厚生労働省がこれまで運用してきた「通所・訪問リハビリテーションデータ収集システム(VISIT)」と「高齢者の状態やケアの内容等データ収集システム(CHASE)」について、令和3年4月1日から「科学的介護情報システム(Long-term care Information system For Evidence;LIFE ライフ)」として一体的に運用されるようになりました。
また、LIFEを用いた厚生労働省へのデータ提出とフィードバックを活用したPDCAサイクルによるケアの質の向上を推進するため、令和3年度介護報酬改定において、LIFEの活用を算定要件に含む加算が新設されました。
それに伴い、業務体制の見直しも必要になり、限られた職員だけに業務負担ないような、体制づくりも必要です。
今回は、人材育成・人材獲得のご質問にお答えさせて頂きます。「人がいない、育てない」と嘆く前に、行動することが重要です。 ご参考にされて下さい。
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人材育成に大切な視点
<質問>
今後の人材育成を考えるとき、リーダーをどう育てるか、職員間の能力の差をどうなくしていくか(平均レベルをどう上げていくか)、職員のやる気をどう引き出すかが課題であると思っています。人材育成に大切な視点などをアドバイスいただきたい。
リーダーを育てる上で、責任者(管理者)として何が大切か教えたいのですが。
<回答>
心の座標軸としての原理原則は、正・不正、善悪の判断基準です。公平・公正・誠実・誠意・愛情・正義・博愛・正直・素直・勇気などの「ベーシックな倫理観」を持って判断しましょう。「ベーシックな倫理観」=魂の基準。魂は真・善・美の言葉で表される実体。絶対にしてはいけない事は、
- 公私混同しない。特に人事は不公平になってはいけない。
- 全ての責任を取る覚悟
- 自分の持っている能力や知識を提供する
- スタッフの幸せの為に誰よりも努力する
- スタッフから尊敬される存在になる為に心を磨き高める。
1~5の対応ができるリーダーがご利用者やご家族からも信頼される存在となりますので、一つ上のポジションで考えられるように、普段から責任者(管理者)養成を兼ねた業務の 共有をすることもリーダーを育てるためにも不可欠です。
スタッフに仕事に対する意識をもっと高めてもらいたい
<回答>
スタッフが仕事への意識が高まる時はどの様な時なのか?人は仕事が楽しいと感じる時に、自分の中で仕事の優先順位が上がり意識が高まります。仕事が楽しい時とはどういう時なのか?仕事で達成感を味わった時と認めてもらった時です・その達成感を味わってもらう為に必要なのは、スタッフに「課題(ハードル」を出す事です。そして達成出来た場合は、その結果と取り組みを認めてあげる事です。大きな課題は必要なりません。小さな課題(乗り越えやすい)を沢山次々と与える事の方が効果的です。
採用活動のポイント
<質問>
最近は職員の退職もなく落ち着いていますが、数名が一度に退職したときは大変困りました。求人を出しても、適任な方に来ていただけず、人材の確保に苦労しましたので、今この落ち着いた時に考えておきたいと思います。求職者の方に注目してもらえるような、ポイントや視点などはあるのでしょうか?
介護職員が足りない。採用活動をどのように行えばいいか分かりません
<回答>
採用して育てても直に辞めてしまい採用活動は自転車操業の状態の事業所が多いと思います。採用活動は広告媒体やポスター、HPなどのweb求人や就職フェアなどを中心に募集する事になりますが、職員の知り合いを紹介してもらう「お友達キャンペーン」や地域参加型の勉強会等を催し、その際に呼びかける場とする所もあります。新規採用も大切ですが、採用した方が退職しない活動にも同時に力を入れる必要があります。魅力的な職場づくりは吸引力が増し、求人効果も上がります。職員間で「魅力的な職場とは?」を是非、話し合ってみて下さい。
処遇改善の目的を理解した研修実施
<質問>
やらなければならない研修と、職員がやりたい研修に隔たりがあり、調整に苦慮しています。
処遇改善加算の目的は、質の高い介護職員の形成のために「働きやすい環境作り」と「研修計画を立てた上で、研修に参加する機会を与える」ことが原則になっています。
<回答>
処遇改善加算の目的を知らずに、この様なご質問を頂くことも多数ありますが、情報公表制度でも求められている研修項目は確実に行った上で、職員がやりたい研修はすべきです。
処遇改善加算を正しく周知されず「もらえる権利」として考えている職員も多く、研修にきちんと参加しない職員もおられるのも法人研修の講師でお仕事をする中で把握しています。
介護保険同様、一割はご利用者から頂き、9割は介護保険料と公費でご支援頂き、皆さんの報酬として頂いている仕組みを職員一人一人に教え、成果としてご利用者とご家族、地域にお返しできるように周知徹底して下さい。
逆に職員からもっとキャリアアップ出来る職場を求められている場合には。
<回答>
是非、職員全員にキャリアップしたい目標のヒアリングを行って下さい。どんなスキルを身に付けたいのかその為にはどんな勉強や取組が必要なのか、個人の能力も経験も全員が違う職場で、今から出来る事はどんなことか、ハードルは何か、何の準備が必要なのかを調べ知る事で、知識や技術の平準化を図る為の計画書を作り着実に実施していく事がキャリアアップできる(しようとする)風土づくりであり職場づくりです。
人材確保のための職場見学・実習生受け入れの実施のポイント
<質問>
人材の確保のためにも、積極的に職場見学・職場体験・実習の受け入れを実施していこうと思いますが、工夫するべき点などありましたら、アドバイスをしていただきたい。
実習生等の受け入れをする際には、受け入れを行うための意義の情報共有が必要です。
<回答>
例えば多様な資格に応じた実習生等を受け入れるにあたり、「実習受入マニュアル」等の作成とルールの情報共有が必要です。その上で、法人内に「実習受入システム」等を構築し、実施、そのシステム運用に努めなければいけません。合わせて、実習の受け入れに対応して、もっとも適切な職員配置(例えば、介護福祉士実習の担当者は介護福祉士資格を有しており、養成校卒業者)がベストです。それによって、多様なタイプ(年齢、経歴等)の実習生の受け入れも可能になります。
このことは、法人内における職員のOJT(On the Job Training)の機会にもなり、ひいては、実習の担当職員が職員へのスーパービジョンの力量や多職種間での職務調整を行ううえでのマネジメントの力量を向上させることにつながる意義を有していますので、
- ご利用者・実習生の個人情報保護も留意した受け入れルール
- 重要事項説明書における実習に関する記載事項
- 実習契約書等の様式の整備
- 実習指導等に関するツール(例えば、「基本的実習プログラム」)の共有化)
- その他実習指導者と実習担当者の役割等の確認
も法人内で行わなければなりません。
合せてご利用者およびその家族等に対して、法人が実習等の受け入れを行っていることを利用契約を結ぶ際に、ご利用者及びそのご家族等に提示する「重要事項説明書」にきちんと明記した上で、ご利用者およびそのご家族等にご理解とご納得頂けるようわかりやすく説明し、同意を得ていくことも必要です。
受け入れ準備をきちんと行った上で、実習生等が皆さんの施設や事業所をその機会を通し、 選んで頂けるように努めて下さい。