あらためて高齢者の特徴や予防法を正しく理解して熱中症予防に取り組む必要があります。
今回は「熱中症予防」についてご紹介しますので、皆さんの業務の振り返りにご活用いただければ幸いです。
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目次
高齢者はなぜ熱中症になりやすいのか
夏場は体温上昇や脱水により血液の粘調度(濃さ)が上昇するため、虚血性心疾患の悪化や、血管内に血栓ができやすくなり、教心発作や不整脈が発症しやすくなります。これらも予防にも、ナトリウム、糖、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの栄養素を摂取する必要があります。
高齢者が熱中症になりやすい要因のひとつに、体温調節能力が低下していることが挙げられます。汗は体温を下げますが、加齢に伴い汗が出にくくなります。さらに入浴ができていない場合、皮脂が体の表面を覆うことでより汗をかきにくくなり、熱が体内にこもってしまいます。
また、水分の摂取量が少ないことも要因のひとつです。水分が不足すると脳が水分補給の指令を出しますが、高齢者はこの働きが弱くなってしまうため、水分摂取量が少なくなります。また、高齢になると腎臓の働きも弱まります。身体が脱水状態になると水分を体外に出さないよう尿が濃くなりますが、高齢者は腎臓の働きが弱っているため尿濃度は余り上がらず、水分ばかりが排出されてしまうため熱中症になりやすいのです。
熱中症の重症度と症状の目安
重症度:Ⅰ度(軽症)
症状:めまい・大量の発汗・失神(短時間)・筋肉痛・筋硬直・こむら返り・立ちくらみ
対策:服を緩めて体を冷やし、水分・塩分補給を。良くならなければ病院受診を!
重症度:Ⅱ度(中等症)
症状:頭痛・気分の不快・吐き気・嘔吐・倦怠感・虚脱感・集中力や判断力の低下
対策:病院へ搬送、入院が必要です。
重症度:Ⅲ度(重症)
症状:意識障害・けいれん・手足の運動障害・高体温(体に触ると熱い。いわゆる熱射病、重度の日射病)
対策:命の危険に瀕しているため、Ⅱ度と同様病院へ搬送が必要です。
※夏場は体温上昇や脱水により血液が濃くなるため、虚血性心疾患の悪化や、血管内に血栓ができやすくなり、教心発作や不整脈が発症しやすくなります。これらの予防において、ナトリウム、糖、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどの栄養素をうまく摂取することが大切です。
熱中症対策には適度な水分・塩分補給が必須
熱中症対策として欠かせないのが、適度な水分と塩分の補給です。
【経口補水液】
すでに脱水状態がみられる場合の水分補給に適しています。スポーツドリンクよりも電解質濃度が高く、反対に糖分濃度は低く作られていますが、塩分濃度が高いので普段の水分補給には適していません。
【スポーツドリンク】
日頃の熱中症対策に適していますが、糖分を多く含むため、お水やお茶と並行して飲みましょう。
【アルコール・コーヒー・お茶】
水分を摂った気になってしまいますが、利尿作用があるため熱中症対策には適していません。
【麦茶】
ノンカフェインでミネラルをわずかに含んでいるものの、塩分が含まれていないので、ひとつまみの塩を加えることで熱中症対策に適した飲みものとなります。
高齢者のお世話をする方が注意する点
【体調】
元気か、食欲はあるか、熱はないか、脇の下・口腔の乾燥具合
【具合】
体重、血圧の変化、心拍数、体温
【環境】
世話をする方がいない間の過ごし方、部屋の温度や湿度、風通し、換気、日当たり
体調チェックの方法
「なんとなくだるい・元気がない」が一番重要です。
体調管理をするために、毎回チェック項目を順番に聞いていくと、利用者の負担になってしまう可能性があります。「体調管理」をあまり堅く構えず会話のなかから確認し、チェック表に記入しましょう。
聞き方の例
- 元気がある・ない
「お元気ですか?」「いつもと、お変りありませんか?」 - 食欲の有無
「食事はおいしく食べられましたか?」 - 気分が良い・悪い
「ご気分はいかがですか?」
「ご気分はお変りありませんか?」 - 睡眠状況
「よくお休みになられましたか?」 - 発熱の有無
「熱はありませんか?」
「熱っぽくないですか?」
何らかの身体的な異常が起きたり、病気になったりしたとき、高齢者の体には全身症状(なんとなく体がだるいなど)として現れることが多い傾向にあります。そのため、「元気かどうか」と「食欲の有無」を確認すれば、日々の体調チェックとしては、十分だと考えられます。
ただし認知症の高齢者の場合は、上記の確認だけでなく「様子の変化の観察」も大切なチェック項目になります。不機嫌になったり、体の一部をしきりに触ったりというような変化が重要な観察ポイントになります。
※夕方になると、不機嫌になったり、騒ぎ始めたりなど元気がなくなる場合は、脱水症の可能性があります。
体調変化は、記録に書いただけで終わらせない
訪問介護などの場合は、ご家族から連絡ノートや口頭で「今日は暑いので水分を多く摂らせてください!」とご要望をいただく場合があります。
大切なことは「体調チェックをした」「水分補給をした」「記録に書いた」だけで終わらないことです。
いただいたご要望には連絡ノートや電話などを活用し、「何を」「どのように」「どれくらいか」を交えて具体的にきちんとご対応したことを伝えるのがご家族の安心につながります。
下記の流れを確認し、確実に実践しましょう。
たとえば、ご家族から「今日は少し元気がない」という言葉を聞いたり、食事を半分以上残されたりなどを確認したら・・・
- 水分摂取量と便秘の有無を確認
- ここに問題がある場合、水分摂取量を増やすなどの対応が必要
- いつも飲んでいる薬が飲めているか確認
- 原因が不明な場合は、医師の診断をすすめる(病気慢性疾患の急性増悪の可能性があります)
- 記録に残す
- 上長およびケアマネジャーに報告・連絡・相談
利用者の些細な変化に気づいたら声かけをし、記録に残しましょう。高齢者は自覚症状がないことも多いため、利用者自身から体調不良の申し出があるとは限りません。熱中症は命にかかわることもありますので、利用者の体調に関しては職員間のみならずケアマネジャ―、ご家族にも申し送りを忘れずに行ってください。