新型コロナウイルスと施設事故防止

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新型コロナウイルスと施設事故防止

平時には、介護施設では入居者3人に対し1人の職員を付けることが法律で義務付けられています。しかしコロナ禍においては、厚生労働省は昨年2月、新型コロナの影響で職員の不足が見込まれることから、「一時的に人員基準を満たすことができなくなる場合、柔軟な取扱いが可能」との通知を出しました。

現在も高齢者介護施設の多くは、新型コロナ感染防止のため、集団で行う機能訓練や行事を中止、家族との面会も基本対面は禁止しており、入居者の中には精神的、身体的に不自由さを感じておられる方は沢山おられます。このような中で、施設事故の懸念もあり、介護職員のメンタルヘルスも懸念されます。

次々に職員が陽性になると、出勤出来る職員に負担が集中し、更に施設事故のリスクは高まります。家族にも感染させる懸念から、職場に相談できずに、ホテルで生活している管理職もいましたので、日頃からの職員の声がけは必要になります。

今回は施設事故防止についてご紹介しますので、コロナ禍においての業務の振り返りにご活用下さい。


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施設事故防止の研修を行う目的

  1. 参加者が、施設事故削減の為に必要な知識・能力を、身につける。
  2. 研修内容を参加者から参加していない他の職員へ伝える。

全てのスタッフが、施設事故のリスクを理解し、削減の為に適切な行動することが、できるようになる。

2.施設事故の内容を知る

  ある施設の統計では、

  1位:転倒 2位:病変等 3位:離設・誤薬・物品紛失

でした。

3位の離設・誤薬・物品紛失は、リスクを予測していれば防げる事故です。

施設事故の事例を知る

具体的な事例を基にどのような経緯で事故が起き、防げたかを考えることが、再発防止には重要です。

事故報告書記入例

お客様情報…山田 花子様(仮名)、事故当時92歳(女性)、要介護5 、全介助、GH

17:25 夕食後、服薬介助にて山田様が内服される。

17:28 他の入居者様に服薬介助する際、その方の薬がなく、山田様の薬が残っており、山田様に対する誤薬(他人薬)に気付く。

20:45 嘔吐あり(その後、嘔吐を繰り返される)。

翌9:00 病院受診。

10:37 搬送先の病院で急変しご逝去される(死因:誤嚥性肺炎による老衰)。

<誤薬の原因として考えられること>
普段、山田様は、お食事やお薬の服用の際に拒否が見られていたが、当日は、スムーズにお食事を召し上がって頂けた為、お薬についてもこのタイミングでお飲み頂きたいという焦りから、「薬袋の名前の確認」を怠ってしまった。

施設事故に伴うリスクを知る

施設事故が起きた時にどのようなリスクがあるのかを職員全員で共有し、リスクの重大さを知りましょう。

  • ご利用者:ご本人の生命・ご家族の悲しみ
  • スタッフ:スタッフに対する刑事責任
  • 会社:会社の損害賠償リスク・風評被害

リスクを防ぐ為に何ができるかを考える

そもそも、事故を起こさない為に…

「会社ルール」(例:誤薬事故、受診遅れ)は命を守るために存在しています。

安全な介護を実践する為に、ルールを理解しましょう。

  • 日々の記録は、介護の質を上げるだけでなく、事故発生時に、自分自身を守る為の証拠にもなります。
  • 適切な介護をしても記録が残っていないと、「きちんと対応しなかったのではないか?」と疑われてしまう

こともあります。

  • チームとして対応する為、報告・連絡・相談は必須であることを周知徹底をすること!
  • 施設事故が起きても決して「逃げない・隠さない・責めない」で施設全体の問題として、

対応すること!

起きてしまった事故に対しては…

急変対応が必要な場面には全ての職員が、関る可能性があります。「急変対応」のルールを理解し、万が一の事故に備えましょう。

「119番通報」や「ご家族様連絡」が遅れた、又は、報告内容が不十分だったことで、搬送遅れの原因になってしまう場合があります。

迅速に、落ち着いて、観的な事実を伝えましょう。

研修の際には、夜間急変時の「119番通報」「ご家族様連絡」を練習してみましょう。

同じ事故を二度と繰り返さない為に、また、介護の質を高める為に、事故カンファレンスを必ず行います(事故発生から48時間以内が望ましい)。

当該職員個人の問題としてではなく、施設全体の問題として、意見を出し合いましょう。

職員個人の要因、拠点全体の要因、設備面の要因等、様々な観点に対して、「それは何故か」を繰り返し、深く分析しましょう。

まとめ

介護事故は、日頃からご利用者のアセスメントを適切に行い、危険予測を行えば防止が出来ます。

そのためにもヒヤリハットが重要になり、ヒヤリハットを多く出す習慣の施設こそが事故防止の意識が高くなります。

皆さんも私も生まれた時から、家族や親せき、友人、学校、職場の人間関係、地域等で、人は人とのつながりの中で、互いに助け合って生きていますので、事故が起きても互いの学びの機会とお互い様、お陰様の気持ちで、再発防止に努めて頂きたいと思います。

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