介護の夜勤はどんな仕事?注意点とは?

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介護の夜勤はどんな仕事?注意点とは?

短期入所サービスを含め、24時間体制で利用者さんをサポートする施設での働き方には日勤と夜勤の2種類があります。大抵の施設では、全ての職員が両方の勤務をこなす必要があります。未経験で介護職に就いた方、もしくは経験の浅い方にとっては夜勤の仕事はイメージしづらいのではないでしょうか?本記事では、夜勤に不安を感じる方が安心して業務に取り組めるよう、夜勤の仕事内容や押さえておくべき注意点を分かりやすく解説します。


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介護施設での夜勤の仕事内容と流れ

就寝時や起床時の介助、就寝中の見回りなどを行うのが、夜勤の主な仕事です。しかし、日中の仕事と比べると、どのような仕事をしているのか知る機会は多くありません。そこで、夜勤の仕事内容や流れなどを確かめながら、具体的な夜勤のイメージをつかみましょう。

夜勤の勤務時間

介護施設の勤務形態のなかで、主流になっているのが2交代制です。1日の勤務を日勤と夜勤の2つに分けてシフトを組む形態で、約85.5%の介護施設がこの2交代制を取り入れています(日本医療労働組合連合会「2018年介護施設夜勤実態調査結果」より)。施設によって異なりますが、2交代制の勤務時間は、日勤が8時~17時、夜勤が16時~翌日の10時といった時間帯が一般的です。

そのため、夜勤者は日をまたいで18時間(休憩時間を含む)勤務に就くことになり、1回あたりの勤務時間が長くなっています。ただ、夜勤が終わった日は日中の時間を自由に使えて、夜勤明けの次の日は公休になるなど、勤務外の時間が取りやすいというメリットもあります。

仕事内容と1日の流れ

16:00 出勤
出勤したら日勤者から利用者さんの日中の様子や連絡事項などの引き継ぎを行います。17:00 夕食の準備・介助
夕食の準備をして、必要に応じて食事や服薬の介助をします。施設によっては日勤者と一緒に食事を準備し、夕食準備後に日勤者が退勤する場合もあります。

17:00 夕食の準備・介助
夕食の準備をして、必要に応じて食事や服薬の介助をします。施設によっては日勤者と一緒に食事を準備し、夕食準備後に日勤者が退勤する場合もあります。

20:00 就寝準備
利用者さんの就寝を促すため、トイレ誘導や口腔ケア、着替え介助などをします。就寝前の服薬がある場合にはこの時間帯に行い、以降は主に居室で自由に過ごしてもらいます。

22:00 消灯・見回り
利用者さんが寝静まったころにフロアや居室を消灯し、夜間の巡回を行います。1~2時間ごとに巡回して異常がないかを確かめながら、おむつ交換やトイレの誘導など、利用者さんの要望に応じた対応します。

23:00 事務作業や翌日の準備
利用者さんが寝ているあいだに、書類の作成や翌日のレクリエーションで使う道具の準備などをします。複数人で夜勤に対応している場合は、交代で食事や仮眠などの休憩を取ります。定期的に巡回を行い、利用者さんからの呼び出しや要望があればその対応を続けていきます。

5:00 起床準備
早く目が覚めた方からトイレへの誘導や着替え、洗顔などの起床の準備をしていきます。

6:00 朝食準備・介助
朝食を準備し、利用者さんに応じて食事介助や服薬介助をします。

8:00 日勤者への申し送り
日勤者が出勤してきたら夜間の状態を申し送り、一緒に業務を始めます。退勤までの時間は人手が多くなるため、日勤者をサポートしながら効率良くその日の準備をしていきます。

10:00 退勤

夜勤前の上手な過ごし方

夜間の勤務中に眠たくならないよう、夜勤前の時間はずっと眠って寝だめしておこうと考える方がいます。しかし日中に何時間も寝てしまうと体内時計が狂い、夜勤後の生活バランスが崩れてしまうことがあります。さらに、夜勤前に夜ふかしをして日中寝ておこうとするのも、体内時計を狂わせる原因になってしまいます。

そこで、夜勤前は激しい運動を控えてゆっくりと過ごし、体を休ませるようにしましょう。仮眠は2~3時間程度に抑えて眠り過ぎないようにすると、夜勤後の生活が狂わず2交代制を続けやすい生活スタイルが身につきます。

介護で夜勤をする場合<日勤との違いと注意点>

夜勤と日勤とでは仕事内容が異なり、求められる対応もまた異なります。利用者さんが眠っているから簡単だと油断をすると、不測の事態に対応できないこともあります。そのため、日勤との違いや夜勤をするうえの注意点について確かめていきましょう。

職員の人数が少ない

夜勤と日勤で大きく異なるのが、職員の人数です。夜勤の業務は巡回やおむつ交換などで、入浴介助やレクリエーションなどを行う日勤と比べると業務量が少なくなります。そのため、職員の配置基準が少なく設定されています。

また介護施設によっては一人で対応(ワンオペ)する場合があり、幅広い業務をひとりでこなさなくてはいけません。とくに夜勤中は看護師がいないこともあり、緊急時には適切で迅速な対応が求められます。

夜勤中の緊急対応が記載されたマニュアルなどは事前にしっかりと確認し、実際に対応が必要になったときにはきちんと動けるようにしておきましょう。出勤時や空いた時間に確認したり、常に見える場所に置いておいたりすると、不安が軽減されて安心して夜勤業務に就くことができます。

利用者さんの体調の変化

夜間に利用者さんの体調が急変することもありますが、日中から少しずつ体調が悪化していく方がほとんどです。日勤者から受ける日中の申し送りのなかで、あらかじめ緊急対応が必要になるリスクの高い利用者さんを把握しておくと、万が一の際にも焦らずに対処できるでしょう。

日中は施設内に看護師がいたり医療機関と連絡が取りやすかったりするため、体調の急変が起こっても適切な対応ができます。しかし、夜勤中は看護師が施設内におらず、医療機関ともすぐに連絡が取りづらいため、利用者さんのわずかな変化も見逃さない観察力も求められます。

夜勤中に利用者さんが急変したときの対応方法

マニュアルなどで対応方法を確認していても、いざ緊急対応が必要になると慌てたり驚いたりしてしまいます。そこで、どのような点に気をつけて巡回や緊急対応をすべきか、ポイントや対応方法を確かめていきましょう。

夜勤中に救急対応が必要になったケースは約3割

救急対応は夜勤業務のなかでも重要な業務のひとつであり、緊張する場面です。
日本医療労働組合連合会「2018年介護施設夜勤実態調査結果」によると、夜間帯の救急対応(救急車の要請や施設外への受信を要するケース)が必要になったケースは約3割で、約7割の施設では救急対応の経験がないことが分かっています。
夜間の救急対応に対して緊張や不安も感じる方も多いと思いますが、必要以上に神経質になることはありません。

ただし、平均要介護度の高い特養や老健では、およそ半数の施設で「有」と回答していることから、これらの施設で勤務する方は必要な場面で冷静に動けるようにしっかりと準備しておくことが大切です。

観察のポイント

利用者さんの異変を早期に見つけるためには巡回時の観察が重要になります。
また、救急車を呼ぶ場合には、利用者さんの状態を詳しく医療機関や救急隊に伝えなければいけません。そこで、以下の5つのポイントに注意して利用者さんの体調の様子を観察しましょう。

  • 意識の有無
    意識がはっきりしているか、朦朧(もうろう)としているのかを調べます。意識がはっきりしないときほど危険度が高まっており、より迅速な対応が求められます。

  • バイタルチェック
    利用者さんの体温や血圧、呼吸数、脈拍をチェックして、普段とどれくらい違っているかを調べます。場合によっては血中酸素濃度を調べることもあり、バイタルの状態を知っておくことは治療へも役立ちます。

  • 顔色
    体調が悪いという訴えを聞いたら、まずチェックするのが顔色です。顔色が良いなら一時的な体調不良、顔色が悪いと深刻な状況と大まかに考えておくだけでも次の対応がしやすくなります。

  • 手足の状態
    脳などに異変があると手足が動かしにくくなったり、脱力感やしびれが現れたりします。バイタルチェックをしながら手足を触ったり押したりして、手足の感覚に異常がないかを確かめましょう。

  • 痛みの有無
    頭やお腹などどこかに痛みがある場合、その部位に何らの変化があることを示しています。また、病気ではなく転倒でのケガなども痛みの有無から推測できます。急変の原因を知るポイントになるため確認しておきましょう。

夜間緊急時の連絡・対応マニュアルに沿って対応する

利用者さんの体調の悪化や急変を見つけたら、緊急時のマニュアルに沿って対応し、看護師や医師などの有資格者、責任者に指示を仰ぎましょう。利用者さんの命に関わる場合もあるため、迅速に対応することが最も重要です。
救急車を呼んだ際には介護職員が搬送に同行し、病院にご家族が到着するまでの間付き添う場合もあります。救急車のなかでは、バイタルや普段の様子、既往歴などの質問を受けるため、介護記録などマニュアルに沿って必要なものを持参しましょう。

救急対応が必要なときに、焦ったり慌てたりすると必要な手順が分からなくなったり指示に集中できなかったりします。マニュアルは記載どおりにすれば最適な対応ができるように作られているので、落ち着いて次に何をするのかマニュアルで確かめながらひとつずつ対応していくことが大切です。

夜勤のメリット

夜勤の救急対応は怖く感じるかもしれませんが、頻繁に起こる事態ではありません。利用者さんは寝ているため日勤と比べると業務量は少なく、何事もなければ体の負担が軽いことが夜勤のメリットです。さらに、基本給とは別に夜勤手当がつくため、同じ出勤日数でも給与アップにつながります。

2交代制や一度の勤務で16時間の勤務になる場合、夜勤明けの翌日は休みです。この勤務体系の特徴を使えば希望日に休みやすいのもメリットといえるでしょう。

まとめ

夜勤に慣れるまでは、職員も少ないことから不安に感じるかもしれません。しかし、今はベテランとなった職員でも最初はみんな緊張と不安のなかで夜勤に対応していました。本記事でお伝えした内容に注意し、何度も夜勤の回数を重ねることで業務内容や時間の扱い方にも慣れ、緊急時にも余裕をもって対応できるようになります。夜勤のメリットを取り入れるためにも、少しずつ夜勤の回数を増やしていけば、自信を持って夜勤に入れるようになるでしょう。

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