【LIFE基礎知識】ADLの維持・改善を計る「バーセルインデックス」とは

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【LIFE基礎知識】ADLの維持・改善を計る「バーセルインデックス」とは

令和3年介護報酬改定では、「自立支援・重度化防止の取組の推進」の中の「介護サービスの質の評価と科学的介護の取組の推進」として、ADL維持等加算について、通所介護に加えて、認知症対応型通所介護、介護付きホーム、特養に対象を拡充し、クリームスキミングを防止する観点や加算の取得状況等を踏まえ、要件の見直しを行い、ADLを良好に維持・改善する事業者を高く評価する評価区分を新たに設けられました。

ADL維持加算を取得するには、バーセルインデックス(Barthel index:BI)の測定が算定要件に明記がされています。LIFE(科学的介護情報システム)でも必須入力項目として用いられており、導入に基づく情報共有などにも、ご活用頂ければ幸いです。


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「バーセルインデックス」の概要

Barthel indexとは?

簡素、容易、明解なADL評価法として、アメリカの理学療法士バーセル氏によって1955年に開発され、その後、バーセルインデックスは世界的に普及し、国際的なADL評価手法(日常生活動作の能力を評価)の一つとして確立しました。ADLの評価表で全10項目を自立・部分介助・全介助の分類で100点満点で採点。

背景(アウトカム評価と重度化防止)

近年、介護保険分野ではサービスの利用によって介護度が軽減されたことを評価する動きが出てきています。平成30年新設のADL維持等加算からBIを利用するようになり、介護度の悪化を防いだ、または改善させた成果に対して報酬(インセンティブ)が得られるようになりました。

令和3年度から導入されたLIFE(科学的介護情報システム)では必須入力項目としてBIが用いられており、BIはアウトカム評価の指標として介護業界においても理解が求められるようになっています

「バーセルインデックス」の特徴

メリットとデメリット

メリット

  1. シンプルで分かり易い(満点100点~0点 項目は10項目 採点が簡便で時間がかからない)
  2. 世界共通の評価法
  3. ご利用者の最大限の能力が把握できる

デメリット

  1. 点数が大まか
  2. 細かいADL能力を把握しにくい
  3. 時系列的な変化を捉えずらい
  4. しているADLを把握できない

その他

移動・移乗の項目の配点が高い

「バーセルインデックス」の特徴(できるADL)

できるADLを評価

ご利用者が検査や訓練という形で実施できた能力を指します。したがってBIでは患者や利用者の最大限の能力が評価されやすくなります

「バーセルインデックス」の特徴(BADLとIADL)

ADL(Activities of Daily Living)の分類

BADL(Basic Activities of Daily Living)
人が日常生活を送る中で必要な最も基本的な生活動作

IADL(Instrumental Activities of Daily Living)
「手段的日常生活動作」と呼ばれADLよりも高次で複雑な生活動作のことを指します。
バーセルインデックスが満点であったとしても、1人で生活できるとは限らない
  例)「自分の身の回りのこと以外で困ったときにSOSを求めることができるか」
    「調理時に火の管理ができるか」
    「金銭管理を含めた買いものができるか」…これらは全てIADL

バーセルインデックスで評価するのはBADL
「バーセルインデックス」の採点方法
自立・部分介助・全介助で評価
バーセルインデックスの評価は、自立・部分介助・全介助で評価
多くは自立10点、部分介助5点、全介助0点(移乗と歩行は自立が15点、整容と入浴は自立が5点)

自立の定義

いずれの項目においても介助者や監視者(見守り)が不要であることが求められ、誰もいない状況でも安全に動作ができること

バーセルインデックスのカットオフ(正常とみなす範囲を区切る値)

リハビリ評価表_バーセルインデックス (評価用紙)参照
 100点:動作全般が自立している
 85点以下:介助を要するが程度は少ない
 60点以下:姿勢を変える動き(起居動作)にて介助を要する
 40点以下:ほとんどの項目にて大きな介助を要する
 20点以下:全介助を要する

2024年度 介護報酬改定で進められる介護文書申請・届出の変更のポイント
介護分野の文書に係る負担軽減の実現に向けた、次期介護報酬改定のポイントを分かりやすく解説します。

食事

ポイント

  • 自立して食べているか、介助して食べているかどうか
  • 道具を使っていても標準時間内に食べ終えることができれば自立

車椅子からベッドへの移動

ポイント

  • 車椅子に乗っていない時点で自動的に自立(15点)
  • 車いすを使っていても介助を必要としないで自分で行っている人は15点
  • ブレーキやフットレストの管理ができない方は10点

整容

ポイント

  • まずは最高5点であり、全部できなければそれ以外は0点

トイレ動作

ポイント

  • 道具の使用(P-トイレの有無)に関わらず自分で全部自立していれば10点

入浴

ポイント

  • シャワー浴でも自立対象(またぎ動作できない人でもOK)
  • 見守りでも0点になる

歩行

ポイント

  • 杖、ピックアップ歩行器で45m以上一人で歩ける人は15点、装具使用もOK
    (車いす、車輪付き歩行器を使っている人は15点にはならない)
  • 歩行器使用や歩行に介助(見守り含む)で45m以上一人で歩ける人は10点
  • 歩けない人が対象(車いすの方)で45m以上一人で操作できれば5点

階段昇降

ポイント

  • 手すり等の周囲の環境を使って階段が一人で安全に昇降できれば10点
  • 昇降はできるけど不安定で見守りが必要な方は5点

更衣(着替え)

ポイント

  • 全て自分でできれば10点
  • ボタンは付けられないけど羽織ることができるなど一部介助が必要なら5点

排便コントロール

ポイント

  • 失敗がない方は10点
  • 自分で座薬、浣腸を使っていても一人で行うことができていたら10点
  • たまに失敗してしまう方は5点

排尿コントロール

ポイント

  • 失敗がない方は10点(失禁せずに収尿器を一人で使い排尿できれば自立)
  • たまに失敗してしまう方は5点(収尿器の使用に介助が必要も5点)

まとめ

これからのスタンダードのバーセルインデックス(Barthel index:BI)

今後も医療だけでなく介護現場においても「科学的介護」や「自立支援・重度化防止」を促進する動きが活発になってくることが予想されます。バーセルインデックスは専門職でなくても一定の理解があれば誰もが適切に行えるものです。

ADL評価の意義と自立支援

利用者の全体像を把握して。よりよいケアを実施や自立支援につながるように、利用者が何が出来て何ができないという「気づき」を得るためのアセスメントだと思います。バーセル評価を“作業ではなく利用者について、分かっているようでわかっていないことを把握する機会”として上手に活用し、実際のADL向上に向けて活用頂けば幸いです。

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