チームは共有できる「目標」があって初めて機能しますが、法人や施設の理念に関連する一方で、お客様の目標(目指す生活)にも関連します。
令和3年介護報酬改定でも、全サービス共通で『会議や多職種連携におけるICTの活用』が求められるようになりました。本来は、コロナス禍において、感染リスクの観点から控えていた運営基準や加算要件で必要な各種会議について、テレビ電話等を用いた実施により、他職種連携促進を図る狙いがありますが、人材不足でサービス担当者会議に参加が難しい事業者や医療連携においては、アフターコロナにおいても連携手段としては継続されると思われます。
今回は『介護現場におけるチームケア』共通の認識や理解においての運用法をご紹介しますので、皆さんの連携力の向上にご活用頂ければ幸いです。
目次
利用者を支える共通の認識・共通の理解とは
①共通の認識・・・
共通の視点(本人主体の視点)でそれぞれの立場で協働し、支えあっていく事を認識する。
個人情報の保護と共有する事を認識する。
②共通の理解
チームの目標のためにできる事を、それぞれの立場で理解し、共有する。
利用者を支える専門職としての支援とは
①暮らしの継続のために。
②本人の思いを察し自己決定を支援するために。
③社会資源を活用し自立的生活のために。
④様々な社会資源との橋渡役として。
⑤チームのまとめ役として。
⑥個人情報の保護と必要な情報共有のために。
チームメンバーの立場はそれぞれに異なります。個人情報の内容や程度、必要性等を本人や家族と事業所が事前、都度の協議で共通認識を持つことが重要となります。
利用者を支える介護におけるチームの「目標」とは
チームは共有できる「目標」があって初めて機能します。では、介護におけるチームの「目標」ってなんだろう?と考えた時に。
- 事故のない安全なケアなのか?
- 状態の改善=自立支援なのか?
- QOLの向上なのか?
- 後悔のない看取りなのか?
をケアプランを基に共通のチームの「目標」の理解が今後の利用者のケアの向上にもつながります。
これは法人や施設の理念に関連する一方で、お客様の目標(目指す生活)=機能訓練や関りにも関連してきますので、カンファレンス等の共有の場で、確認、把握を行いましょう。
利用者を支えるチームが力を発揮している時とそうでない時とは
利用者を支えるチームメンバーの気持ちとは?
- チームメンバーの不満や不安
・相談できる人がいないな・・・
・この事務作業って本当に必要なの?
・なぜ私ばっかり仕事が多いの!
・事故やクレームが続いてるなぁ・・・
・上は現場のことを分かっていない! - 現場で起きうるリスク
・事故や苦情が増える
・スタッフが次々に辞める
・お客様が集まらない
1.の不安や不満を放置すると、2.のリスクにつながります。
チームマネジメントはなぜ重要なのか?
時と場合によってチームの力(=パフォーマンス)が乱高下しては大変なので、力を安定させる、向上させる必要があります。介護の場合、「安定」させることが極めて重要です。
チームマネジメントを行うことで、利用者はもちろん、メンバーや組織にとってもメリットがあります。
- 利用者のため(良いケアの提供)
- スタッフのため(やりがい、働きやすさ、成長)
- 組織のため(継続性)
利用者を支えるチームマネジメントとは?
マネジメント項目① 課題を見極める
マネジメント項目② チームの状況を把握する
チーム全体の強みや課題を把握するとともに、チーム内外の関係づくりを継続的に行いましょう。
- メンバーの強みや課題を理解する
- チーム内の関係づくりをする
- リーダーの責任と権限を把握する
- チーム外との関係づくり
- メンバーのチーム外との関係づくりの支援
マネジメント項目③ その気にさせる
人にとってのモチベーションは多様です。(共感、×説得・命令 〇納得・依頼)
個々のメンバーの成長と、学び合いによるチームの成長を促しましょう。
◎モチベーションを引き出す手法
- 指導する
- 助言する
- ほめる
- 気づきを与える
- 評価する
マネジメント項目④ コミュニケーションをよくとる
① コミュニケーションは時間や労力がかかることを意識しましょう
② 情緒的/課題的コミュニケーションを使い分けましょう。
情緒的コミュニケーション・・・
○ポジティブ
挨拶、感謝、褒める、喜ぶなど
○ネガティブ
注意、叱責など
課題的コミュニケーション・・・
質問、確認、指摘、指示、具体化、文章化、説明など
まとめ
チームケアは、利用者本人が自立(自律)的に暮らし続ける為の支援です。チームの力は大きく有意義な事を知り、連携の運用法を踏まえてスムーズな連携に心がけましょう。
必要としている社会資源につなげ、利用者の生活を継続するためチームケアの連携は不可欠ですが、専門職として個人情報の保護と、必要な情報の共有に配慮しながら、チームケアを維持、向上させることが、専門職の知識や技術の向上となり、利用者の生活の質の向上につながります。「お互い様」や「お陰様」の気持ちも大切に積極的な連携に心がけましょう。