顧客に選ばれる事業所になる!「介護の仕事をするための姿勢」に関するお悩みQ&A

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顧客に選ばれる事業所になる!「介護の仕事をするための姿勢」に関するお悩みQ&A

梅雨に入り、65歳以下のワクチン接種も地域により進んでいます。介護現場のスタッフも接種後に発熱したりの体調不良の報告も受けていたり、管理職の皆さんからも「一回目無反応で二回目翌日に仕事を休めなかったのですが、38度の発熱と筋肉痛、倦怠感、悪寒と最悪でした。副反応が酷くて、なめていましたよ。うちの職員も何人か休みました。」とLINEも頂きました。

私もスタッフには、あらかじめ休暇を取得出来る体制で接種するよう声がけをしています。日頃の細やかな配慮と、人に関わり、人の命や生活に関わるお仕事に対する、支える人材にその使命を伝え続けることは、医療・介護保険のコンプライアンスや事故のリスクを減らし、この日本の医療・介護の質へと比例につながります。 令和3年の介護報酬改定は、新型コロナウィルス感染症や大規模災害があり、介護事業者にとって厳しい環境が続く中、2021年(令和3年)度の介護報酬改定では、改定率『+0.70%』の軽微なプラス改定となりました。

介護報酬改定では、

  1. 感染症や災害への対応力強化
  2. 地域包括ケアシステムの推進
  3. 自立支援・重度化防止の取組の推進
  4. 介護人材の確保・介護現場の革新
  5. 制度の安定性・持続可能性の確保

が軸となりました。

3. 自立支援・重度化防止の取組の推進では、LINEが導入され、「制度の目的に沿って、質の評価やデータ活用を行いながら、科学的に効果が裏付けられた質の高いサービスの提供を推進すること」を目的とした改定が行われました。

今後は地域の皆さんにより選ばれ「顧客獲得」ができる事業所になるための「人材獲得・人材育成」「リスクマネージメント」「コンプライアンス」の意識もより求められ、それらの基本ができてこそ、常にお客様やご家族目線のサービスを考え「ウリ=効果」のある差別化も考えられてくるはずです。

医療・介護現場の有資格者の資格が、そしてこれから前向きに資格取得をしようとする無資格者が、決して宝の持ち腐れにならぬよう、今回は介護の仕事をするための姿勢に関するご質問にお答え致します。

お客様やご家族、ご紹介者、そしてスタッフや法人の幸福な希望ある、未来へつなるがマネージメントに日々務められ、報酬改定後の経営、運営改善に是非、ご活用頂ければ幸いです。

質問「介護のプロ」とは、どのような人材でどのようなスキルが求められるのでしょうか

当然、介護職としての十分な経験と安定した知識や教養、安心して任せられる技術は必要です。ただ、それ以上に「介護のプロ」として求められるスキルもあります。

利用者のニーズは言語や文章、感情にて表面化され、ご利用者の言われたニーズに応えることはそれほど難しい事ではありません。人としての笑顔と思いやりの心を絶やさず、計画と制度のルールに則っていればいいのですから。

暗く何故か浮かない表情のご利用者を前に、『こうなって頂ければきっと素敵な生き方になって頂けるはず。そのためには今、私たちが何をお手伝い出来、やるべき事なのか』と真剣に向き合い考えることがプロの介護職と平凡な介護職との明確な分かれ道になるのです。

「こんなものだろう、仕方がない」としてしまえば、仕事はマニュアル以上の事は進化せず、手順書にそのまま従うだけで、介護の資格がない素人でも出来ると誤解を招いてしまうのではないでしょうか。介護のプロとして、その専門性とは一体何なのか、それを考え、認識することが大切です。

第一に、ご利用者に対しその方の希望に沿った生き方や暮らし方をご提案し、実践する事を支え、随時振り返り「本当にこのままでよいのだろうか」と追求し、検討し続けることが大切です。そしてその思考や試行錯誤を止めず、毎日、毎回、追求し続けることが大切なのです。この取り組みや活動がプロの介護職の重要な要素であると考えます。そしてプロの介護職としての専門性を楽しみ、自信とすることが出来る様になる事が介護の専門職としてのやりがいと醍醐味だと考えます。

その日々思考し追及する姿勢こそ、介護職の真の役割(仕事)であり、求められる存在(立場)だと考えます。このような取り組みは、自分だけでなく、思いついたら上司や部下、同僚と相談しチームで共有することが大切です。ケアマネジャーやご家族、他の関係者と相談し検討する事も大切です。ご利用者様への想いを心からカタチに変えたいと思うのであれば、その想いをチームで分かち合う所から始めるべきでしょう。

そしてチームの誰もが経験だけで判断するのではなく、共に思考し『これでいいのだろうか』と思考と検討を繰り返していく事がチームケアとして重要な事です。このような思考が出来る人材こそが“優秀な介護職”であり、「介護のプロ」であると考えます。

まずは深く考えず『これでいいのかな?』と問うところから始めてみましょう。その姿勢は「ホスピタリティ」の原点そのものであり、この仕事に従事できる喜びを心から感じ取る事が出来るはずです。考えることを介護のプロ・専門職としての喜びと思考と捉え、これからの介護職のあるべき理想の姿として、ご利用者一人一人の立場と希望を踏まえた思考によって、価値を創造できる人材を目指す事だと思います。

質問 介護事業は「サービス業」になるのでしょうか

私たちの介護の仕事は「究極のサービス業」であると同時に「究極のホスピタリティ業」でもあるのです。「ホスピタリティ」は、一般的には“喜びの共有“おもてなし”“思いやり”とも言われますが、いわゆるサービス業として定義すれば『効率性』や『正確性』がそれに求められます。もちろんそれらは欠かせない重要な要素ではあります。この要素に“喜びの共有”を重ね合わせて行動すると、介護の仕事はサービス業から更なる進化した「ホスピタリティ業」として捉えることが出来、次のような定義に考える事が出来るのではないでしょうか。

「サービス業」= 言われたことをキチンと遂行し利用者に満足頂くもの「ホスピタリティ業」=「サービス業」の条件を踏まえ、更なるご利用者の生活の質の向上に向けた思考や工夫、気づきを働かせ、更なる「喜びの共有」と満足感を与えるもの私たち介護職は、ご利用者が表面的に求めるニーズに応じる事だけでは介護職としての専門性は見出せません近所のお年寄りへの何気ない気遣いや親切の方がはるかに『思考』を働かせているはずです。事務的に笑顔でマニュアル通りに作業するのでは、この仕事は誰もが同じ事しかしない(出来ない)奉仕作業に思え、面白くないはずです。

介護事業所によっては、個人の余計な思考やアイデアを働かせない事がむしろ合理的で正確かつ効率的、かつ有能な介護職員と考えられているかもしれません。良いケアとは利用者が気づかない価値を先回り(創造)し、提案することです。もちろん、やってみなければ分からない。種を蒔いても芽を出すまでは何の花が咲くのかも分からない状態かもしれません。しかし輝く希望を見出す事の出来る未来の創造の種であるかもしれません。

ご利用者の表面化されていない潜在価値に目を向け、気づく事が必要です。そして何より、経験で得た知識を基に固定観念にとらわれず、柔軟に考え、行動できる人材と組織になることが大切です。

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