事とは、本来ポジティブで楽しいものであるはずです。何歳になってもそう感じられるのは大事なことであり、心身の健康を保ち、今後の人生をさらに豊かにすることにもつながります。適切な食事介助の必要性を理解して、利用者さんをしっかりサポートしていきましょう。

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