求人を探す方法のひとつにハローワークがあります。ハローワークで介護求人を探すと、どのようなメリットがあるのでしょうか。
本記事ではハローワーク求人を利用して就職先を探すポイントや注意点を紹介し、併せてハローワークでの転職活動が向いている人と向いていない人などについても解説します。
目次
そもそもハローワークとは?
ハローワークとは正式名称を「公共職業安定所」といい、厚生労働省が職業安定法に基づいて設置した国の行政機関です。全国に544ヶ所設置されており、居住地に関係なく利用することができます。
ハローワークでは、主に職業紹介や就職と転職の相談業務を行っています。新卒で仕事を探す人に面接指導などを行う「新卒応援ハローワーク」や、35歳未満で正社員就職を目指す人を支援する「わかものハローワーク」など、年齢や雇用条件に合わせた専門の窓口もあるので自身に合った就職活動が可能です。
そのほかに、職業訓練校への申し込みや失業手当など雇用保険の受付といった事務処理も行っています。
ハローワークの介護求人の特徴
ハローワークの介護求人には、4つの特徴があります。それぞれの特徴を知った上でハローワークを利用すると、効率的に職を探すことができるのでチェックしてみましょう。
企業の求人掲載料が無料
通常、企業が求人媒体に広告を出すとなると費用が必要となりますが、ハローワークでは企業求人の掲載料がかかりません。採用に予算を割けない小規模な介護事業所なども利用できるため、民間の求人情報誌や求人・転職サイトよりも多くの企業が求人情報を掲載している点が大きな特徴の一つです。
なかにはハローワークでのみ求人を出している会社もあります。なるべく多くの求人のなかから転職先を探したいという場合には、まずはハローワークを利用するとよいでしょう。
地域密着で地元の介護求人が豊富
ローワークは、各自治体に設置されています。そのため、地元に密着した求人情報が多いことが特徴です。
意外と知られていない地元の優良企業が見つかることもあるでしょう。地元や気に入った土地で仕事を探したい場合には、ハローワークの利用がおすすめです。
公平性を保った転職支援
ハローワークの運営は国が行っているため、企業と求職者のどちらにも公平であるといえます。民間の転職サービスのなかには、本人の意向や適性よりも会社の利益を重視し、強引に紹介料が高い会社への転職をすすめるような悪質な会社もあるので注意が必要です。
ハローワークでは転職を強いることはないので、安心して転職先を探すことができます。
無料で支援が受けられる
ハローワークでは無料の転職相談に加え、面接対策や履歴書の添削なども全て無料で受けることができます。就職や転職活動の経験が少なくて面接に不安がある場合には、これらのサービスを利用するとよいでしょう。
さらに、無料でのセミナー参加や資格取得制度もあるので、転職にお金をかけられない人や、やりたい仕事のために資格を取得したいという人にもハローワークはおすすめです。
ハローワークで介護求人を探す際の注意点
「無料で利用できる」、「地域に密着した求人が多い」など魅力的なメリットが多いハローワークですが、利用の際には3つの注意点があります。どのような点に注意するべきかを確認しておきましょう。
情報量が少ない
ハローワークの求人に掲載されている情報は、給与や休日、勤務時間や求人が開始された受理日などの基本的な情報のみです。昇給実績や離職率、有休消化率などの情報は掲載されていないため、職場の雰囲気が分かりづらいといったデメリットがあります。
職場の詳細については面接時に確認することができますが、思っていた職場とは異なったり、面接官の印象を損ねる可能性があったりするため注意が必要です。気になる求人の詳細情報は、面接を受ける前にハローワークの職員に相談したり、自身で調べたりしておきましょう。
応募には紹介状が必要
ハローワークの求人情報はインターネットでも閲覧が可能なので、家に居ながらでも簡単に求人を探すことができます。求人にはハローワーク求人番号が割り当てられており、番号を伝えることで紹介してもらうことができます。
ただし、求人の多くは応募時にハローワークの紹介状が必要です。特にハローワークだけに求人を出している介護施設や事業所では、紹介状がなければ面接を受けられない場合があります。
紹介状をもらうには実際にハローワークに行く必要があるため、近くにハローワークがないという場合は、わざわざハローワークに出向いて行くという手間がかかってしまいます。
マッチングが不十分な場合も
ハローワークは介護や福祉分野の専門機関ではないため、職員全員が介護や福祉の仕事内容や制度に詳しいわけではありません。そのため、自分の得意分野や将来どのようなキャリアを積みたいかを伝えても、自分にぴったりの事業所を紹介してもらうのは難しい場合が多いといえます。
ハローワークを使った転職活動が向いている人、向いていない人
ハローワークでの転職活動には、向いている人とそうでない人がいます。それぞれどのような特徴があるのか、自身と照らし合わせてチェックしてみてください。
ハローワークでの転職活動が向いている人
ハローワークには非常に多くの求人があるため、介護未経験者やブランクがある人でも積極的に採用したいという事業所を見つけやすいといったメリットがあります。また、地域密着の求人も多いので、できるだけ地元で働きたい人や、和気あいあいとした家族的な雰囲気のある小さな事業所などで働きたいという人にもおすすめです。
ハローワークでの転職活動が向いていない人
ハローワークでは、地域密着型の求人が多いだけに大手企業の求人はあまり多くありません。そのため、大手企業で働きたい人、スキルや収入のアップが目的の人にはハローワークは不向きであるといえます。
また、先述のとおりハローワークの求人の多くは、応募や面接の際に紹介状が必要です。ハローワークの利用可能時間は平日の8時30分~17時15分であるため、紹介状をなかなか取りにいけないという場合も多いでしょう。
そのため、働きながら転職活動をしたいという人にはおすすめできません。ただし、地域によっては夜間や土日に窓口を開けている場合もあるので、最寄りのハローワークの利用時間を調べてみましょう。
ハローワークの資格取得制度と活用のメリット
ハローワークでは、「公的職業訓練」(ハロートレーニング)という職業訓練の機会が設けられています。この「公的職業訓練」は「公共職業訓練」と「求職者支援訓練」とに分けられ、これらを利用することで介護資格を無料で取得することができるのです。
この公的職業訓練を利用するには条件があり、取得できる介護資格も限られています。しかし、介護資格を取得しておくと求職で有利に働く場合が多いので、条件を満たしている方や取得したい介護資格が当てはまる方は、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
ハローワークで介護資格を無料で取得できる制度がある
ハローワークの公的職業訓練の制度を使うと、「公共職業訓練」か「求職者支援訓練」で介護資格を無料で取得することができます。この制度は、ハローワークに求職の申し込みをしている方で労働の意思と能力があり、職業訓練によって支援する必要があるとハローワークに認められた方が利用できるものです。
筆記試験と面接に合格すると、介護資格取得のための講座を受講できます。介護資格取得のための訓練は基本的には無料ですが、テキスト代は実費となります。
テキスト代は取得したい資格によっても異なりますが、目安としては2~5万円程度です。また、人気の講座は定員に達するのが早く、申し込みが遅れると受講できない可能性があります。
そうした状況から、居住地域以外のハローワークで希望の講座を受けるとなると遠くなる場合があり、余計に交通費や通学時間がかさむことになるので注意しましょう。講座受講の対象となる方や、取得できる介護資格は次のとおりです。
公共職業訓練の対象者と取得できる資格
対象者は雇用保険を受給している求職者で、取得できる資格は介護福祉士、介護職員初任者研修、介護職員実務者研修の3つです。
求職者支援訓練の対象者と支援訓練
対象者は雇用保険を受給できない求職者で、取得できる資格は介護職員初任者研修と介護職員実務者研修の2つです。
ハローワークで資格取得の講座を受講すると就職の斡旋を受けられる
ハローワークは就職を目標としている施設なので、職業訓練の受講中でも就職サポートを受けることができます。
介護の仕事が初めての方やブランクがある人にとっては、ハローワークの相談員に相談しながら就職先を探すことができるためメリットとなるでしょう。
内部リンク:別途作成中の「ハローワーク 介護 資格」記事へリンク設定してください
ハローワークで自分に合った介護の職場を見つける方法
ハローワークが掲げる求人情報の多くには、給与や休日など基本的な情報だけしか掲載されていません。そのため、ハローワークで介護の職場を探すのであれば、ただ相談員に任せるだけでは自分に合った職場を見つけるのが難しいといえます。
ここでは、ハローワークで自分に合った介護の職場を見つけるための4つのポイントを紹介します。
インターネットで職場の情報や雰囲気、事業内容や理念を調べる
昨今、大抵の事業所はインターネット上にホームページを用意しています。ホームページでは施設の概要や事業内容、行事などを確認できるので、応募する前により詳しい情報を調べておきましょう。
また、最近ではブログを運営している事業所も多いため、職場の雰囲気を知るためにはブログもチェックするのもおすすめです。介護施設では必ず経営理念を掲げているので、自分に合った理念を持つ施設を選ぶようにしましょう。
職場見学に行く
職場の雰囲気を実際に感じるには、職場見学がおすすめです。雰囲気のよい施設は、利用者さんと介護士がともに笑顔で活気があり、清掃も行き届いている場合が多い傾向にあります。
職場見学では、仕事内容などの詳細を聞くだけではなく、笑顔や挨拶があるか、清潔感が保たれているかなど、職場の雰囲気を目で見て確認しましょう。介護士と利用者さんがきちんとコミュニケーションが取れているかどうかも重要な確認ポイントです。
相性の良い相談員を見つける
ハローワークの相談員は、様々な分野における就職の手助けを行っています。そのため、介護業界に精通している人は少ないといえます。とはいえ、まったくいない訳ではなく、なかには介護業界に詳しい人もいるのです。
自分と相性がいいなと感じる方や相談しやすい相談員がいたならば、名刺をもらったり名前を聞いたりして、次回も対応してもらえるように伝えることをおすすめします。
ハローワークでは、就職支援のほかに自己分析なども行っています。相性のよい相談員を見つけてサポートしてもらうと良いでしょう。
ハローワーク以外の転職サービスも活用する
自分に合った介護の職場を探すには、ハローワーク以外のサービスも活用することをおすすめします。ハローワークにしか掲載されていない求人があることは先述しましたが、逆の場合もあり、介護専門の転職サイトや求人情報誌、チラシなど、そのほかの求人情報媒体も探すことでハローワークにはない求人も見ることができるでしょう。
また、大手の介護求人サイトなどでは、掲載の際に厳格な審査が行われています。加えて求人を出すのに費用がかかったり、採用後に紹介料を払ったりする必要があるため、それなりのコストがかかっています。
つまり、大手の民間求人情報媒体に掲載されている事業所は採用コストを捻出できる企業といえるので、経営が安定している可能性が高いと見ることができます。また、大手の介護求人サイトにはエージェントが電話やメールなどで相談に乗ってくれるサイトもあります。
ハローワークに行く時間がなかなかないという人や大手企業への就職を考えている人、ハローワークではよい求人情報が見つからなかったという人は、ハローワーク以外の転職サービスの活用も検討してみましょう。
ハローワークを上手に活用して自分に合った求人を見つけよう!
介護職のニーズは高く、介護が未経験の方やブランクがある方も積極的に採用している施設が多くあります。求人数も豊富であるだけに、数ある求人情報のなかから自分に合う職場を探すのは難しいですよね。
また、社会福祉法人が運営する特別養護老人ホームや医療法人が運営する介護老人保健施設、民間企業が運営する老人ホームやデイサービスなど、施設の種類も沢山あるのです。そのような場合には、相談員に相談しながら探すことができるハローワークを活用しましょう。
介護は未経験でも始められる仕事ですが、介護業務は専門知識が必要な職業です。入職後に資格取得を指示されることも少なくありません。
ハローワークでは求人情報を探せるだけではなく、介護の資格が無料で取得できる制度もあるので未経験の方でも安心です。介護施設はどれも同じように見えますが、施設によって理念や方針が違います。
そのため、自分に合う施設を見つけるために、就職前には職場の経営理念や雰囲気をしっかりと調べておきましょう。無料で介護資格取得ができ、相談員に相談しながら求職できるハローワークを上手に活用して、ぜひとも自分に合った職場を見つけてください。