令和3年介護報酬改定では、LIFE導入に伴い、様々な加算の見直しや加算が新設されました。加算取得の要件や多職種連携においては、「カンファレンス」が要になり、TV会議システムを活用した会議も求められるようになっています。
今回は、チームケアのためのケースカンファレンスの技法についてご紹介しますので、ケースカンファレンスを通し、ブラッシュアップし、皆さんの日々の加算取得、多職種連携のコミュニケーションにおいてもご活用頂ければ幸いです。
目次
カンファレンス(会議)とはなにか
カンファレンスとは
広辞苑では…「会合して評議すること、何かを決めるために集まって話し合うこと」単に集まって話し合うという意味ではなく、なにかを決めることを目的として、目的を達成するための手段として話し合うのである。つまり、話しあった結果として決定事項(成果)が求められる。
「カンファレンス」と「ミーティング」の違い
「カンファレンス」
利用者本人、家族、地域関係者、スタッフなど、利用者に関係性のある人が参加し、利用者が望む暮らしをいかに実現していくかを話し合う
「ミーティング」
日々の支援について打合せをし、また、緊急の場合等に必要に応じた対応や方針を決定(日々の打合せ)
ケースカンファレンスとはなにか
介護保険法では…サービス担当者会議という名称で、ケアマネジメントプロセスのひとつとして位置づけられ、ケアプランに大きな影響を与えている。
ケースカンファレンスとは
支援対象者の支援にかかわる本人も含めた人や関係機関が集まり、支援対象者の意向、状況や状態、これまで提供されたサービスを評価・検討したうえで必要となる具体的な支援や支援全体の方向性を決める機会である。
チームメンバーとは
本人・家族をはじめ、医療・保健・福祉の専門職や関係機関、必要に応じてボランティア、近隣住民、弁護士、行政機関など認知症の人自身のケアに携わるすべての人がチームメンバーとなる。
チームが機能するためのケースカンファレンスとは
チームメンバー個々の専門を相互に理解し、目的や目標を達成するためにそれぞれが果たすべきこと(役割)の明確化・遂行するための方法などを決め、決めたことに基づいてメンバーが行動すること。
ケースカンファレンス参加者の興味とは
- 自分の知らない情報を知りたい
- 自分と違う視点を知りたい
- 事例提供者が課題にしたこと、困っていること
- 事例提供者の利用者とのかかわりの内容
- 課題の捉え方
- 利用者が生きてきた生活の背景
- 利用者や家族の思い、やりたいことをどのように事例提供者が把握しているのか
- 報告の全体を通して、何が課題になっているのか
チームにおけるケースカンファレンスの意義と目的
- 支援対象者のケアについて検討、決定
- 利用者とのかかわりに行き詰まったとき、今後の見通しを見出すために事例を提出する
- 事例を提出することで、自分自身のかかわりを見直す機会にする
- いろいろな支援の方法や対応の仕方を学ぶ
- 知識・経験・技術を学び合う
- カンファレンスに参加した人が、自分の対応・考え方の問題点に気づく機会にする
- 参加者全員が事例を通して話し合う中で、相互に刺激し学び合う過程である
よりよいチームケアを促すためのケースカファレンスとは
- 支援者対象者の具体的な支援内容や支援全体の方向性を決めるだけではなく支援の評価を行い、必要な修正を加え、新たに支援を実践する過程を繰り返す(PDCAサイクルの構築)
- 参加者に求められる4つの視点
「考える、表現する、受け止める、気づく」 - チーム内・外の資源を効率的かつ効果的に活用
教育機会としてのケースカンファレンス
チームリーダーや教育担当者がメンバーと支援対象者への支援を話し合うと同時に、メンバーが発した意見や考え方に耳を傾け、メンバーの知識や技術に不足はないか、チーム全体として不足していることはないかなど、職員教育を意識しながら参加することでメンバー個人またはチーム全体の教育ニーズが把握できる。
ケースカンファレンスに対する期待こと
- スタッフ間のチームワークを作っていきたい
- 一人で抱え込まないで皆で考えていきたい
- チームの意識を高めたい
- 対象者にとって、一番よい解決策を見つけていきたい
- 自分の役割を明確にしたい
- 利用者に対する他のスタッフの考えを知りたい
- 支援方針を決定するまでの流れをつかみたい
- 自分のかかわりを他のスタッフに認められたい
- 自分が気付かなかったところを発見したい
まとめ
皆さんは、ケースカンファレンスはどのように開催・運営していますか?
・皆さんは意識して取り組んでいること(大切にしていることや工夫点など)は何ですか?
例えば、多くの方に参加をして頂くことで、「自分もこんなことを知っている!」「自分はこんな時にこんなことをやってきた!」の意見が出るかもしれません。
・皆さんは開催や運営においての悩みや難しさはありますか?
開催をしても意見をなかなか言ってもらうことができないかもしれませんが、こちらからケースカンファレンスの際に、「〇〇さんは、ご利用者に関わり、どのようになって頂いたら嬉しいですか?」と意見を伺えば、ポジティブな意見も引き出せるかもしれません。
ケースカンファレンスの進め方次第で、儀礼的に終わるか、「こう関わることで出来るかもしれない!」に互いのケースを踏まえて、前向きな気持ちになるのか、参加者の意識は皆さんの互いの意識で変わります。
せっかくの他者のケースを学べるカンファレンスの機会を有意義なものになるように工夫しながら、地域連携の絆も強めて下さい。