入浴できないときの「清拭」とは?手順や注意点を徹底解説!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
入浴できないときの「清拭」とは?手順や注意点を徹底解説!

清拭とは、入浴介助できないときなどにタオルを使って身体を拭くことをいいます。身体を清潔な状態に保てるなど、清拭にはさまざまなメリットがあります。しかし、具体的にどのような手順で行なえばよいのか分からない方も多いのではないでしょうか。そこで本記事では、清拭の方法や効果、注意点までを詳しく解説していきます。


介護事業所の面倒なシフト・勤怠管理がらくらく
人員基準や加算要件は自動でチェック!CWS for Careはシフト表作成、勤怠管理、勤務形態一覧表作成をワンストップで提供する、介護専門のシフト・勤怠管理サービスです。
⇒ 「CWS for Care」公式サイトへアクセスして、今すぐ資料を無料ダウンロード

清拭とは?

清拭では身体を清潔に保つため、温かいタオルを使って利用者さんの身体を拭きます。一口に清拭といっても、全身を拭く「全身清拭」と身体の一部分だけを拭く「部分清拭」の2種類があります。清拭を行うと介護者はもちろんのこと、利用者さんも体力を消耗してしまい、拭く範囲が広ければ広いほど時間も手間もかかるでしょう。そのため、一部分しか汚れていないときは「部分清拭」を行います。

身体を清潔にするためには入浴が一番効果的です。しかし、利用者さんの中には「デイサービスに行けず、入浴サービスが受けられなかった」、「体調不良のため入浴を避けたい」といった理由から、入浴ができない方もいます。そのような場合は清拭を行うことで皮膚の清潔を保ち、褥瘡や細菌感染を防ぐことが重要です。

身体状況を観察する

清拭介助の目的は、体を清潔にするだけではありません。身体に問題がないかを観察することも大切な目的です。清拭前と清拭後にしっかりと利用者さんの身体を観察し、何か問題がないかを確認するようにしましょう。問題があると思われる場合には、看護師や医師に相談します。

血流促進の機会にもなる

清拭によるメリットは、身体が清潔になることだけではありません。身体がさっぱりすることでリラックス効果も得られます。さらに、温かい清拭タオルで身体を拭くと新陳代謝が促され、老廃物の排出を助けたり、血液やリンパの循環を促進したりといった健康効果もあるでしょう。

清拭に必要な準備物

清拭を行うにあたって、まず必要なのは用途別の清拭タオルです。清拭中に身体を隠したり、寒くならないようにしたりするための「大きめのバスタオル」、身体を拭く際に使用する「身体用タオル」、顔を拭く際に使用する「フェイスタオル」、陰部を拭く際に使う「陰洗用タオル又はガーゼ」といった具合に4種類のタオルを用意します。

次に、「お湯を入れたバケツ」が必要です。いつでもタオルを温めることができるよう、お湯の温度は50~55℃にしておくとよいでしょう。そして、陰部を洗い流すための「陰洗ボトル」、タオルにつけるための「石鹸」も揃えておきます。ちなみに感染を防ぐため高齢者の身体に直接触れてはいけません。必ず「手袋とビニールエプロン」をしてから清拭を行うようにしましょう。

清拭が終わった後に使うものとしては、着替え(下着、上着、ズボン)も用意しておきます。また、人によっては医師から処方されたオイルやパウダーなどの保湿剤や塗薬も必要になるでしょう。これらの清拭用品をすべて準備してから清拭を開始します。

清拭の事前準備

まずは利用者さんの体調確認を行いましょう。服を脱いだり温かいタオルで身体を拭いたりするため、寒暖差によって血圧に変動が起こる可能性があるからです。ただでさえ清拭は高齢者の体力を消耗させてしまいます。体調が弱っているときに血圧の変動があると、体調が悪化してしまうかもしれません。また、食事を摂ると血糖値や血圧が変動しやすくなるため、食事の1時間前後は避けたほうがよいとされています。

次に、エアコンなどを使って室内の温度を22~24℃程度に保ちましょう。冬の寒い日などは、夜よりも日中の清拭がおすすめです。必要な物品はすぐに手に取れるところに置いておくとよいでしょう。物品が揃っていないと、使おうと思ったときに利用者さんを裸のまま待たせることになります。

清拭を行う前に、もう一度手順を把握しておきましょう。基本的な順番を間違えてしまうと、汚れた部位を拭いたタオルで別の部位を拭いてしまうこともあるからです。また、利用者さんに声をかけ、清拭を行ってもよいかと了承を得ることも大切です。

清拭を行うときは利用者さんのプライバシー保護を意識するようにしましょう。身内にでさえ陰部を見せるのは恥ずかしいものです。拭くとき以外はバスタオルを上にかけておくとよいでしょう。日中でも外から見えないよう、カーテンを閉めるなどの配慮も必要です。

タオルで拭くときは皮膚を傷つけないように注意します。高齢者は皮膚が弱くなっているため、ちょっとした刺激でも傷になってしまうことがあります。優しく撫でるように拭くとよいでしょう。全身清拭の場合でも、慣れてきたならば10分以内に終わらせるのが目安です。このほか、身体を拭いているときに褥瘡やケガがないかどうか、チェックするようにします。褥瘡に気がついたならば、医師に相談してください。

清拭の手順と具体的な方法

清拭の手順はそれぞれの病院や施設などの介護現場によって異なり、特に決まりはありません。ただし、心臓に向かってなでるように拭くというのが基本です。

具体的な清拭の方法について、上半身と下半身の部位ごとに紹介していきます。

上半身

まず、顔はおでこからこめかみ、目頭から目尻、頬から口角、顎から首、耳の周りという順番で拭いていきます。特に顔はタオルで傷つけないように優しく拭くことが大切です。タオルの端は固く、場合によっては皮膚を傷つけてしまうことがあるため、内側に丸めておくことをおすすめします。また目の周りや鼻、耳の後ろは皮脂や汚れがたまりやすい部位なので、念入りに拭くようにしましょう。

次に、腕は心臓より遠い箇所である指から拭いていきます。順番は指先から手のひら、手首からひじ、ひじからわきです。指の間は忘れがちな部分です。拭き忘れないよう気をつけましょう。ひじの内側は円を描くように拭きます。わきの下は臭いがたまりやすく悪臭の原因になるので、念入りに拭くようにしましょう。

最後に、身体は首(鎖骨の上下)、胸、お腹の順番で拭いていきます。胸は円を、お腹は「の」の字を描くように時計回りに拭きましょう。お腹はマッサージをするような感覚で行うことをおすすめします。上半身を拭いている間に下半身が冷えないように大きめのバスタオルをかけておくとよいでしょう。

下半身

足は足首から膝、膝から太ももの付け根、膝の裏、足の指、足の裏の順に拭きます。このとき、高齢者に拭く側の膝を立ててもらうと拭きやすくなります。つづいてお尻を外側から内側に向かって円を描くように拭きます。腰は中心から外側に向かってタオルを動かすとよいでしょう。

最後にデリケートゾーンである陰部です。ここは基本的に介護者が拭くのではなく、ご自身で拭いてもらうように促します。自分で拭くことができない場合は介護者が行わなければいけません。陰部を洗う際には、陰洗用タオルかガーゼを使います。汚れがひどい場合は石けんで洗い流すようにしましょう。

男性の場合は陰茎、陰のう、肛門の順番で拭いていきます。陰茎の包皮を伸ばし、間の汚れを取り除くように拭くとよいでしょう。女性の場合は恥骨から肛門にかけて拭きます。このとき、必ずタオルを一方向に動かすようにしましょう。肛門の汚れがほかの部分についてしまうからです。最後に大陰唇と小陰唇の汚れを拭き取って終了です。

清拭の注意点

利用者さんの体調は、何度も確認するようにしましょう。最初は良好だったとしても、清拭の途中で体調が悪くなることもあります。介護福祉士などの介護職員がこまめに尋ねることで、急変を回避できるかもしれません。

力加減も同様です。何度も利用者さんに確認することで、心地良く清拭を受けてもらうことができます。

清拭中は、身体を冷やさないことも大切です。手をお湯につけたり足湯などを利用したりして、暖かな環境で清拭を行うようにしましょう。足湯は、全身の入浴ができないときにも利用できます。

清拭が苦手な人は実践で教えてくれる職場を探そう

清拭を苦手に感じている場合は、OJT(実践で学ぶ研修方法)で教えてくれる職場を探してみるのもひとつの方法です。しっかりと訓練でき、清拭の基礎とコツが身に付くでしょう。

また清拭だけではなく、新人研修をしっかりとしている職場を選ぶことで、介護職員としてのスキルアップを実現できます。職場を探すときは、研修制度が充実しているかどうかも確認しておきましょう。

正しい清拭で利用者の身体を清潔に!

清拭は、入浴できない利用者さんにとってとても重要なケアです。身体を清潔に保つだけではなく、さまざまな健康効果が期待できるからです。そのため、介護者は正しい方法を知っておくことが重要になるでしょう。

今回は清拭の方法や効果、注意点などをまとめて紹介しました。この記事を参考に、正しい清拭でスムーズなケアを行ってみてはいかがでしょうか。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

介護専門のシフト・勤怠管理サービス
『CWS for Care』

CWS for Careはシフト表作成、勤怠管理、勤務形態一覧表出力をワンストップで提供する、介護専門のシフト・勤怠管理サービスです。
人員基準や加算チェックなど介護特有の要件に対応し、介護事業者様の業務効率化をサポート。介護のシフト・勤怠管理でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。