特養において、看護師はどのような仕事を行うのでしょうか。特養看護師の仕事内容ややりがい、どのような人に向いているのか、加えて気になる給与について紹介します。
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目次
特養とは?
特養とは、「特別養護老人ホーム」のことで、介護老人福祉施設とも呼ばれ、社会福祉法人や地方公共団体などの公的機関によって運営される施設です。要介護度3~5の高齢者が原則として終身で利用することが可能で、入浴や排泄、食事といった身体的な介護サービスが提供されます。
同じく公的な高齢者介護施設として「介護老人保健施設」もありますが、こちらは3ヶ月〜6ヶ月程度に入所期間が限定されている施設です。リハビリや医療ケアを行うことで入所者さんの生活自立度を高め、在宅復帰することを目指します。
特養で働く看護師は大変?仕事内容や役割
特養で働く看護師は、どのような仕事に従事しているのでしょうか。仕事内容や役割について見ていきましょう。
健康管理
毎日の健康管理は看護師の仕事です。体温や血圧のチェックはもちろんのこと、入居者さんの顔色や様子も細かく観察します。
入居者さんの変化に目ざとく気付き、必要によっては医療機関と連携をとって治療が受けられるようにします。
褥瘡の処置や胃ろうの管理、喀痰吸引
褥瘡がある利用者さんにはその処置を行います。基本的に褥瘡の処置は、看護職に就いている看護師や准看護師だけが行える医療行為となります。
また、胃ろうの管理や喀痰吸引も行います。これらも基本的には看護師が行う仕事ですが、介護職員でも喀痰吸引等研修を修了していれば担当することが可能です。
服用薬の管理
服用薬のある利用者さんに対しては、服薬管理も行います。これも基本的には看護師だけが行う仕事です。経口による服薬が難しい場合には、医師の指示に基づいて胃ろう管理の際に内服薬を投与することもあります。
外来受診や入退院の付き添い
特養では常勤の医師の配置が義務付けられてがいないため、医師が常駐している施設はほとんどありません。そのため、病院への付き添いや医師への説明などは主に看護師が担当します。
たとえば、持病がある患者さんは特養で生活しながらも外部医療機関に受診したり入院することもあります。この際には看護師が同行し、普段の健康状態を説明したり、服薬や注意事項などに関する医師の説明を利用者さんと一緒に聞いたりすることもあるでしょう。
急変時の対応
利用者さんの状態が急変したときは、看護師がバイタルチェックなどを行いつつ、速やかに医療機関に連絡します。介護職員も急変対応を担当することがありますが、そばに看護師がいる場合は看護師が中心となって対応することが一般的です。
口腔ケア、体位交換
特養では看護師も介護の仕事を行います。たとえば、利用者さんの口腔ケアや体位交換などの介護行為を介護職員と協力して実施します。
食事や排せつ、入浴等の生活介助
食事や排せつ、入浴など生活面での介助も介護職員と協力して行います。誤嚥リスクのある利用者さんに対しては細心の注意が必要になるため、看護職員が食事の介助を担当することもあります。
レクリエーション活動
特養では、時間を決めてレクリエーションを実施します。看護師も参加して利用者さんが楽しく過ごせるようにサポートします。
オンコール対応
特養では、夜間の看護対応に関して夜勤ではなくオンコール制を取っている施設が多い傾向にあります。日本看護協会の調査(※)によれば、3/4以上の特養が夜間にオンコール制を導入しており、次いで電話対応という結果となっています。
なお、特養に勤める看護師 1人あたりの月平均オンコール回数は5.2回です。
日本看護協会「介護施設等における看護職員に求められる役割とその体制のあり方に関する調査研究事業報告書」
特養看護師のやりがい
特養は、治療やリハビリなどのために一時的に利用する施設ではなく「生活の場」であるため、看護師は利用者さんとじっくりと関わることができます。急性期医療を必要としない方が多いので落ち着いて生活に介入でき、看護による利用者さんの変化を身をもって感じることができるでしょう。
また、特養では特に入所期間が決まっていないため、「終の棲家(ついのすみか)」として利用する方も少なくありません。特に看取り加算を取り看取りケアに力を入れている特養では、看護師は利用者さんやご家族と話し合ってどのような看取りをするかを計画し、他職種で形成された看取りチームの中心的な役割を果たしながら利用者さんに最期まで寄り添うことが求められます。
看護師は利用者さんの生活全般だけにとどまらず人生全体に関わることになるので、大きなやりがいを得られるでしょう
特養看護師に向いている人とは?
特養看護師には、どのような人が向いているのでしょうか。ここでは3つの要素を紹介するので、自身が該当するかどうかチェックしてみましょう。
利用者さんの生活に関わって長期的な看護を実施したい人
特養は基本的に終身利用向けの施設なので、利用者さんの出入りが頻繁ではありません。そのため、看護師も一人ひとりにじっくりと関わっていくことができます。
利用者さんと長期的かつ深く関わって看護を実践したい人には、特養は適した職場といえるでしょう。
落ち着きと根気強さを併せ持つ人
利用者さんにとって特養は生活の場です。もちろん、看護師には利用者さんのニーズに対してスピーディに対応することが求められていますが、病院のようにあまりにもテキパキとした行動をしていると、利用者さんにしてみれば急かされているような印象を持ちかねません。利用者さんが落ち着いてゆったりとした気持ちで生活できるように、看護師もせかせかせずに落ち着きを持って行動することが大切です。
また、特養に入居している利用者さんは回復が難しい状態なので、看護の成果があまり見えないことがあります。求めることは回復の成果ではなく利用者さんの生活の質を維持や向上です。目的をしっかり自覚して、看護の成果が見えなかったとしても利用者さんのケアをし続けることができる根気強さを持つ人が特養看護師として望ましいといえるでしょう。
規則正しい生活をしたい人
特養は看護師24時間常駐の要件はなく、基本的に日勤のみです。夜間の看護対応に関してはそれぞれの施設で違いますが、オンコール体制を取っている施設が多いです。。朝の健康観察から夕方までという働き方が一般的なので、規則正しい生活をしたい人にも適した職場といえるでしょう。
特養で働く看護師の給料
病院と比べて介護施設の基本給が低いということはあまりありませんが、夜勤のない特養で働くと夜勤手当がない分だけ病院看護師よりも給料が低い傾向にあります。経験や諸手当にもよりますが、年収は350~500万円程度、パート看護師の場合は時給1,300~2,000円ほどを見ておくことができるでしょう。
特養でも病院と同程度の給料を希望する場合には、夜勤があるかどうかをチェックしてください。また、非常勤ではなく常勤看護師として働くことで責任ある仕事や役職を任され、それが給料に反映されることもあります。
求人を見る際にはどのような働き方なのか、また、どのような立場の看護師を求めているのかもチェックするようにしましょう。
看護師の経験を活かして特養で働くのも一つの選択肢!
仕事内容や働き方に関して、何を理想とするかは看護師それぞれの価値観によって異なります。入居者さんの介護や看取りに興味がある方や、夜勤を避けたい方、ゆったりとしたペースで働きたい方は特養も検討してみましょう。
また、高齢者の看護や介護に興味がある方は、特養などの公的施設以外にも民間企業による有料老人ホームなども検討できます。自身がどんな仕事を求めているのかをリストに書き出してから転職活動を行うようにしましょう。