ケアマネは、要介護者のケアプラン作成をはじめとして、介護には欠かせない業務を行う職業です。今回は、グループホームにおいて配置が義務付けられているケアマネについて、業務内容や待遇、グループホーム勤務における特徴をまとめました
目次
グループホームに不可欠なケアマネの存在
グループホームとは、認知症の高齢者が少人数での共同生活を送る小規模の介護施設です。入居後は介護福祉士など介護職員のサポートを受けながら生活リハビリなどを行い、認知症の症状進行予防や進行緩和、自立した生活を目指します。入居の条件は、要支援2または要介護1以上かつ認知症の診断を受けた人で、5~9人の「ユニット」での生活が基本です。
グループホームの人員基準では、ユニットごとに最低1名の計画作成担当者が必要で、そのうちの1名は介護支援専門員の有資格者と定められています。つまり、グループホームにおいてケアマネの存在は不可欠ということです。ただし、2021年よりこの人員基準が緩和され、最大3ユニットまでの兼務が可能となる予定です。
グループホームにおけるケアマネの業務内容と待遇
ケアマネの業務は、働く事業所のサービス形態によって異なります。例えば居宅介護支援事業所では介護施設と異なり、在宅の要介護者を訪問してケアプランを作成する必要があります。
では、グループホームでのケアマネの仕事はどのようなものなのか、業務内容や待遇について見ていきましょう。
ケアプランにかかわる業務や書類提出
ケアプランの作成は、ケアマネの主業務となります。グループホームでは、入居者さん一人ひとりに合ったプランを作成することはもちろん、ケアプランの内容について入居者さんのご家族への説明や同意を得ることも業務のひとつです。
作成したケアプランが入居者さんに適した内容かを確認し、見直しをする場合もあります。また、ケアが介護サービス予定表どおりに実施されているかを確認し、その実績から給付管理票を作成したり、健康保険団体連合会への介護給付費請求に必要な書類を作成したりもします。
日常的な介護業務との兼務が多いのが特徴
グループホームで働くケアマネの特徴として挙げられるのが、介護業務との兼務が多い点です。グループホーム以外の介護施設でもケアマネが介護を兼務することはありますが、グループホームは少人数制の施設であるため、ほとんどの場合ケアマネは介護業務もこなすこととなります。施設によっは介護業務のほうが多かったり夜勤が発生したりすることもあるので、グループホームへの転職を希望する場合は事前に確認すると良いでしょう。
介護職との兼務で特定処遇加算対象に
2019年に新たに創設された「介護職員等特定処遇改善加算」は、技能や経験のある介護職員の待遇改善を目的とした加算で、従来ケアマネは対象外でした。しかし、グループホームで見られるように介護業務との兼務が多いケアマネが多いことからも、実態に即した加算を行えば、介護業務を兼務するケアマネの不公平感がなくなると見込まれます。
2021年の介護報酬改定で処遇改善の期待も
ケアマネの給料は、一般の介護職員より高めではありますが、業務内容や業務量に対して実際にもらう報酬が見合っていないという声も聞かれます。さらに、2018年からケアマネの資格である介護支援専門員の受験資格が厳しくなったこと、処遇改善がなかなか進んでいないことから、ケアマネを目指す人が減少傾向にあるともいわれます。
2021年に行われる介護報酬改定では、そんなケアマネの処遇改善が議論に上がっています。資格取得に見合った職業としても、次回の処遇改善が期待されるでしょう。
ケアマネがグループホームで働くには
ケアマネは、グループホームでは欠かせない人材です。施設によっては非常勤で働ける場合もあるため、家庭やプライベートと両立しての勤務も可能となります。
ケアマネ不在のグループホームは要件を満たせない
先述のように、介護支援専門員の資格を持つケアマネは、グループホームの人員基準を満たす上で必要な人材です。逆にいえば、ケアマネがいないグループホームは要件を満たせないというわけです。複数名の計画作成担当者がいる場合は、介護支援専門員の資格がなくても担当可能な職業ですが、サービス計画作成の従事経験が求められます。
なお、介護支援専門員の資格の有無にかかわらず、グループホームで計画作成担当者として働く際には各都道府県が実施する「認知症介護基礎研修」または「認知症介護実践者研修」の修了が必要です。特に「認知症介護実践者研修」を修了していれば、転職でも有利になるでしょう。
非常勤で勤務可能なグループホームもある
グループホームでの勤務は、常勤でなければならないというイメージを持っている人もいるかもしれませんが、施設によっては非常勤で勤務できるところもあります。
ケアマネは、入居者さん一人ひとりに最適なプランを作成する担当者なので、常勤でなければケアプランの作成が難しくなると思われがちです。しかし、必ずしも常勤である必要はありません。入居者さんの状態や変化を把握するに足る勤務時間であれば、非常勤として勤務することも可能で、非常勤の求人を見つけることもできるのです。
ケアマネはグループホームに必要な存在
グループホームで勤務する場合、介護業務を兼務することが多い分、特定処遇改善加算の対象となることによる給料面でのアップが期待できます。認知症高齢者の介護を担当することになるため、認知症ケアのスキルアップにもつながる職業です。グループホームは、ケアマネにとって専門知識の拡充とスキルアップを図りながら働ける職場といえるでしょう。