介護職が離職する本当の理由と、離職を防ぐ具体的な5つの対策

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介護業界は「離職率が高い」というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、介護労働安定センターの調査結果を見ると、介護労働者の勤続意欲は上昇傾向にあります。

今後さらに勤続意欲を高め、離職を防ぐには離職に至った理由を理解し、適切な対応をとる必要があるでしょう。


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介護職の離職に関する現状

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介護職の採用率と離職率の推移

介護労働安定センター発表の「介護労働実態調査」によれば、平成30年10月1日から令和元年9月30日までの採用率は18.2%(18.7%)、離職率は15.4%(15.4%)という結果でした。昨対比で見ると、離職率の数字自体は横ばいの状況です。

平成24年度では「18.3%」だった離職率を考慮すれば、介護現場は大きく改善されつつあるといえるでしょう。

参照:公益財団法人 介護労働安定センター 令和元年度「介護労働実態調査」の結果

介護労働者の勤続意欲は上昇傾向

介護労働安定センターの調査によると、勤務先に関する希望について回答を求めたところ、正規職員、非正規職員ともに「今の勤務先で働き続けたい」という回答が最も多くなっています。

介護保険サ-ビス系型別で見ると、すべてのサービスで「今の勤務先で働き続けたい」が50%を超えており、訪問系においては60%半ばという高い結果となりました。性別で見ても男女ともに「今の勤務先で働き続けたい」が最も多く、男性が56.9%、女性が59.2%という結果が出ています。

「今の勤務先で働き続けたい」と答えた方は平成28年度から3年連続で上昇しました。一方「介護関係の別の勤務先で働きたい」は7.2%(7.3%)、「介護・医療・福祉関係以外の別の勤務先で働きたい」は4.0%(4.2%)、「わからない」は22.1%(23.0%)と、前年度より低下傾向にあり、介護人材の勤続意欲は高まっているといえるでしょう。

※()内は前年度調査結果

参照:公益財団法人 介護労働安定センター「介護労働者の就業実態と就業意識調査 結果報告書」

介護職の主な5つの離職理由

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業界全体としての離職率は低下傾向にあり、今の職場で働きたいと思う方が多いにも関わらず、「なぜ自分が勤める事業所では離職が続いてしまうのか…」。離職の原因はどこにあるのか。

介護労働安定センターが令和2年8月に発表した「令和元年度 介護労働実態調査 表Ⅷ-3(5)① 前職(介護関係の仕事)をやめた理由」をもとに解説します。

職場の人間関係への不満

前職(介護関係の仕事)をやめた理由の第1位は「職場の人間関係に問題があったため」という結果になっています。これは全体の23.2%にあたります。

職場の人間関係が離職の理由となるのは何も介護職に限ったことではありません。ただし介護職の場合、個人で仕事をするというよりも、いくつかの職種が1つのチームとなって進める必要があることがより大きな影響を及ぼしているかもしれません。

周囲とのコミュニケーションなしには仕事がスムーズに進まず、利用者さんに対しても質の高い介護サービスを提供できないでしょう。

介護の経験があって転職してきた方でも、新たな職場で人間関係を上手く構築できるかどうかは不安に感じる点です。未経験の場合はなおさらかもしれません。離職の原因となりやすい職場の人間関係の不満については適切な対策や対応が必要です。

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結婚・出産などのライフスタイルの変化

離職の理由の第2位となるのが「結婚・出産・妊娠・育児のため」で「20.4%」と高い割合でした。特に女性の場合は、結婚や出産などのライフスタイルが変化するタイミングで退職する方が多いようです。

結婚を機に地元を離れるといった場合や、事業所によっては夜勤があることもあり、仕事と子育ての両立は介護職においては実現できないと判断することがその理由でしょう。

一部ではありますが、妊娠や出産を機にマタニティハラスメントの被害に遭い、退職に至ったという場合もあるようです。

会社の経営方針や理念に合わない

従業員が会社の経営方針や理念に合わないと感じたる場合も離職の理由原因とになります。「法人や施設・事業所の理念や運営のあり方に不満があった」と回答した方は全体で17.49.6%となり、男性が214.3%、女性が15.68.4%という結果でした。

比較的男性の方が経営方針や理念への相違を理由とする傾向が強いようです。

社内の評価や将来性が不透明

社内の評価への不満や将来の不安を感じる場合も離職に繋がります。離職理由の16%は「他に良い仕事・職場があったため」16.4%は「自分の将来の見込みが立たなかったため」となっています。決して見逃せない離職理由のひとつです。

自分の評価が適正ではないと感じる場合や、介護職そのものの将来性について不安を感じる場合、「仕事へのやりがいを見出せない」や「モチベーションが上がらない」といったことが要因となります。その結果、他分野への挑戦や他の職場に魅力を感じてしまい離職に繋がってしまします。

人員整理や法人解散の影響

「人員整理・勧奨退職・法人解散・事業不振等のため」を理由にする場合は7.6%でした。これは自身は働く意思があったものの、経営悪化などを理由に離職となった場合を指します。

この場合は自身ではどうしようもない状況といえます。しかし、全体の10%弱はリストラや人員整理で離職する方がいる事実も理解しておきましょう。

介護職の離職率を下げるための5つの対策

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介護職の離職理由を理解できたら、次は離職を防ぐ具体的な5つの対策を見ていきましょう。

職員教育の実施

介護職の離職を防止する対策には「知識の獲得」がひとつのポイントになります。介護職を選んだ理由の上位は「やりがいのある仕事だと思ったから」「資格・技能が活かせるから」となっており、高い志を持って介護職に就いた方が多いのが分かります。

しかし、日常の業務の忙しさから介護職を目指した頃の熱い思いを忘れてしまう場合もあります。だからこそ、企業側が定期的に勉強会やセミナー、講習会などを開催し、従業員のモチベーション維持に務めることが重要です。

たとえ勉強会やセミナーなどにコストがかかってしまったとしても、離職を防止できるのであればその費用は大きなメリットとして返ってきます。

介護職に「携わる意義」や「介護の本質」を忘れないように促すことが離職への大きな対策です。そして従業員それぞれの存在意義を明確にすることが仕事への「やりがい」へとつながります。

またスキルの習得だけではなく、施設の経営理念や運営方針などを経営陣から直接伝えることも従業員のモチベーション維持に繋がります。定期的な社内勉強会などを通じて継続して伝えることが重要です。

適切な評価制度の設置

適切な評価制度を設置することも離職の防止に繋がります。「他に良い仕事・職場があったため」や「自分の将来の見込みが立たなかったため」といった離職理由への有効な対策となるでしょう。

評価制度を設置するにはまず評価を体系化し、文書化するなどして誰でも見れる状態にする必要があります。何が評価され、何が評価されないのか基準を明確にしなければ、従業員の努力の方向性が定まりません。

評価の基準を明確にし、同時にキャリアプランも策定することでより将来性を感じて働くことが可能です。従業員それぞれが持つ個性やスキルをどう評価し、将来に活かすかが企業側に求められます。

テクニカルな部分であれば、介護職員処遇改善加算や介護福祉士等の資格取得を評価制度に盛り込むなども効果的でしょう。

面談などでスタッフ間のコミュニケーションを増やす

介護の仕事は多くの人がひとつのチームとなって働く必要があるため、人間関係の悩みが離職の大きな原因となっています。そのため、日頃から終礼やミーティング、1on1の面談などを通じてコミュニケーションをとる機会を増やすことが離職の対策となります。

人間関係を理由とした離職を防止するには「つながり」を意識しなければなりません。SNSやツールなどを通じたコミュニケーションも大事ですが、上司や先輩、同僚と直接会話をし、相談したり、意見交換したりする時間がとても重要です。

業務時間内でコミュニケーションを増やすことができる業務体制や組織づくりなどが企業側には求められます。

介護休業や育休制度などのサポート制度を充実させる

介護休業や育休制度などのサポート制度を充実させることで、離職の理由で最も多い「結婚・出産・妊娠・育児のため」への対策を講じることができます。

業務や人員の割り振りなど、従業員が一時的に減ることを事前に予測した仕組みづくりが重要です。日頃から産休や育休取得者が出ても業務を遂行できるようなオペレーション体制の構築が必要となるでしょう。

時間外労働や深夜労働の見直し

所定外労働や時間外労働、深夜労働の見直しも重要なポイントです。従業員の出産や育児、家族の介護などライフスタイルの大きな変化にも柔軟に対応することで、「家族の介護・看護のため」「結婚・妊娠・出産・育児のため」といった離職での離職を防止することができます。

勤務時間に関する制度を整えたり、シフトを見直したりするなどさまざまな方法があるでしょう。

介護職の職員の満足度を上げる方法

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介護職の従業員満足度を上げることも重要です。その方法としては面談や日報の提出、毎日の朝礼実施などさまざまな方法が考えられます。

ここで重要なことはコミュニケーションの「量と質」です。上司と部下やスタッフ間が相互に理解しあうような環境を企業側が用意しなければなりません。

今後の働き方や現在の仕事内容など、キャリアに関する相談の場を設け、朝礼やミーティングなどでは従業員の意見交換を習慣化するなど、管理者や上司から積極的にコミュニケーションを図れる機会を設けていく必要があります。コミュニケーションとは、なにも従業員の全ての意見を聞き入れることではありません。

あくまで職員と利用者さん、上司と部下などがお互いを尊重し、理解しあうことがコミュニケーションの本質です。良質なコミュニケーションによって介護士の満足度を高め、離職の防止へとつなげていきましょう。

離職率を下げるには仕組みづくりが必要

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ここまで介護職が離職する理由や離職を防ぐ具体的な対策について解説しましたが、離職率を下げるには、まずは「仕組みづくり」が重要です。

従業員が介護職の魅力ややりがいを十分に感じ、離職が起きない環境を構築する必要があります。そのためにもデータだけでは見えてこない自身の職場の職員が退職する「本当の理由」を見つけ出し、それに対して有効な対策を行わなければ本質的な解決には結びつかないでしょう。

特に「人間関係」が主な原因となっている介護施設では、そのまま放置していても自然に改善されるとは考えにくいです。今回ご紹介した内容を参考にして、まずは対策の第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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