フェイスシートとは? 介護関係者必見の基礎知識から記入ポイントまでまとめ

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介護や医療に関係する仕事に従事する方なら「フェイスシート」という言葉を耳にしたことがあるのではないでしょうか。フェイスシートは利用者さんの情報を収集するための大切なツールです。情報収集というとアセスメントシートと混同しがちですが、その違いはどこにあるのでしょうか?
本記事では、フェイスシートの役割や記入のポイント、アセスメントシートとの違いなど分かりやすく解説します。

フェイスシートとは

フェイスシートとは、サービス利用者さんの基本情報を記載しておく書類のことです。この書類には、氏名や年齢、性別、住所などの情報が書き込まれます。ほかにも、住居環境や収入源、就労状況など細かな情報も記入されているのです。利用者さんに関する詳細な情報を記入しておく目的は、スタッフ間の情報共有にあります。たとえば、フェイスシートが作成されていることで、緊急時にも適切に対処しやすくなります。また、利用者さん本人にとっても、スタッフが変わる度に同じ質問に答えるという手間が省けるでしょう。しっかりとしたフェイスシートをつくることには、さまざまな意味でメリットがあるのです。

なお、フェイスシートに定められた様式はありませんが、記入する項目には共通点があります。具体的には、まず氏名や年齢、住所や連絡先といった基本情報です。次に家族構成や生活歴、職歴、既往歴といった情報も記入します。最後に要介護認定の有無や相談内容、困っていることなどを記入します。

フェイスシートの役割

サービスを利用者する方の基本情報は、聞き取りしたスタッフだけが知っていても意味がありません。利用者さんの介護はさまざまなスタッフで行うものであり、事業所や施設全体で情報を共有する必要があるからです。しっかりとしたフェイスシートが作成できれば、ほかのスタッフが同じような質問をして利用者さんを不快にさせることもなくなるでしょう。また、フェイスシートはご本人やご家族の情報を集約するだけではなく、利用者さんにとって必要なサービスを提案していくという重要な役割も担っています。

例えば、利用者さんの家族が一日中家に居られるのかどうか、どのくらいの収入があるのかなどによって提案できるサービスは変わってきます。フェイスシートの作成により家族構成や経済状況などの詳細な情報を入手できるため、それぞれの事情に合わせたサービス提案が可能になるというわけです。このように、フェイスシートは詳細なケアプラン作成のためにも欠かせないものと言えるでしょう。

フェイスシートとは

  • 事業所内での情報共有
  • ケアプラン作成時の重要な判断材料

フェイスシート記入のポイント

フェイスシートを実際に記入するときは、何を意識すればよいのでしょうか。ここでは、フェイスシート記入のポイントについて紹介します。

わかりやすく書く

フェイスシートは自分だけではなく、さまざまな人が見るものです。そのため、わかりやすく書くことが大切です。具体的には、利用者さんの情報を細かく示しながら、一目見るだけで理解できるシンプルなものにします。フェイスシートという名称の通り、記載されている人をすぐに認識できる「顔」のようなものと考えるとよいでしょう。その理想としては、誰が見ても利用者さんの生き方が理解でき、現在はどのような状況にあるのかについても把握しやすいものになります。
また、業界の専門用語は相手に上手く伝わらない可能性もあるので、できるかぎり簡単な表現を用いるようにしましょう。同様に、手書きのときは読みやすく丁寧な記述を心掛け、ボールペンなどの安易に消えない筆記用具を使用します。鉛筆やシャープペンシルはすぐに消えてしまいますし、書き換えもできてしまうため、フェイスシートに書き込むときは使わないほうが無難です。

空白を残さず正しく埋める

空白を残さずに正しく埋めることも、フェイスシートを記入するときの大切なポイントです。記入欄にわからない部分があるからと飛ばしたり、適当に書いたりするのではなく、本人や家族から正確な情報を得られるように努力しましょう。また、同居している家族や遠方に住んでいる親族に確認をして、代表者の連絡先や今までの病歴などについても把握しておかなければいけません。フェイスシートに記載されている項目は、必要最低限の情報として重要なものばかりであり、すべてを正確に埋めることが求められるのです。
逆に言えば、すぐに確認できないからといって必要な項目を空欄のままにしておくと、後から利用者さんに関わる多くの人が困ることにもなるおそれもあります。

データは常に最新に

介護業界に限らず、業務上必要なデータは最新にしておかないと困ることが多くあります。そのため、フェイスシートも常に最新のデータにすることを忘れないようにしましょう。フェイスシートで特に注意が必要なのは主治医が変わったときです。この対応が適当になってしまうと主治医に連絡ができなくて困るおそれがあるので、必ず修正しておかなければいけません。また、本人や家族が希望する内容も大切ですから、細かいことでも変化があったときは追記しておくのがよいでしょう。そのときに、日付や立ち会ったスタッフなども一緒に書いておけば、その後の対応もしやすいフェイスシートになります。

共有言語を使用する

どのような業界にも、略語や専門用語はあるものです。これは介護業界も例外ではありません。一般的に業務上の専門用語や略語は問題ないとされていますが、職種ごとの専門的な略語は、ほかの人には伝わりにくいこともあるので注意が必要です。特に医療系のケアマネージャーは、血管の名称や不整脈の種類などを医療英語で記入することが多い傾向にあります。医療英語は専門性が高く、知識がある人以外にはわかりづらい場合もあるので、日本語で誰でも理解できるような表現にしたほうがよいでしょう。また、文章構成そのものについても複雑にするのは避け、できるだけ理解しやすくすることが理想です。

サービス終了後も保管する

フェイスシートは、サービス終了後にも保管する必要があります。具体的な年数は、使用後の5年間と利用者さんのサービス終了後の2年間などで、保管年数は地域によって異なります。また、単に保管しておけばよいのではなく、ファイルに閉じるなどして整理整頓を心掛けることが重要です。なぜなら、事業所や施設に実地指導が行われるときは、フェイスシートの保管状態も指導対象となるからです。あまりにずさんな状態だと管理体制を疑われることにもつながるので、日頃からきれいに保管する習慣をつけておきましょう。適切な方法で管理することで、利用者さんも安心してサービスを受けられるようになります。

フェイスシートとアセスメントシートの違い

アセスメントとは、評価や査定という意味を表す言葉です。介護業界におけるアセスメントとは、ケアマネージャーがケアプランを作成するために情報収集することを指します。そして、取得した情報を記載する書類がアセスメントシートとなるのです。フェイスシートはどちらかというと、基本情報の把握が役割になりますが、アセスメントシートは介護のためにより踏み込んだ情報を記載するのです。そのため、取得した情報が分析されて書かれていることも特徴と言えるでしょう。

そのほかの違いとして、アセスメントシートは一度だけではなく繰り返し作成されることがあります。その理由は、サービスの見直しや評価に必要だからです。見直しや評価は、サービス提供中はもちろん、提供後も例外ではありません。何らかの改善点があれば、常に新しいものを作成していくことになるのです。

フェイスシートを正しく記入して適切な介護を提供しよう

フェイスシートの情報は正確に記入することで、利用者さんに適切な介護サービスを提供できるようになります。そのため、フェイスシートに情報を記入するときは正確に書くことを意識して、間違いがないようにしましょう。また、アセスメントシートとの違いを理解して使いこなせば、より質の高いサービスを実現できるはずです。