介護はチームで行うことが重要ですが、そのためには、介護は、お客様の生活全体を支えていくものである」ということ、様々な専門的な知見を組み合わせることが必要です。
そしてより良い実現に向けて、チームで実践することが重要だということを職場内だけでなく、地域全体で共通な理解をしなければなりません。
今回は『介護現場におけるチームケア』についてご紹介しますので、皆さんの連携の向上にご活用頂ければ幸いです。
目次
利用者を支えるチームケアについて学ぶ際に必要なこと
- 「人と社会資源」について考える
- 「チームケア」について考える
利用者を支える社会資源とは
社会生活を維持するための資源、個々の生活を成り立たせている資源、ライフライン…生命維持。インフラ・・・社会生活維持 社会基盤です。
- 生命維持の為に必要な水や食料品などの物資
- 社会生活を維持する為に必要なガス、水道、電気、通信・情報、交通手段、医療施設、金融施設など
- その人が暮らす中で必要としている固有の資源、固有の人、物、場所など
利用者を支える固有の社会資源とは
利用者を支える上で、社会資源にはどのようなものがあり、どのように活用して生活しているかを考えることがチームケアについては重要です。
人: 家族、職場、仲間、地域、行政(密接/疎遠)
物: 不可欠な物、馴染みの物、使える物(必要/不要、使える/使えない)
場所: 馴染みの場所、特別な場所
情報: 必要な情報、個別の情報 (必要/不要、知る/知らない)
制度:必要な制度、使える制度 (必要/不要、知る/知らない)
利用者を支える社会資源と望ましい暮らしとは
利用者が馴染んだ居場所で、生命を維持し、安心できる環境で、様々な場面で様々な社会資源と関連し、支え合いながら、有する能力を発揮し、継続した時間の中で自己実現を目指し暮らしています。
安らぐ馴染みの人達(家族、友人、仲間、関わる人達・・・)。
落ち着く馴染みの場所(家庭、職場、趣味の場、人間関係・・・)。
力を発揮できる馴染みの生活用品(家庭用品、仕事用品、食料、趣味・・・)
それらをチームで理解し、どのように支えるのかを考えることがチームケアには必要です。
- 私達は固有の環境の中で様々な人や場所(地域)、物、時間、情報、制度等の社会資源と関連しながら暮らしています。
- 社会資源は必要とされる事で、変化し成長する可能性を持っています。
利用者が住み慣れた地域で暮らし続けるために
暮らしが変化した時(変化しようとしている時)それまでのように人や場所や物とつながりながら、これからの暮らしに必要な人や場所や物、制度が連携し支援する事が必要になります。
人は、それぞれの立場で暮らしの一面を支え合い、生活の一部を形成しています。
暮らしの基盤はその地域にあり連続しています。
利用者を支えるチームとは
- 同じ目標を共有し協働するために集まった2人以上の集団です。
- 集った人が、それぞれの立場で役割を果たすことでチームとして機能します。
利用者を支えるチームのメンバーとは
- 本人と関連のある人達(これから関係する人)です。
本人の様々な場面で暮らしを支えあっている人達です。(必要とされる人達) - メンバーの役割を車に例えるなら
ハンドル・・・本人、家族
ギア(ハンドルと駆動力をつなぐ)・・・専門職
介護、医療、福祉・・・
駆動力・・・チームメンバー
本人、家族、近隣住民、専門職・・・
となります。
利用者を支えるチームケアに必要なこと
- チームの目標
- 共通の言語
- 情報の共有
- 共通の認識
- 共通の理解
暮らしの場面でそれぞれの立場でできる方法で支え合い、地域の暮らしの中で発揮されるチーム力が必要になります。
利用者を支えるチームの目標とは
- 継続する暮らしへの支援
これまでの暮らしと繋がりながら、これから始まる暮らしを続ける。 - 自己決定への支援
これまでの暮らしや価値観を知り、これから始まる暮らしを共に考える。 - 自立的な暮らしへの支援
社会資源(馴染みのもの、必要とするもの)を活用しながら暮らしの中で力を発揮できる。
- これまでのように暮らし続ける為に
- 自己決定ができる環境となるために
- 自立(自律)的な暮らしのために
必要な社会資源(人、物、場、情報、サービス等)とつなげます。
社会資源と人をつなぐためには・・・
人を知る=どんな生活をしたいか?
そのために何を必要としているのか?
社会資源を知る=どこにどんな種類の資源があるのか、その資源の内容はどんなものか(お風呂がある…どんな風呂?)なのか把握することです。
利用者を支えるための共通の言語・情報の共有とは
- 共通の言語
本人の暮らしの継続のための計画を基にチームの方向性を決め、誰でもわかる言語で記録する。 - 情報の共有
チームの方向性を確認し明確にするために、会議等の場で意見を述べ合い情報を共有する。
互いが確認できる環境で、本人もそのチームメンバーも理解できるもの、互いに必要で内容の分かる現場の情報を持っているメンバーからの提供が、適切な情報共有になります。
まとめ
チームとは、共有された目標をもち、その達成のために協働して仕事をする組織(リーダーとメンバーから成る)ですが、そのチームのベクトルがあっていないと、利用者のサービスの質に影響を及ぼします。
地域包括ケアの中で、介護と医療の連携が求められる中で、皆さんのチームの情報共有が利用者やその家族の安心や安全につながりますので、令和3年介護報酬改定も踏まえて連携意識を高めていきましょう。