少子高齢化が進むなかで介護の仕事は高い注目を集めており、介護関連の資格も数多くあります。なかでも、需要の高まりが特に顕著だといえるのが、レクリエーション介護士の資格です。介護資格には興味があるものの、その資格についてはよく知らないという人のために、レクリエーション介護士とはどのようなもので、資格を取得するにはどうすればよいのかなどについて解説をしていきます。
目次
レクリエーション介護士とは?
介護の現場では、要介護者の身の回りのお世話だけをすればよいというわけではありません。機能回復訓練や介護予防の指導に加え、現代ではそれらと同じくらいに高齢者に対してレクリエーションを提供することが重視されています。なぜなら、介護の現場でレクリエーションを充実させていけば、高齢者にとって生きがいや喜びの創出をもたらし、ひいては身体機能や健康の維持増進にもつながっていくと考えられているからです。そこで、2014年に誕生したのがレクリエーション介護士の資格です。
レクリエーション介護士とは簡単にいえば、高齢者福祉施設や介護現場においてレクリエーションをおこなうための高い技術を身につけていると認定された人を指します。こういう言い方をするとハードルが高そうだと感じる人もいるかもしれませんが、決してそんなことはありません。自分の趣味や知識を活かして利用者さんに喜んでいただけるよう、高齢者とのコミュニケーションのスキル、レクリエーションのスキルを身につけるための資格です。高齢者に喜んでもらいたいという気持ちがあれば、誰でも挑戦できる資格です。 レクリエーション介護士とは、「趣味や特技といった自分なりの個性を活かしたり、独自のアイディアを用いたりすることによって、高齢者にとって必要かつ楽しいレクリエーションを提供できる人」と言い換えることも可能です。
レクリエーション介護士資格について
では資格の成り立ちや仕組み、あるいは取得することによって得られる能力やメリットなど、レクリエーション介護士の資格に関するより詳しい内容について紹介していきます。
どんな資格なの?
レクリエーション介護士について語るうえで欠かせないのが、これは現場の声によって生まれた資格だという点です。そもそものきっかけは、とある介護サイトの5万人の会員に対してアンケートをとったところ、思いのほかレクリエーションに関する悩みが多かったことにあります。そして、レクリエーションの専門知識を学ぶための研修制度を求める声が全体の9割を超えるという圧倒的なニーズに後押しされてこの資格が誕生したというわけです。そこには、「現場を笑顔にするために、もっと高齢者とコミュニケーションをとれるようになりたい」という多くの人の想いが込められています。
さらに、アンケートの他にも、介護施設200事業所を対象としたヒアリング調査を実施して生の声を集めたものや専門家からの意見を結集したものを最大限に反映させたのがこの資格です。そのため、レクリエーション介護士資格は単に知識の有無を問うだけのものではなく、介護現場で本当に求められている能力が身につけて実践できることを前提としています。
ちなみに、資格には2級と1級があり、それぞれ役割が異なります。2級はレクリエーションを通じて高齢者とスムーズなコミュニケーションをとることが主な役割なのに対して、1級はファシリテーション能力と呼ばれるリーダーシップを身につけ、人材育成と現場の活性化を促す役割を担っているのです。
身につく能力!
レクリエーション介護士資格の取得を目指すことによって、主に3つの能力の獲得が期待できます。
一つ目がコミュニケーション能力です。
資格を取得するには「高齢期の心と体の変化」「高齢者との対話術」「適切な表情や声の掛け方」「高齢者の状態に応じたコミュニケーション法」といったものを学習しなければならず、その過程において、高齢者と意思疎通を図る技術を自然に身につけていくことができます。
2つ目の能力としては企画力が挙げられます。
この分野に関しては「楽しさを引き出すレクリエーション素材の種類」「レクリエーション企画の立て方」「レクリエーション企画の書き方」といったものを学んでいきます。
その学習を経れば、個別・集団・カルチャー・イベントなどの、さまざまな種類のレクリエーションについての知識を得られ、同時に、それらの企画を自ら作り出す能力が身についていきます。
そして3つ目は実行力です。 レクリエーションに関する「段取りの組み立て方」「実行前の心構え」「実行の仕方」「高齢者に対する安全配慮や注意事項」などを学んでいくことで、目的とコンセプトを明確にしながら企画を実行に移すスキルが養われていきます。
資格取得のメリットは?
介護や福祉の施設でそれなりの経験を積んでいても、レクリエーションに関しては苦手だという人は少なくありません。だからこそ、レクリエーション介護士資格の取得は施設での活躍の機会を増やすことにつながります。 BCC株式会社 スマイル・プラスカンパニー運営「介護レク広場」での調査によると、職員にレクリエーションについて学ばせたいと考えている施設は8割以上という結果が出ており、いかに高い需要を秘めているかがわかります。また、施設だけでなく、ボランティアへの参加など、介護業界での活躍の幅が広がるというメリットがあります。それに、両親を介護しなくてはいけなくなったときに、資格取得の際に得たスキルによってスムーズにコミュニケーションがとれるのも魅力の一つでしょう。
資格取得を目指すためには
資格を取得するまでの流れや、資格取得に必要な学習時間や費用について解説します。
取得までの流れを知ろう
レクリエーション介護士の資格取得の流れは2級と1級で異なります。
まず、2級の場合は通信講座か通学講座のどちらかを受講し、講座完了後に自宅で筆記試験を受けるというのが大まかな流れです。そして、正答率60%以上で合格となり、合格者には認定証が送られます。
1級の場合は、高齢者と触れ合って親密な場を作り上げるにはどうすればよいかを実践するアイスブレイク体験をおこない、さらに、4日間の講座受講・フォローアップ研修・現場実習を経て筆記試験となります。2級の時とは異なり、試験の日時と会場は協会指定となるので注意が必要です。こちらも正答率60%以上で合格となり、認定申請をおこなうことで認定証がもらえます。
取得にかかる時間と費用目安
取得までの時間には個人差があり、講座の受講先などによっても変わってきます。
2級の場合は3ヶ月ほどかけて通信講座で学ぶ場合や、2日間学校に通って集中して学場合など様々です。必要な費用は35,000~40,000円程度が一般的です。
1級の所要期間はかなりの長期に及びます。4日間の受講の他にもレクリエーション活動が3回以上あるなど、こなさなければならない研修や実習が含まれます。 また、すべての日程が間隔を開けておこなわれるため、トータル期間としては約6ヶ月程度を目安としておくと良いでしょう。費用については、1級の場合はおおよそ100,000円程度になります。
レクリエーション介護士になって笑顔を届けよう!
介護の資格は要介護者の日常生活における支援やリハビリをおこなうためのものという側面が強く、喜びや生きがいを感じてもらうためにはどうすればよいかといった点は二の次になっていました。レクリエーション介護士はそうした点を補うために誕生した資格です。レクリエーションを通して施設の利用者さんに笑顔を届けるためにも、レクリエーション介護士の資格取得を目指してみてはいかがでしょうか。