身体介護である『清拭』や『部分浴(手浴・足浴)』『入浴』は単純に身体を清潔に保つだけでなく、利用者の自立を支援することにもつながります。 今回は『清拭』の基礎についてご紹介させていただきますので、事業所内で手順の確認を行い、適切な介護にご活用いただれば幸いです。
そのほかの介助についてはこちら:介護現場で活用出来る!身体介護(部分浴)/介護現場で活用出来る!身体介護(入浴介助)
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目次
自立支援を目指す介護技術
介護の目標は、利用者の「自立支援」です。
利用者が自立した生活を送るためには、利用者自身に主体性を持ってもらえる関わり方をすることがとても大切です。どんなに介護技術の知識や経験を持っていても、利用者の意思や主体性を無視した介護をすれば、利用者の自立性を妨げることになります。
主体性と意思決定を利用者に持ってもらえるような関わり方ができてこそ、介護保険の目的である「自立支援と尊厳の保持」へ繋げることができます。
利用者の「自立支援」を目指す介護技術を提供するために必要なのは以下の2点です。
- 個別性の尊重
- 利用者の身体状況や生活習慣は一人ひとり違います。介護技術は個々の利用者に合わせたものである必要があります。
- 自己決定の尊重
- 人間は、たとえ障がいを持ち、寝たきりになったとしても、自分で決定したいという欲求があり、その権利があります。私たちは、利用者の自己決定を尊重することを常に考える必要があります。
介護者の役割は、従来の「できないことを補う介護」ではなく、「できることを維持・広げていく介護」を心がけ、「できること」を日常生活に結び付けていく関わりをすることです。
身体を清潔にする意義
身体を清潔に保つことは自立支援につながる
上記の好循環サイクルでもわかるように、身体の清潔が保たれると、気分もよくなり、生活への意欲が高まる可能性があります。
反対に、身体の清潔が保たれていない場合、悪臭などの臭いが気になったり気分が不快になったりするため、生活への意欲が低下し、「人に会いたくない」など閉じこもってしまう可能性があります。
皮膚には様々な役割がある
項目 | 働き | |
1 | 吸収作用 | 水分やたんぱく質を吸収して潤いを保つ |
2 | 知覚作用 | 感覚(暑い・寒い・痛い・かゆい) |
3 | 体温調節作用 | 体の中の熱を放出して体温を調節する |
4 | 分泌作用 | 皮脂や汗を分泌する |
5 | 保護作用 | 身体内部の組織や器官を外部から守る |
上記のような皮膚の役割が阻害(妨げること、邪魔すること)されないよう、常に清潔を保つ必要があるのです。
清拭の基礎知識
清拭とは
お湯で身体を拭き、清潔にする方法を『清拭』といいます。何らかの理由により、入浴が困難な利用者に対して清潔を保持するために実施します。
注意点として、体調不良により入浴が困難になった利用者に対して、勝手な判断で入浴から清拭に変更するということはしてはいけません。事前にケアプランに位置付けてあることが重要です。
清拭の効果
清拭には様々な効果があります。
・汚れを取り除く→感染予防 ・悪臭・痒みを取り除く→皮膚疾患予防 ・タオルで皮膚を刺激する→血行促進 ・血行が良くなる→褥瘡(じょくそう)予防 ・拭く際に手足を動かす→拘縮(こうしゅく)予防 |
主な手順
①温タオルで蒸す | 汚れが取れやすいように、利用者の皮膚を温タオルで十分に蒸します。 |
②温タオルで拭く | 血行促進のため、末梢から中枢(心臓に遠いところから、心臓へ向かって)に拭きます。 |
③乾タオルで水気をとる | 乾いたタオルで、こすらず、押すような感覚で水気をしっかり取ります。 |
※温タオル:60℃以上のお湯で作る蒸しタオル
詳しい手順は下記の記事でご確認ください。
タオルの使い方
- タオルの端が出ないように折りたたむか丸めて使用します。
- タオルは、拭く面を変えながら使います。
- 均等な圧力で拭きます。
- 最低でも温タオル1本・乾いたタオル1本は準備しておきます。
高齢者の皮膚に対する注意点
高齢者の皮膚は、特に乾燥や感覚が鈍いなどの特徴があり、全体的に弱くなっています。そのため、清拭を行う場合は下記のことに注意しましょう。
- 強くこすらない
- ケアスタッフの爪は短く切り、力の加減に注意します。
- 保湿をするように心がける
- 利用者にあわせてクリームやオイルなどを使用しましょう。
- 石鹸を多用しない
- 石鹸には、汚れを落とす以外に油脂を落とす役割もあるため、乾燥しがちな方には特に注意しましょう。
まとめ
温タオルを作る際にお湯でタオルを絞る場合には、お湯の温度は60℃以上にしましょう。冬はすぐ冷めるので熱めにします。しかし、この基準は一般的なもので、実際のケアの際には利用者の好みなどに合わせて調整をしましょう。
また、利用者にタオルをあてる前に、火傷を防ぐためにタオルが熱すぎないか、必ず自分の腕の内側で確認をし、事故防止に務めましょう。突然、熱いタオルを利用者に当てはいけませんので、手順書とともに留意ください。