介護施設のレクリエーションについてその目的や種類を徹底解説

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
介護施設のレクリエーションについてその目的や種類を徹底解説

レクリエーションは、多くの介護施設で取り入れられていますが、その目的をご存知でしょうか?退屈な時間を潰すためだと思っている人もいるかもしれませんが、レクリエーションには様々な効果が期待できるのです。この記事では、レクリエーションの目的や種類、具体例などについて解説します。

レクリエーションの必要性とは

高齢になると、思うように体が動かなかったり痛みなどの症状が出てきたりして、体を動かすことがつらくなる方も多くいらっしゃいます。しかし、体を動かす機会が減ると骨や筋肉、関節などの機能が低下し、さらに体を動かすことがつらくなるという悪循環に陥ります。軽い運動を取り入れたレクリエーションをすることで、身体機能の向上や低下を予防する効果が期待できます。そのほかにも、頭の体操になるようなレクリエーションをすることで、認知症の予防や症状の進行を食い止める効果が期待できるでしょう。レクリエーションは楽しいからやるということだけでなく、様々な効果を期待して行われているのです。

レクリエーションの4つの目的

レクリエーションとは、どのような目的で行われるのでしょうか。4つの目的について解説します。

他者とのコミュニケーションを促す

体力の衰えなどから、誰かと一緒に何かをするのを敬遠してしまうという高齢者の方はたくさんいらっしゃいます。一人暮らしであれば外出を控えるようになり、介護施設で暮らす人は自分の部屋にこもりがちになるなど、意識して行動しないと、他者と関わり合う機会が減ってしまいます。これが、引きこもりや老人性うつの原因にもなるのです。 レクリエーションに参加することで仲間ができ、仲間と同じ時間を過ごすようになるとデイサービスに出かけたり、介護施設でも自分の部屋から積極的に出ていったりするでしょう。他者とコミュニケーションをとることで気持ちも前向きになり、引きこもりや老人性うつを予防する効果が期待できます。

身体機能を向上させる

年齢を重ねれば体力的な衰えはある程度仕方がないことですが、仕方がないからといって体を動かすことを避けていては身体機能が低下する一方です。意識して体を動かす機会を作り出さないと、軽い運動でも億劫に感じてしまいます。ほとんど動かずに一日を過ごすような日が続くと、身体機能はどんどん低下し、要介護度が上がることにつながってしまうでしょう。とはいえ、自分で意識的に運動する機会を設けたり、ひとりで運動したりするのはなかなか難しいものです。そのようなときに、助けになるのがレクリエーションです。決まった頻度で運動習慣を身につけることができ、仲間と一緒であればひとりで行うより続けやすいといったメリットがあります。

脳を活性化させる

手先を使った細かい作業や言葉などを使って考えながら行うレクリエーションは、脳の活性化につながります。脳を活性化させると、認知症の予防や症状の進行を遅らせることに効果を発揮するでしょう。手芸がもともと好きだった人や絵を描くことが得意だった人などは、自分の好きなことや得意なことをすることでストレス解消にもなります。

生活の質を向上させる

生活の質はクオリティオブライフはQOLと略され、人間らしく楽しんで生きるほどQOLが高く幸福度が高いとされています。日常生活の動作(ADL)において自分でできることが減ってしまえば、気持ちの面でも落ち込むことが考えられます。また、他者とのコミュニケーションがなければ、生きがいを見出しにくくなるでしょう。 つまり、レクリエーションの目的として挙げた3つは、すべてQOLの向上に直結しているのです。介護が必要になっても人間としての尊厳を保ち、人間らしく生きる喜びや楽しみをどう生み出していくかが大切であり、それがレクリエーションの総合的な目的だといえます。健康に楽しく長生きするためには、QOLとADLの向上が大きなポイントとなります。

レクリエーションの3つの種類

レクリエーションには、どのような種類があるのでしょうか。代表的な手法を3つ紹介します。

集団レクリエーション

集団レクリエーションとは、複数人のグループで同じ内容を同時に行うものです。利用者同士でコミュニケーションをとってもらうことになり、仲間意識や絆が芽生えるきっかけになります。他者とのコミュニケーションが新たな生きがいになったり、レクリエーションのために身体機能の向上を目指すような、生活目標につながったりするケースもあります。ただし、集団レクリエーションは仲間の輪に入るまで抵抗感を示す人も多いため、無理強いしないことが大切です。

個別レクリエーション

個別レクリエーションとは、ひとりひとりのニーズに対応したものです。完全に個別ではなく、ニーズが近い人を集めて少人数のグループで行うケースもあります。集団レクリエーションに抵抗感が強い人や他者とのコミュニケーションが難しい人など、個別レクリエーションを必要とする人もいます。個別レクリエーションを実施するときには、利用者さん個人の状況や好みを把握しておくことが重要です。

基礎生活レクリエーション

基礎生活レクリエーションとは、わざわざレクリエーションの時間を設けるのではなく、日々の暮らしのなかに心地よく感じる時間や空間を増やしていくものです。食事や入浴の時間に懐かしい音楽を流すこと、共用スペースに花や絵画を飾ることなどが挙げられます。

レクリエーションの具体例

では実際に、どのようなレクリエーションがあるのでしょうか。レクリエーションの具体例を4つの種類に分けて紹介します。     

頭を使うレクリエーション

頭の体操になるようなレクリエーションは、脳の働きを活性化させるのに効果的だとされています。脳をしっかりと活性化させるためには、「考えること、挑戦すること、判断すること」の3つが大切です。簡単な計算を解いていくゲームやパズル、しりとりなどの言葉遊び、カードゲームやボードゲームなどが挙げられます。

手先や指先を使うレクリエーション

細かい作業のレクリエーションは、脳の働きを活性化させるとともに手先の動きがどれほど維持できているかの判断材料にもなります。ハサミを使った工作や針を使った手芸などが挙げられます。自分で作ったものを介護施設内に飾ったり家族や仲間へのプレゼントにしたりするといった、レクリエーション以外の楽しみも創出できるのが魅力です。

体を使うレクリエーション

体を使うレクリエーションは、老化現象の進行を食い止めたり寝たきりを防止したりすることで、自立支援のサポートにつながります。身体機能に合わせたやり方で、無理なく適度な運動を行うことが大切です。体がしっかりと動く人であれば風船バレーやボール運びなどが可能ですが、ゲームに夢中になりすぎると転倒などの危険性があるため、十分注意しながら行いましょう。

リラックスできるレクリエーション

介護施設で生活する高齢者は、日常生活にある程度のストレスを感じているケースが多いです。自分の家で暮らしたいと思っていても、それが叶わないなどの事情がある人もいます。だんだんと衰えていっていることに不安を覚える人もいるでしょう。運動や工作などでストレス解消ができる人もいますが、体が動かせる人ばかりではありません。そのため、リラックスやリフレッシュを目的としたレクリエーションも行われています。心や体を落ち着けることや気分転換を目的とするものには、ハンドマッサージやアロマテラピーなどが挙げられます。

様々な効果が期待できるレクリエーション!

レクリエーションには、身体機能の向上やストレス解消など様々なよい効果を期待できます。最初は抵抗感を示す人であっても、仲間ができたり楽しみができたりすることによって生き生きとした表情を見せてくれることもあるでしょう。レクリエーションにはどのような目的があるのか、どのような種類があるのかなど、正しい知識を身につけたうえで実践しましょう。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加