「誰でもよいから採用したい」では、誰も採用できない?採用成功のためにターゲットを定めよう

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「誰でもよいから採用したい」では、誰も採用できない?採用成功のためにターゲットを定めよう

「誰でもよいから入社してほしい…!」
人手不足で困っていると、藁にも縋る思いで、ついこのように考えてしまいがちです。ですが、この「誰でもよいから!」という形で闇雲に採用を進めてしまうと、結果として「誰も採用できない…」という形になり、失敗してしまうことがほとんどです。採用活動で成果を出すためにも、この「誰でもいいから採用」から脱却するためのポイントをご紹介します。

「誰でもよい」は、「誰にも響かない」

そもそも、なぜ「誰でもよいから!」という採用活動は効果が薄くなってしまうのでしょうか?

その理由は、「誰でもよいから採用」では、より多くの人に関心を持ってもらいたいという思いから、幅広く様々な情報を届けようとした結果、情報が薄まってしまい、どの層の人にも関心を持ってもらいづらい情報発信になってしまいがちだからです。

例えば何か家電を購入する際、単身者なのか、夫婦のみの世帯なのか、子育て中なのかなど環境によって、必要とするものが異なってくるため、私たちは自分自身の用途に合わせて情報収集をして、何か購入する商品を選びます。その際、良くも悪くも特徴のない「誰にもそこそこ使いやすい」商品ではなく、自分の目的・こだわりに合わせた商品を選ぶのではないでしょうか。

採用活動でも同じことが言え、「誰でもよいから!」といった情報は、求職者に関心を持ってもらえず、応募につながらない形となってしまいます。だからこそ、ターゲットを絞り、ターゲットに合わせた「刺さる」情報発信が重要です。

「採用したい人物像」を定めるためには?

採用ターゲットを絞る際には、まずは「どんな人材を採用したいか?」ということを組織内で検討してみることが重要です。

  • どのような人材が組織で定着し、活躍しているか?
  • 今はいないけれども、採用したいと思う人はどんな人か?
  • 組織の目標達成のために必要なスキルや要素とは何か?
  • 反対にこのような人は向かないのでは、と思うのはどのような人か?

上記のような視点で、意見を交わしていくと、その組織が欲しい人物像が定まっていきます。

人物像を定めていく際には、「特に重要な要素は何か?」という視点で絞り込みを行うことが重要です。あれもこれもと要素を詰め込みすぎると、あまりにもスペックの高いスーパーマンのような人がターゲットになってしまい、現実的ではありません。逆に「このような人でなければ何でもよい」といったNG要素だけを排した形でもぼやけてしまいます。

様々な要素の中で、特に自分たちが大切にしたい要素を3~5点ほど絞りこんでいくと、より特徴的で、「こんな人に入社してもらいたい!」と皆が思える具体的なイメージが持てるターゲット像が見えてきます。

ターゲット人材の目線で、採用活動を考える

採用の際に大切にしたい要素が明確になったら、その要素を持つ人がどのような人で、どのようなことを考え、行動しているかということを、その人物の目線で検討していきます。

このように、ターゲット人材を定め、ターゲットの思考・行動を予測しながら、施策を検討する手法は、「ペルソナ・マーケティング」と言われますが、採用活動においてもこの視点が重要です。
ターゲット像が定まることで、「こんな人に出会うためには、何ができるだろう?」と募集媒体の選定がやりやすかったり、「このような人に関心を持ってもらうためには、どんな情報を発信するとよいだろう?」とより効果的なメッセージを考えることにつながります。

結果として、「誰でもよいから」と活動してきたよりも、本当に入社してほしいと思える人材と出会える確率が上がるはずです。

ターゲットを絞ることで、欲しい人材の採用に成功!

実際にターゲットに合わせた採用活動を行うとは、どういうことなのか、実際に私が採用支援をさせていただいた事例を2つ紹介します。

一つ目は、初めて新卒採用をすることになった介護事業者のケースです。

どのような学生をターゲットにしたいか検討を進める中で、「将来的に事業の中核を担えるような向上心・挑戦心を持った人材」ということになり、「体育会系の部活などで、一つの目標に挑戦し、努力してきた学生」というターゲット像を設定し、介護の仕事で一般的に多い「人の役に立つ仕事」という温かみのあるイメージではなく、「高齢化という大きな社会課題に挑戦する会社・仕事」というメッセージを打ち出す採用活動を進めた結果、介護系の学部以外から、新しいことにチャレンジしたいと考える体育会系の学生の採用に成功しました。

もう一つは、中途採用の応募に苦戦している介護事業者からの相談で、求人広告の見直しを行ったケースです。この企業は、それまで「より多くの人に来てほしい」と幅広く情報発信していたそうですが、応募はほとんどない状況でした。
そこで、特に採用したい人材像を確認していったところ「隙間時間を埋めてくれる人をパートで採用したい」という形になり、主婦層の女性をターゲットに、求人を見直すこととなりました。「子育てや家事と両立しやすい職場」として、求人広告で働き方や制度のPRを強めることで、数回の広告で前年を超える応募・採用へとつながりました。

このように、ターゲットを定めることで、本当に採用したい人材にアプローチできる可能性を上げることができます。ターゲットを一つに絞りすぎてしまうと、かえって応募の機会を狭めてしまうことにもつながるため、職種や雇用形態に合わせて、複数のパターンを作り、「このターゲットの場合は…」と施策を使い分けることがよいと思います。

人手不足の中で、ついつい「誰でもよいから」となってしまう採用活動ですが、いったん立ち止まり、採用ターゲットを定めることができれば、採用の成果は大きく変化するはずです。「急がば回れ」の気持ちで、一度じっくり検討してみましょう。

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