介護職員へのOJT~応急処置の対応②~

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介護職員へのOJT~応急処置の対応②~

職場内教育(OJT:On the Job Training)は、業務の中で教育・指導を行うことにより実践力を高める目的があります。
突発的に発生する応急処置の対応に関しても、OJTでの指導を経ていない職員は適切な対応が分からず、対応が滞った結果利用者の命に関わる恐れがあります。

今回は、『職員へのOJT~応急処置の対応②~』について、傷病ごとにご紹介しますので、日々の業務にご活用いただければ幸いです。


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転倒・転落による骨折

転倒・転落による骨折

高齢者は骨がもろくなっているため、軽い衝撃でも骨折してしまう方が多い傾向にあります。
若い人に比べ、治癒するまでには時間がかかり、その間安静の必要性から活動性の低下や認知症の進行につながる恐れもあります。

観察点(確認すること)

骨折の症状

  • 激しい痛みがあり、動かしたり触ったりすると痛みが増すか
  • 曲がったり、形が変わっているか
  • 腫れがひどい、変形しているか(手足の骨の場合には骨折した側が萎縮する)
  • 動きがおかしい、変な方に動くか
  • 動かすと音がするか(骨折した骨同士が擦れると音がする)
  • 動かせない状態か(受傷と同時に動かせなくなるか)

転倒骨折しやすい部位

  • 前腕骨(ひじから手首までの骨)
  • 上腕骨(肩から肘までの腕の骨)
  • 大腿骨頸部(股関節の中で足の付け根からひざまでの太ももの骨を支える頸の部分)

対応方法

  • 痛いところはできるだけ動かさず安静にして観察する
  • 痛みや腫れが強い場合、腫れが青く変化している、動かせない、動かすと激痛がある、違和感があるなどの場合は受診する
  • 搬送は本人が一番楽な姿勢をとって行う
  • 他の部位にも損傷がないかチェックする
  • 高齢者の場合、本人が大丈夫だと言っても受診し、レントゲン写真で確認してもらう

受傷箇所への対応の基本

  1. 安静にする
  2. 冷やす
  3. 痛みのある部分を持ち上げる

熱傷、低温熱傷

熱傷、低温熱傷

お茶を出した際に利用者がコップを掴もうとして膝の上にお茶をこぼしてしまうといった不注意から起きるやけどだけではなく、ベッドに入れた湯たんぽで低温やけどを引き起こしてしまうなどの予防できるものもあります

観察点(確認すること)

熱傷にはレベルがあるのでまずはどの程度か確認しましょう。高齢者の場合、特に皮膚が弱いため、深く熱傷を負いやすい傾向にあります。対応策としては、湯たんぽなど低温やけどの原因になりうるものは身体から20cn以上離した位置に置くようにしましょう。

  • Ⅰ度熱傷:表面の皮膚(表皮)のみのやけど。痛みが強いのが特徴。皮膚が赤くなっている。
  • Ⅱ度熱傷:表皮の下にある真皮層のやけど。痛みがあり、水疱が形成される。
  • Ⅲ度熱傷:皮膚の最も深い層である皮下組織に及ぶやけど。皮膚は硬くなり、やや白く変色する。

対応方法

  • ともかく冷やす
  • 衣服を着ているときは脱がす前に水をかけて冷やす
  • 水疱はつぶさず、清潔なガーゼやタオルを濡らして当て、医療機関を受診する

脱水

脱水

夏だけではなく、ついつい忘れがちになってしまう水分補給ですが、脱水もとても危険な傷病です。

原因

  • 経口水分摂取量が少ない
  • 利尿剤の服用
  • のどの渇きの感受性の低下
  • 食欲不振、嚥下困難など

観察点(確認すること)

  • 皮膚の乾燥状態(ハンカチーフサイン:皮膚をつまんですぐに戻るかどうかで確認)
  • 口唇、口腔内の乾燥状態
  • 心拍数の増加の有無
  • 尿量の減少、尿回数の減少
  • 倦怠感の有無
  • 微熱

予防策

  • 水分の補給をしっかりする(個人差があるが、1日平均1.5~2リットル)
  • 1日の水分摂取量のチェック
  • スポーツドリンクの活用
  • 下痢の場合、冷たいものは下痢の症状がされに強くなるために温度注意
  • 水分の補給ができないときは早めに受診する

対応方法

  • 様子を見ていると状態が悪化し回復が困難になるため早急な手当てが必要
  • 糖尿病、心疾患の方には補給する水分の種類に注意
  • 下困難により水分補給が充分行えない場合は、水分補給ゼリーで水分を補います。

水分補給ゼリーの作り方

分量

  • スポーツ飲料(粉末) 1袋74g
  • ゼラチン 15~20g
  • 水 1000ml

作り方 

  1. ゼラチンは100mlの水でふやかしておく
  2. 鍋に湯を沸かし(900ml)、スポーツ飲料の粉末を入れる
  3. 2にふやかしたゼラチンを加え、溶かす
  4. 3の粗熱を取り100mlくらいの容器に小分けで入れ、冷蔵庫で冷やし固める

※ゼラチンの量はやわらかい(15g)~かため(20g)で調整し、硬さは好みにより加減する

OJTを行うポイント

OJTを行うポイント

前述した内容は、現場における業務教育のあり方にバラつきが生じる懸念を解消する目的で一つの目安としてご紹介しました。

よりよいOJTを行っていただくために、さらに効果的に行うポイントをまとめてみました。

  1. 管理者は、職員を採用したら入社資料について説明を行う。この時、職員OJT研修の説明も合わせて行う(この時点で指導者が決まっていることが望ましい)。
  2. マニュアルを活用してOJTを実施する場合は、事前にマニュアルを渡し、研修開始前までに研修対象者である職員に目を通してもらっておく。
  3. 選任された指導者は、OJT研修実施前までに研修計画を立案しておく。
  4. OJT研修期間は、職員の能力に合わせて短縮・延長する。
  5. 採用の7~10日後に、管理者による面談を実施し、管理者は必ず面談の記録を残しOJT研修の振り返りも行う。
  6. OJT修了時は、指導者も交えて改めてOJTの研修の振り返りを行う。

OJT修了後のゴールを基に、毎月目標を立て、反省点、改善点を指導者と振り返りましょう。一緒に考え、小さな悩みや不安を解決することで信頼関係が生まれていき、やがて利用者へのよりよいサービスへつながっていくでしょう

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