サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは、福祉専門職による安否確認サービスと生活相談サービスを提供するバリアフリー構造の賃貸住宅です。「高齢者住まい法」の改正により創設されたサービス種別で、人員配置基準が定められているため、必要な基準に関して正しく理解することが大切です。
この記事ではサ高住の人員配置基準について、必要な資格や兼務の可否について詳しく解説します。設備基準や、有料老人ホームとの違いについてもまとめました。
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目次
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)とは?
サービス付き高齢者向け住宅(以下、サ高住)とは、福祉専門職による安否確認や生活相談サービスが付いたバリアフリー住宅を指します。介護の有無に問わず、単身高齢者や高齢者夫婦が賃貸契約をして住むことができる施設で、年々登録数が増加しています。
【サービス付き高齢者向け住宅の登録状況】
サ高住では医療・福祉の有資格者などによる安否確認と生活相談のサービスが義務付けられています。ただし、食事の提供や清掃・洗濯などの家事援助、健康の相談・増進などの生活支援サービスは提供する事業者によって異なります。
介護が必要な場合には、介護保険を使ったサービスが利用可能です(その施設で介護保険サービスを受ける場合は、特定施設入居者生活介護として認定されている場合に限る)。食事や介護、家事、健康管理に関わるサービスは、いずれも老人福祉法に基づく有料老人ホームの要件のため、これらのサービスを提供する場合は老人福祉法の指導監督対象となります。
提供可能なサービス | 入居条件 | |
---|---|---|
基本サービス | オプションサービス | |
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|
以下のいずれかに該当する単身者、または夫婦世帯
|
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の人員配置基準
サ高住では日中の時間帯の人員配置基準が定められています。見守りサービスなどを提供するため、医療・福祉の有資格者などが敷地内または隣接する別の建物に日中常駐しなければなりません。具体的には以下の資格を持つ人を配置します。
- 社会福祉法人・医療法人・指定居宅サービス事業所等の職員
- 医師
- 看護師
- 介護福祉士
- 社会福祉士
- 介護支援専門員(ケアマネジャー)
- 介護職員初任者研修課程修了者
一方で夜間の時間帯は人員配置基準が定められておらず、緊急通報装置などを設置することで職員の常駐が不要になります。多くの施設では安否確認や緊急連絡などの対応のため、1人以上夜勤スタッフを配置しています。⼀般社団法⼈ ⾼齢者住宅協会の調査によると、7割を超えるサ高住がスタッフを「日中・日中以外とも常駐」配置しています。
また、介護サービスを提供するサ高住は、外部の介護事業者と連携する「一般型」と、特定施設入居者生活介護の事業者として指定を受け、有料老人ホームに該当する「介護型」に分かれます。介護型に該当するサ高住は有料老人ホームの人員配置基準を満たす必要があるため注意しましょう。
日中の常駐が不要になるケース
2022年に「高齢者の居住安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正により、日中の人員配置基準が緩和されました。以下の3つの条件を満たしたうえで、入居者に支障がないと判断され、かつ事前に入居者から了承を得た場合のみ、医療・福祉の専門職などの常駐が不要となります。
- 常駐しない日の日中に最低でも1度は居室へ訪問するなどの方法で、安否確認を実施
- 施設内に緊急通報装置の設置
- 入居者の必要時に電話などで生活相談ができる体制の整備
職種の兼務は可能
食事や介護などの生活支援サービスを外部の介護事業所と連携して提供するサ高住の場合、サ高住と介護サービス事業所でそれぞれ働く時間帯を明確に区分することで、職種の兼務が可能です。具体的には事業ごとの勤務時間がわかるよう、勤務表や雇用契約書などで区分を明確にすることが求められます。
上記の条件を満たさずに、サ高住の常駐職員が食事や介護などの生活支援サービスを提供することはできません。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)と有料老人ホームの人員配置基準の違い
サ高住、有料老人ホーム(介護付き有料老人ホーム・住宅型有料老人ホーム)の違いは以下のとおりです。
サービス付き高齢者向け住宅 | 有料老人ホーム | ||
---|---|---|---|
介護付き有料老人ホーム | 住宅型有料老人ホーム | ||
概要 | 60歳以上の単身・夫婦世帯を対象とする高齢者のための住居施設 ※要介護/要支援認定を受けている場合は60歳未満でも可 |
介護などのサービスが付いた高齢者向けの住居施設 ※特定施設入居者生活介護の指定を受けている |
60歳以上の自立した高齢者、または軽度の要介護者が対象の生活支援サービスなどが付いた住居施設 |
サービス内容 |
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介護保険サービスの有無 | 無し ※外部の介護保険サービスと提携 |
有り | 無し ※外部の介護保険サービスと提携 |
人員配置基準 | 日中に、以下のようなケアの専門家の配置が必要
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人員配置基準は定められていないが、管理者・生活相談員・栄養士・調理員などの配置が望ましい |
上記以外にサ高住と有料老人ホームは、個室の必要面積の違いなど設備基準も異なります。また、サ高住は制度上、「見守りサービス(安否確認)」と「生活相談サービス」の提供が義務付けられており、そのほかのサービスは任意で行います。
サ高住には一般型と、特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護型の2種類がありますが、約9割のサ高住が特定施設入居者生活介護の指定を受けていない一般型となっています。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の運営で役立つ資格
⼀般社団法⼈ ⾼齢者住宅協会の調査によると、現状、サ高住で働く職員の多くが持っている資格は介護福祉⼠(73.4%)と養成研修修了者(68.3%)です。サ高住の運営で役立つ介護福祉⼠と介護職員初任者研修の資格について、資格の取得方法などをまとめました。
介護福祉士 | 国家資格。資格の取得方法は、養成施設や福祉系の高校を卒業してから取得するルートと、3年以上の実務経験を積んでから取得するルートなどがある。いずれも国家試験に合格することで資格を取得できる。 |
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介護職員初任者研修 | 介護の基本的な知識を学べる研修。都道府県が指定した機関などで、研修や実習を行うことで取得できる。 |
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の仕事内容について
サ高住が必ず提供しなければならないサービスは、「見守りサービス(安否確認)」と「生活相談サービス」の2つです。
見守りサービスに関しては、多くの施設で居室を訪問することで対応しています。なかにはプライバシーに配慮して生活リズムセンサーの設置や、オプションサービスで食事の提供時に摂取状況を確認するなどの方法をとっている施設もあります。
生活相談サービスでは入居者との面談のほか、心身状況が不安な入居者への声かけ、介護保険を利用している入居者に関してはサービス担当者会議へ出席するなどの方法がとられています。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の規模や設備基準
- 個室あたりの床面積は原則25㎡以上
※上記以外の部分(居間、食堂など)で、入居者が共同利用するために十分な面積を確保している場合は18㎡以上でも可 - 各個室に、台所・水洗トイレ・収納設備・洗面設備・浴室を備えていること
※共用部分に共同で利用できる台所や浴室などを備えている場合は、個室に備えずとも良い - 手すりの設置や、段差の解消などバリアフリー構造であること
そのほか5年ごとに登録の更新が必要なため、都道府県などの登録窓口に書類を提出してください。
サ高住(サービス付き高齢者向け住宅)の人員配置基準を理解し、法令を遵守しよう
サービス付き高齢者向け住宅は介護の有無に問わず、単身高齢者や高齢者夫婦が利用できる住居施設です。必須のサービスである安否確認と生活相談の提供を行うため、日中は医療・福祉の有資格者などを常駐させる必要があります。
日中に常駐の職員が確認できないなど、立ち入り検査で人員配置基準を満たしていないと判断された場合はさらに指導の対象となります。人員配置基準違反をしないためにも、人員配置基準を正しく理解し、常に法令を遵守に努めましょう。