福祉人材センター・バンクの職業紹介実績報告では、令和3年6月の福祉分野の求人数・求職者数等の概況は、有効求人倍率は4.39倍となっています。
このような人材不足の介護業界で『無料求人広告のセールス」による詐欺被害も出ています。
今回は、『採用の手法』と『無料求人広告の回避の仕方』についてご紹介をします。リスクがあるとその対応に業務の手が取られてしまいますので、皆さんの施設・事業所の円滑な運営にご活用頂ければ幸いです。
目次
無料求人広告とハローワークの違い
無料求人広告
Indeedを代表とする「求人検索エンジン」や、有料求人サイトの無料掲載枠、その他広告収入を柱とする求人サイトなどは求人広告を無料で掲載できる場合があります。
ただし、「求人広告を無料で提供します」と信じ込ませて、実際には多額のお金をだまし取ろうとする場合もあるので、掲載の際は注意が必要です。
ハローワーク
国が運営する公共機関で、無料で求職者のご紹介をして頂けます。ハローワークから紹介による採用の事実証明があれば、助成金を頂ける場合もあります。(求職者の紹介状が必要です。)
ハローワークと人材紹介会社の違い
ハローワークは、国が運営する公共機関なので無料で人材をご紹介を頂けますが、人材紹介会社は、民間会社なので求人する会社から掲載料や紹介料を頂いています。
ハローワークへの求人掲載の流れ
下記にハローワークへの求人掲載の流れと『求人掲載ポイント』『原稿作成ポイント』を記載しました。
求人掲載の流れ
- 事業所情報登録
- 求人情報の入力(仮登録)
- ハローワークの窓口で内容の確認
- 求人情報の公開
- 求職者の応募
- 採用選考
- 採用
参考:ハローワーク「求人申込み手続きの流れ」
求人掲載のポイント
- 自分が求職者になった時に「どんな情報が知りたいか」考える
- 定期的に業務内容や給与の確認・修正を行い、情報を最新の内容にする
- 掲載期間は3ヶ月なので、継続掲載手続きを行う
- インターネットハローワークに求人が掲載できているかどうかを確認する
原稿作成チェックポイント
- 具体的な仕事内容がイメージできる表現になっているか
- 就業場所住所、電話番号に間違いはないか
- 会社・給与情報は最新の情報になっているか
- 処遇改善手当は試用期間中3ヶ月間は支給されない旨の表記はあるか
- 未経験者応募可の場合、専門用語を使用した表記となっていないか
- 第三者のチェックで印象を確認し、必要に応じて修正する
掲載期間が3ヶ月なので、継続掲載手続きを行っていないと、掲載がされなくなります。
ハローワークと人材紹介、求人サイトに求人を出すメリット
ハローワーク
国が運営する公共機関で無料で人材をご紹介頂けます。ハローワークから紹介による採用の事実証明があれば、助成金を頂ける場合もあります。(求職者の紹介状が必要です。)
人材紹介会社
人材紹介会社の場合は、試用期間中等、一定期間の間に、何らかの問題が生じた場合、人材会社によっては紹介料の減額があります。
求人サイト
求人サイトの場合、全国の転職希望者から応募を集めることが可能です。
費用は掲載そのものに費用が発生する「掲載課金型」や、1人の応募ごとに費用が発生する「応募課金型」、1人採用ごとに費用が発生する「採用課金型」などのタイプがあります。
ハローワークと人材紹介会社に登録する
求職者の中には、失業手当をもらうために求職活動の実績で、面接に来る場合もありますので、そのリスク回避のためにも、信頼できる人材紹介会社や求人サイトにも登録した方が良いでしょう。
求職者のハートをつかむ!仕事のイメージを膨らませるメッセージ例
ハローワーク、人材紹介会社のどちらもですが、求職者に求人を出している多くの介護会社から選んでもらうために、求職者のハートをつかむ!仕事のイメージを膨らせるメッセージを記載する必要がありますので、下記に一例をご紹介します。
勤務体制:交代制。週40時間勤務、夜勤明けは休みです。夜勤回数は相談に応じます。
未経験者に向けて:
- 初めての方には、スタッフがマンツーマンで指導いたします。
- まずは簡単な生活援助から行っていただき、先輩職員より介助業務を少しずつ覚えていただきます。
- 未経験でも安心して働けます。
- 職員ミーティングを定期的に実施し、全員が情報を共有して問題解決に当たることが出来るよう取り組んでいます。
- ブランクのある方も歓迎。
- 配偶者の扶養控除内で働くことが可能です。
- お子様がいらっしゃる方、時間的な部分は調整致します。
その他:
- 〇〇~〇〇代の方活躍中(活躍している年代を記載する)
- ユニフォーム貸与・食事代一部補助あります。
- 経験、能力、資格により処遇を決定します。
- 正社員への登用制度あります。現場リーダー、生活相談員、管理者を目指せる環境があります。施設見学、いつでもできます。
- パート社員はダブルワークも歓迎!
- 健康診断は入社時、その後毎年定期健診があります。(夜勤者は年2回実施)
- インフルエンザ予防接種の補助もあります。
無料求人広告を回避するポイント
- 口約束や契約の事後交渉などは全く意味を為さず、(そもそも約束など守りません)最初から取引を回避するしかありません。
- 「新人管理者で経験なく知りませんでした。」も弁解にはなりません。
- 訴訟となり敗訴した場合には、請求通りの支払いを行わざるを得ないこともあり得ます。
- 「支払いをしない旨」の折衝をするだけでも、業者によって罵詈雑言を散りばめ攻撃します。(脅迫まがいの内容もざらであり、下劣な態様の郵便物を拠点へ送りつけて来る業者などもいます。)
- 契約をした求人広告の求人効果についても全くありません。
まとめ
私のお客様も「無料求人広告掲載」である旨の説明で申し込みをさせて、自動的に有料期間に移行したとの名目で、広告料を請求させられるという手口で、被害に遭っています。
ハローワークで求人票を出している法人をターゲットにしていると思われますが、厚生労働省からも既に注意喚起がなされています。
しかしながら、契約自体は成立してしまっているケースが多く、訴訟となれば敗訴する可能性も相応にありますので、今回ご紹介した点を十分ご考慮下さい。
皆さんは喉から手が出る程、人材が必要でも、リーガルチェックの手間を省いてまで、本当にこれらのリスクを負いますか?
大事な人材を採用する時ほど、急がば回れです。
例え無料であっても新規取引の際には確認が必要であり、 関連事案についての被害を回避する為の一番の予防策は、「リーガルチェック(契約書確認)の実施を徹底すること」に尽きますが、皆さんお忙しい中採用活動されることも多いため、きちんとご確認されないことも多いかと思いますが、無料採用広告の勧誘にはくれぐれもお気をつけ下さい。